原告・横河健氏「水面下でうまく事を作っておいて、発表するときには『もう議論は尽くしました』というのは、民主主義の国としておかしい!!」~8.9 神宮外苑再開発認可取消裁判、追加提訴に関する記者会見 2023.8.9

記事公開日:2023.8.10 テキスト動画
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(取材、文・浜本信貴)

 2023年8月9日午後1時より、東京都千代田区の司法記者クラブにて、神宮外苑再開発認可取消裁判における追加提訴に関する記者会見が開催された。

 神宮外苑訴訟団事務局の長谷川茂雄氏、代理人の山下幸夫弁護士、追加原告の横河健氏(建築士)、岩本まり氏(個人資産運用・投資家)、伊藤博通氏(屋外広告士・入浴指導士)の6名が会見を行った。

 6月9日に第1回の口頭弁論が終わり、次回の弁論を10月11日に控える神宮外苑再開発訴訟だが、このたびの追加で、原告はトータルで160人(東京都内在住者119名、東京都以外41名)となった。

 訴訟の目的は、2月16日に東京都が行った「再開発法認可」の取り消しを求めるもので、原告団は追加提訴として、あらためて訴状を東京地裁民事部に提出した。

 訴えの主な内容については、以下の通り。(訴状より抜粋)

(1)神宮外苑再開発事業が行われることにより、いちょう並木をはじめとした景観が大きく阻害される。

(2)大量の樹木伐採をはじめ、多様な生態系や神宮外苑の環境を大きく毀損することになる再開発はやめるべきである。

(3)今回の認可に先だって行われた環境影響評価は、事業者の不十分な情報公開、虚偽の報告のままでの環境影響評価など重大な瑕疵が認められる。このような状態で事業を開始する事は許されない。

(4)今回の再開発事業を可能にしている地区計画等は、都市計画法の本旨を逸脱し乱用されたものであり認められない。

(5)事業が行われることにより、神宮外苑の歴史的価値・文化的価値が重大に毀損される。

(6)事業が行われることにより、騒音や風害や日照権など、周辺住民に様々な被害がもたらされる。また13年にも及ぶ工事期間は住民生活に長期にわたり不便、不利益を与える。

 このたび新たに原告団に加わった建築士の横河健氏は、次のように述べた。

横河氏「建築とか街づくりとか、あるいはランドスケープデザインという面で、一言申し上げておきたいと思うのは、この計画につて、東京都あるいは国としては、『これは民間の事業計画ですから、何を騒いでるんだ』と。『合法的なことで粛々とやっているんだから、騒いでるのはおかしいじゃないか』と言っているように聞こえるんですね。

 それで、事業者である民間の代表格と言うんですか、三井不動産の方たちに、『ちゃんと丁寧に説明しなさい』と、こう言っている訳ですね。

 ところが、私どもが感じることは、三井の説明にしても、半径350mぐらいの人たち(住民)を集めて、計画側が説明するわけですから、『我々は良い計画をしてるんですよ』と言ってるに決まってるわけです。(中略)

 そういうことを、ただ単に受け入れていくわけには、我々はいかない、ということが基本で、そもそも、こういう、東京都が民間の事業にしろ、認可を下したということにおいても、我々、都民というか、国民が気が付くのが、相当遅いわけですね。

 事業計画の中では、つまり水面下で、うまく事を作っておいて、それで、民間に発表するときには、『もう議論は尽くしました』というような言い方をして、疑問の余地を持たせないということが、本来、民主主義の国としておかしいのではないか、というのが我々の主張だと思うんですね。

 そもそも神宮外苑というのは、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、これは大正期に始まった、日本で近代都市計画の最初のランドスケープ・デザインです。このことはすごく重要なことです。

 その土地が民間であれ、国であれ、そういうことと関係なく、連続した景観をランドスケープ・デザインというわけですね。そういう中で、片目をつむって、『ここから先は民間の土地ですから、私は知らないよ』っていうのは、あまりに無責任だというふうに言わざるを得ない」。(後略)

 記者会見の詳細については、ぜひ全編動画にてご確認ください。

■全編動画

  • 日時 2023年8月9日(火)13:00~
  • 場所 東京地方裁判所 司法記者クラブ(東京都千代田区)
  • 主催 神宮外苑訴訟団

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