2022年10月2日、午後1時15分より、東京・四谷地域センターにて、「神宮外苑再開発を考える学習会」の主催による学習会「百年の森を未来に残すために私たちは何ができるか?」が開催された。
「神宮外苑再開発を考える地域住民の会」の川口義一代表は、学習会の目的、再開発の問題点について、次のように説明した。
「神宮外苑の再開発に伴い、約1000本の樹木が伐採・植樹されることが、今年の1月に明らかになりました。これが、あまり住民に知らされてないんですよ。私はぜんぜん知りませんでした。
1000本のうち、新宿区のものは561本あります。ここの樹木をなんとかしようとしたら、新宿区長に許可を得なければいけません。(中略)
残りのものは、渋谷区にあります。渋谷区と新宿区の関係住民が集まって、『ちゃんと説明も受けないで、いきなり再開発もないだろう』ということで、まず、住民への周知徹底、(私たちは)意見もちゃんと言っていません。
公(おおやけ)は(住民説明を)『やった』と言っているんですけど、やったのは確かにやったみたいなんですが、地域の住民が、いつやったのかわからないようでは、とてもやったとは言えません。『風致地区』ですからね。区長の許可が要るようなことをするのに、区民が知らないなんてことがあってはいけない。
私は、仕事の関係でヨーロッパとか、海外に行くことが多いんですけど、少なくとも、ヨーロッパの人たちにこの話をすると、『何、それは? とんでもないでしょう。区民・住民がOKと言ってないものを、企業や公共団体の都合だけで動かすなんてことは、絶対にあり得ない。そんなことを許してはいけない』と言われます。
ですので、もう行動で示すしかないということで、会を作って、行動をしているところです」
この再開発により、樹齢100年以上の木を含む約1000本の樹木が今まで生きていた場所から撤去される。存置される樹木も新設予定の建築物の影響で、その保全が危ぶまれており、多くの樹木が衰退し、枯死に向かうと予測する専門家もいる。
現在の神宮外苑の森は、これまで100年の長い年月によって作り出されたものであり、300年を経て完成するという構想のもとに設計された歴史的な住民の遺産である。
現在、神宮外苑再開発を考える地域住民有志により、吉住健一新宿区長にあてて、樹木の伐採・移植を許可せず、神宮外苑の環境を守るため、区民と情報共有し対話の場を設けるように要望する「神宮外苑の樹木伐採を回避し緑を守るための要望書」への署名運動が展開されている。第1次の締め切りは、10月末日となっている。
この日の学習会では、「神宮外苑再開発の現状と問題点」、「開発事業が外苑の樹木に与える影響」、「環境アセスの今とこれから」、「危機に瀕するいちょう並木」といったテーマで、環境計画政策や環境植栽学、ランドスケープアーキテクトなどの専門家によるセミナー動画が上映された。
学習会の終盤に、意見交換・意見表明の時間が設けられたが、「神宮外苑の再開発計画自体について、今まで知らなかった」という参加者が多く、再開発計画に疑問を感じるという意見が大半を占めた。
学習会の詳細は、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。