IWJ記者の質問に「農協を株式会社化はまったくない」と答えた小泉進次郎農水大臣の答弁は嘘!?「以前から米国発のグローバル穀物メジャー、カーギルが、全農を買収したいと言っている」「全農の株式会社化という米側からの要請は、日米合同委員会で出ていた」と鈴木教授が明らかに! 岩上安身によるインタビュー第1198回ゲスト 東京大学大学院農学生命科学研究科・鈴木宣弘特任教授(後編) 2025.7.1

記事公開日:2025.7.8取材地: テキスト動画独自
このエントリーをはてなブックマークに追加

(文・IWJ編集部)


※全編映像は会員登録すると御覧いただけます。 サポート会員の方は無期限で、一般会員の方は25/9/7まで2ヶ月間以内に限り、全編コンテンツを御覧いただけます。
ご登録はこちらから

 2025年7月8日、「岩上安身によるインタビュー第1198回ゲスト 東京大学大学院農学生命科学研究科・鈴木宣弘特任教授(後編)」を初配信した。

 インタビューの前編は、以下のURLからご視聴いただきたい。

 2025年5月30日、IWJ記者は、「農政改革」を掲げる小泉進次郎農水大臣に、「『農協改革』とは、農協を民営化・株式会社化し、外資の参入を認めるということでしょうか?」「農地の集約化は、農地法などで定められた農地売買に関わる制約を取り払い、個人・法人にかかわらず、外部からの参入を認め、また、農業従事者を外国人労働者へ開くなどして、大規模化を図るということでしょうか?」と質問した。

 これに対して小泉農水大臣は、「『農協を株式会社化するのか』というのは、まったくない」「大規模化とか集約化、大区画化については、与野党の皆さんから、理解を得ています。『食料・農業・農村基本計画』の中に位置づけられている取り組みを、これから5年間で、集中的に構造転換を進めていく」と答弁した。

 IWJ記者の質問に対し、小泉農水大臣が「『農協を株式会社化するのか』というのは、まったくない」と答えたことについて、鈴木教授は次のように見解を示した。

 「実際、『株式会社化』とは言わなくても、今、盛んに、『共同販売をやめろ』と言っているんですよね。

 農協の共販制度というのは、大きな買い手から買いたたかれることに対抗するために、農家が集まって農協をつくって、共同販売で、みんなで一緒に売ることで、対抗力・取引交渉力をつけるというものです。それが、農協の売り方の基本なわけです。

 それをやめろと。農協は、買い取りにしなさいと。つまり、普通の買い取り業者さんと同じになれ、ということを、盛んに、今、言っているんですよ。

 買いたたかれないように農協をつくったのに、農協は協同組合をやめて、買いたたき業者になりなさい、ということを、強要しようとしている。

 ということは、協同組合でなくするのだから、『株式会社化しろ』という流れにつながるわけです」。

 さらに鈴木教授は、「農地の大規模化・集約化」については、次のように語った。

 「田んぼの1区画を広げて、大規模化して、集約して、それでスマート農業と輸出でバラ色だ、みたいなことを盛んに言っている。猫も杓子も、こればかりじゃないですか。

 でも、儲かるのは商社であったりね。大規模化する時も、機械(を売るの)はそういう企業だしね。

 実は、そういう、かかわっている企業が儲かるような形で、農家そのものの利益ではないような部分を、また進めようとしているということも、わかります。

 でも、日本の(田んぼの)4割は、中山間地です。今、本当に、棚田とかを見てもわかるように、(多くの農家が)条件の悪いところでも頑張っている。

 規模の大きなところだけに、支援をするような話も出てきているけれども、大規模に頑張ってもらう人も、必要だけれども、そんなことだけでは(ダメで)、そうじゃない人達が大層を占めているんだから、そういう人達をしっかりと支える仕組みにしなきゃいけないのに、そういう話は出てこない。

 結局、1戸で大きくなっているような農家というのは、(今でもすでに)農協から離れて、独自に販売もしているわけじゃないですか。

 農協に集まっているのは、やはり零細で、みんなで集まって何とかしようという人達なのに、その人達を破壊していく、ということです。

 そういう頑張っている農家を、大層を破壊しつつ、農協も破壊していく、そのような流れが、今、もう、見えてきているかな、と思います」。

 鈴木教授は、「余計な人をすっ飛ばして、小さな人達は潰して、大手だけが中抜きして、儲けられるようにする、そのような考え方が、至るところで行われている」と指摘し、「今回、農協だけじゃなくて、米卸に対しても、(つまり)米の流通業界に対する攻撃も、露骨」だと述べ、「複雑で非効率な流通を潰せ、というような話を、(テレビなどが)刷り込んでいく」と、危機感を示した。

 「でも、そういう人達がいてくれるから、いろいろな役割を果たして、町の米屋さんも成り立っている。まさに、大店法を撤廃して、商店を潰した(※)ような発想と似たようなことを、基本的にはやろうとしているんですね、すべてにおいて」。

(※)1974年3月に施行された「大店法」(正式名称:大規模小売店舗における小売業の事業活動の調整に関する法律)は、地域の小売業を保護するために、スーパーなど大型小売店の出店に際して、店舗面積・開店日・閉店時刻・休業日数といった要素を商工会議所などが調整する制度。
 しかし、1990年代以降、大型販売店の日本進出に伴い、米国から「非関税障壁」として批判され、WTOの協議対象にもなった。
 2000年に「大店法」が廃止されると、大規模スーパーや郊外型の量販店が各地に大量に出店。地元商店は売上減、採算悪化で、倒産や閉店に追い込まれ、「シャッター商店街」だらけになり、地域コミュニティの基盤も失われた。

 鈴木教授は、平地が少なく、中山間地の多い日本では、米国やカナダやオーストラリアなどのように、農地の大規模化は「到底できない」し、そうした海外の国々と「同じ土俵で戦えるような農業は、日本ではできない」と指摘した。

 その上で、鈴木教授は、日本の農家が集落機能に果たしてきた重要な役割についても、次のように述べた。

■ハイライト【後半】

  • 日時 2025年7月1日(火)13:00~15:30
  • 場所 東大農学部2号館別館(東京都文京区)

(…サポート会員ページにつづく)

アーカイブの全編は、下記会員ページまたは単品購入より御覧になれます。

サポート会員 新規会員登録単品購入 550円 (会員以外)単品購入 55円 (一般会員) (一般会員の方は、ページ内「単品購入 55円」をもう一度クリック)

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です