2023年5月6日午後2時より、東京都小金井市の市民会館・萌え木ホールにて、「沖縄の基地問題を考える小金井の会」主催によるシンポジウム「沖縄からの訴え 基地が環境に及ぼす被害とは」が開催された。
シンポジウムでは、元緑ヶ丘保育園父母会副会長の明(あきら)有希子氏、沖縄大学名誉教授で「有機フッ素化合物(PFAS)汚染から市民の生命を守る会連絡会」共同代表の桜井国俊氏が登壇し、全国的に関心が高まっているPFASが沖縄にもたらしている環境汚染や健康被害について、講演を行なった。
明氏は「基地のそばで暮らすということ」、桜井氏は「沖縄のPFAS汚染問題」というタイトルで、それぞれ講演を行なった。講演の内容については、ぜひ、全編動画を御覧いただきたい。
講演終了後の質疑応答で、IWJ記者はPFAS汚染に関して、桜井氏に以下の通り質問した。
「4月14日の環境大臣会見で、『PFAS汚染などについて、日米合同委員会などでこれまで何らかの交渉みたいなものがあったかどうか』という質問をしたのですが、大臣は、見事にそこの『日米合同委員会での交渉』という部分をはぐらかして、『本年1月から設置されている専門家会議で真摯に議論していく』というような回答が返ってきました。
もし、桜井先生が大臣に直接質問するとしたら、どのような質問をされるでしょうか?」
これに対し、桜井氏は次のように答えた。
「とても重要な問題ですね。
はぐらかした回答だったと。『専門家会議で真剣に議論している』。私は専門会議を傍聴したんですけれども、本当に情けなかったですよ。はぐらかしでした。(中略)WHOの基準の解説ばかりですよ。で、EPA(Environmental Protection Agency:米国環境保護庁)の新しい動きなんかについてね、全然応じない。というかたちで、非常に偏った紹介でした。
このときの会議ではなくて、その次の会議、別の会議でしたけれども、我々の分析をしてくださった京都大学の原田浩二先生(准教授)がですね、『このWHOの基準というのは、途上国の実施可能性(財務的な実施可能性と事実的な実施可能性)を踏まえての提案であって、先進国において、このPFAS汚染による健康影響を防ぐための視点にもとづいたものではない』と、そういうコメントをされたんですけど。彼一人が、別の会議でしたけれども、言っていた。
今、ご紹介いただいた専門家会議は、まったくもって環境省が、そうではない方向に誘導しようというのが見え見えだった。とんでもない議論だなと思ったんですね。
ですから、私が質問するとすれば、そのときには何もありませんでしたので、EPAが去年(2022年)の6月に厳しいものを出し、さらにその後になりますけど、この3月に、『実際に測定できる実施可能な基準』いう形で4点を出したけれども、これについてどう考えるのか? はっきり、これを聞きたいなと思います」
2023年3月15日付け『JETRO ビジネス短信』は、米環境保護庁が飲料水中のPFASについて統一基準案を発表したとして、「基準案では、PFASのうち特に毒性が強いとされるペルフルオロオクタン酸(PFOA)とペルフルオロオクタンスルホン酸(PFOS)を個別の汚染物質として規制し、4つのPFAS(PFNA、PFHxS、PFBS、GenX化学物質)を混合物質として規制するとしている。具体的には、PFOAとPFOSについては1兆分の4という濃度レベルで規制する」と報じている。
- 米環境保護庁、飲料水中のPFASについての国家統一基準案を発表(米国)(JETRO ビジネス短信 2023年03月15日)