2023年8月24日午後1時15分より、東京都千代田区の衆議院第二議員会館にて、「基地局問題集会実行委員会」の主催により、「<院内集会>行政に聞いてみよう! 4G・5G携帯電話基地局は安全か~ヒトへの健康リスク、動植物等生態系へのリスクをどうみるか~」が開催された。11団体からの賛同のもと、約120名が参加した。
総務省は「携帯電話基地局からの電波は安全」などと主張しているが、基地局が設置されてから深刻な健康影響があったという訴えは、全国にある。
基地局を自宅近くなどに一方的に建設された住民、基地局で健康被害を受けた住民、電磁波過敏症(EHS: electromagnetic hypersensitivity)の当事者らが、直接行政(総務省、厚生労働省、環境省)に声を伝え、行政の見解を質し、そして、基地局で多くの深刻な問題が起きていることを広く知ってもらうため、実行委員会が組織され、本集会の開催となった。
集会には、大河原雅子衆院議員(立憲民主党)、阿部知子衆院議員(同)、早稲田夕季衆院議員(同)、川田龍平参院議員(同)、福島瑞穂参院議員(社民党)が参加した。
集会は、第1部「報告」と第2部「省庁交渉(総務省・厚生労働省・環境省)」の2部構成で進められた。
第1部では、大久保貞利・電磁波問題市民研究会事務局長により、「基地局の問題点」と題する基調報告が行われ、続いて、網代太郎・電磁波問題市民研究会会報編集長が、「海外の動き」についての特別報告を行った。
また、各地域での取り組みについての報告も行われ、実際に基地局からの電磁波による健康被害を被った、または、今現在、被っている方々からの生々しい体験談が紹介された。
基地局問題大磯の会・実行委員の村越史子氏は、娘の体験を、次のように語った。
村越氏「私は、健康被害を受け、大磯から平塚に移りました。(中略)
その電磁波の怖さ、健康被害の大変さを、本当に、いまだに、その時を思い起こすと、地獄のような日々でした。
まず、基地局が何の説明もなく、ポストインされたチラシ(のみの周知)で、家の60センチのところに建てられたのです。
それから、娘がちょうどコロナでテレワークになって、家で仕事をするようになったんです。
娘はもともと、ちょっとメニエールをもっていて、『耳詰まり』がすごくなりまして、耳鼻科にも通いました。薬を山ほどもらって、それで飲み始めたのですけれど、一向に良くならない。
そのうちに、私がちょっと1~2時間出かけた隙に電話がかかってきたのです。『お母さん助けて』って。それで、急いで、近くにいたものですから、帰ってみたら、トイレの前で吐いて倒れてたんです。
それからです、大変なことは。もう、片耳どころではなく、両耳が、もう飛行機に乗った時のようにバンっと塞がって、声がもう、全然自分の声じゃないみたいなことになって、そのうちにめまいが時々起きるんです。
めまいは、それがひどくなると起きていられないんですね。それで、もうダメって言ってベッドに横になると、もう、その顔が動かせないんです。ちょっとでも動かすと吐き気が来るんです。
だから、常にここにもう洗面器を置いたまま、もうちょっとでも動かすと、ゲーゲーゲーゲー吐いて、吐くものもなくても気持ち悪くなっちゃうので、もう天井を向いたままです。じっとしたままです。そのつらさ、それが1年半続きました。
それで、その大変なことを、私は目の前にして、親として情けないです。どうしたらこの子、こんな風になっちゃったんだろうと、色んなことを調べました。
携帯基地局の電磁波っていうことに思い立ったので、そういう本も読みました。
症状がまったく同じでした。耳鼻科の先生は、そういうことは言いませんで、市民病院の先生にちゃんと見てもらえたら、『あっ、これは正真正銘のメニエールだね』と言ったきりです。
ですから、私は、最後に『この基地局が建って、電磁波過敏症っていうことはないですか?』と聞いたら、即答で『総務省へ言ってください』、こう言われました。
何の治療もありませんでした。そのうちに娘は、もう一週間に二回、三回、そのめまいが起きて、もどして、もう顔も動かせない。水を飲むとき、皆さんご存知ですか? 顔をちょっと上げないと、水って、水分って入らないんです。
ところが、もうそれもできないで、動かしただけでもどすんです。だから、私が何かちょっとでも触ると、『お母さん触らないで』、もうそれっきりです。
それで、しょうがなく、一番効くのはトラベルミン(乗りもの酔いの予防及び緩和に有効な薬)です。それを飲んで、そして効き始めると、ようやくお水を飲めるようになるんです。その間はトイレにも行けません。
そんな酷い状況で、もちろんもうみるみる痩せて、で、1年半、ウイークリー・マンションにも彼女だけ、ちょっと移ってみましたら、その吐き気はなくなくなりましたけど、耳のあれは調子はおかしかったです。でも、1ヶ月のウィークリー・マンションのお金って知ってますか? 結構高いんですよ。
彼女は一人で生活費を稼いでくれましたから、彼女の給料がもう飛びました。それで、また戻ってきて、仕事を始めました。そしたら、また同じ状況になりました。
そして、ある時、その耳鼻科の薬が山ほどあるのを床に投げ捨てました。
あの時の状況は、私はすごく大変だったと思って、彼女のことが、よく我慢強く、ここまで来たなっていう思いはあったんですけど、もう、頬も赤くなって、『被曝』ですよね、言ってみれば。
そういうふうになって、目の下はクマが出て、『お母さん、このままじゃ死んじゃうよ』って言われた時に、私は、せっかく十年前に、大磯という憧れの地で建てた、その家を、何よりも健康、娘の命が大事だと思ったので、二人で越す決心をしました。
今は、平塚の借家住まいですけど、おかげで、吐き気もなくなり、仕事も続けられ、やっと少しずつ普通の生活が戻りつつありますが、これは完全ではありません。
なぜなら、会社に行くのに電車に乗るんですよね。そうすると、今、通勤電車なんかは、皆さん、御存じですよね、スマホを使うんです。あれでおかしくなるんです。だから、通勤もできなくなるんです。
で、会社はすごく好意的に見てくださって、1ヶ月に2回、3回、調子のいい時に来てくださいっていうことで、今テレワークになってます。
ですが、そのことに甘えてばかりもいられませんけど、いまだに健康は、きちんと前のようにはなっておりません。その怖さっていうのはここにも書きましたけど、携帯会社と何度も折衝したり、いろんな機会を持ちましたけど、結局は撤去には至っておりません。
家の向かいに住んでいる方も、半年前にご主人が、急に癌になって亡くなりました。
そして、彼女は今、電子レンジも使えない身でありながら、一生懸命、アルミや何かを囲った、この暑い中に、犬小屋のちょっと大きめなのを買って、そこへアルミを掛けて、それで、天井や何かにアルミ箔を貼って今暮らしています。
その姿も大変なことだと思ってます。それほど怖いです。目に見えないものは、今、そういう健康が、たまたま、私たちがそれに弱かったのかもしれませんけれど、そういう状況になるっていうことは、誰の身にもあると思います。
その大変さを、どうぞ、怖いものだっていうことを実感して、私は、省庁の方たちが来ますけれども、医者も何にも認めてない、研究もされてない中で、私達はどうしたら、どこへ訴えたらいいかっていうので、この会を持っていただいて、私は嬉しかったです。
皆さん、どうぞ一人一人、自分の身に起こっているこういう状況を、よく周りを見渡してください。よろしくお願いします」。
第2部の省庁交渉では、総務省、厚生労働省、環境省それぞれに対して事前に提出された「携帯基地局問題に関わる要望・質問書」にもとづき、質疑応答が行われた。
各省庁との質疑応答の内容は、以下、電磁波問題市民研究会の網代太郎氏による「まとめ」をご参照いただきたい。
- 院内集会_総務省への質問・要望と回答(PDF)
- 院内集会_厚労省への質問・要望と回答(PDF)
- 院内集会_環境省への質問・要望と回答(PDF)
省庁交渉での質疑応答を含め、院内集会の詳細については全編動画をご確認ください。