2023年10月25日午後3時30分頃より、東京都千代田区の参議院議員会館にて、参議院議員の鈴木宗男氏が主催する東京大地塾が開催され、作家で元外交官の佐藤優氏が登壇した。
鈴木議員からは、10月はじめのロシアへの単独訪問、そして、その帰結としての日本維新の会からの離党について、その裏話と自身をとりまく現状についての報告が語られた。
佐藤氏は、ウクライナ及びイスラエル・パレスチナ情勢について、自身の分析と見解を表明した。
鈴木氏は、訪露のための党内での手続きの詳細について、以下のように説明した。
鈴木氏「私は、(10月)1日から5日まで、モスクワに行ってまいりました。モスクワに行ったのはいいんですけれど、その評価の話じゃなくて、鈴木宗男の処分の話ばっかりで本当に面白くないですね。
皆さん、国会の開会中(の議員の渡航は)は、議院運営委員会に手続きを申し立てます。そして、各党・各会派の了解が入って、初めて海外渡航(が許可される)であります。
5月にも、私は連休中、ロシアに行こうとして手続きをして、議院運営委員会ではきちっと認められております。
私の行った時期は、国会閉会中ですから、閉会中は、参議院の事務局・国際部に、『何月何日に行って、何月何日に帰ってくる』、この手続きをすればいいんです。それは、9月の29日にきちっといたしました。
9月29日と言えば、皆さんも多くの人が参加してくれましたが、私のセミナーがあった日であります。(ホテル)ニューオータニで。この29日に、ロシア側からビザが出たものですから、慌てて私は手続きをした、ということです。
夕方、うちの秘書が維新の事務局に行ったら、もう事務所は閉まっていました。翌日が土曜日ですから、もちろん日曜日も開いていません。(中略)
10月の2日、8時36分に、うちの秘書が届出を出したら、事務局は、『馬場代表、藤田幹事長に言っておきます。問題ありません』というのが、事務局の対応なんです。10月2日の8時36分ということは、モスクワ時間では夜中の2時36分です。
事務局は、馬場、藤田両氏に、『鈴木宗男からこんなのが来ています』。問題があるならば、そこで協議すればいいんですよ。
私はその日のモスクワ時間の11時から、グラジエフさんという、ヨーロッパ経済共同体(正しくは、ユーラシア経済共同体)のいわゆる代表閣僚クラス、プーチンさんの経済の面での指南役というか、アドバイザーというかですね、何かにつけ、プーチンさんと接触のある人です、その人と会うことになっていたから、十分時間はあるはずです。
『もうやめろ』だとか『すぐ帰ってこい』だとか、その時は何も言わないでですね、その次の次の日ですよ。
『黙って行ったのはけしからん』と言っているのは、どうも、私は、手続きは遅ればせながら、した。じゃあ、ダメならダメで、返事をすれば戻れる時間帯なんです、会談もしないで。それもしないで、難癖つけるような話ですね。
もっとひどいのが、はじめは、『日程の届け出が遅れたから厳重処分だ』と言うんですよ。厳重処分はいいけれども、おかしいなと思いながらも、次に出てきたのが、『モスクワで言った発言が良くない』と言うんですね。
私はこの大地塾でも言っているじゃないですか。『ロシアが負けることはない』ということを。『ロシアは勝つんだ』ということを、皆さん、私の発言を聞いているという人、手をあげてください。何回も私は、(会場の挙手状況を確認し)全員そうですね。私は言っているわけだから、私は色々な講演でも言っています。テレビでも雑誌でも言っています(中略)」。
ここで、佐藤氏が鈴木氏の話を補足して、鈴木氏の「ロシアが負けることはない」、「ロシアは勝つんだ」という発言の意味を、次のように解説をした。
佐藤氏「鈴木さんは『ロシアを応援すべき』だとか、『ロシアを勝たせるべき』だとか、一言も言ってないから。
要するに、『ロシアはウクライナに屈することはない。ウクライナが勝てない』と(言った)。
これを少し補足すると、ロシアが勝つかどうかというのはわからない。どうしてかと言うと、だって、ロシアは『勝敗ライン』を明らかにしてないから。
ウクライナは『勝敗ライン』を明らかにしている。要するに、東部だけじゃなくて、クリミアからもロシアを追い出して、1991年12月の国境を回復する。
これはできないということは、鈴木先生もそう考えているし、私もそう考えているし、イーロン・マスクさんもそう考えているし、キッシンジャーさんも考えている。
もし、これでウクライナが全領土回復できるということを考えている人がいるとしたら、真面目な分析家じゃないよ。当たり前の話だからです。
しかも、あくまでも、繰り返すけども、『認識』だからね。そうするべきだという話じゃないから」。
佐藤氏の解説が終わると、鈴木氏は、自身の話を再開した。
鈴木氏「私は、アントニオ猪木さんが、院の決定を無視して(北朝鮮に、1994年以来33回)行ったけれども、これが、後の金丸(信・元副総理)訪朝だとか、あるいは土井(たか子・元衆院議長)訪朝だとか、村山(富市・元総理)訪朝だとか、小泉(純一郎・元総理)訪朝にもつながったと思いますよ。結果として。
誰かがやっぱり、何か『対話の窓口・機会』を作っておくことによって、私は、動くものだと、こう思っております。(中略)
私は、政治家は信念がなくなったときは、退場すべきであると思っております。政治家が魂を失ったときは、自ら離れる、辞めるべきだ。こう思っております。
私は一人でも戦いますし、同時に、共産党や社会民主党以外は、私は党とのパイプを持っていますし、もともと、私は保守の政治家でありますから…」。
鈴木氏・佐藤氏の発言内容の詳細については、全編動画を御覧いただきたい。