「熱海市の大規模土砂災害とメガソーラーの関係は? 環境省として調査するのか?」IWJ記者の質問に「現時点で断定することはない。静岡県から協力要請があれば対応する」と小泉環境大臣~7.9小泉進次郎 環境大臣定例会見 2021.7.9

記事公開日:2021.7.15取材地: テキスト動画
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(取材、文・浜本信貴)

 2021年7月9日(金)、午前10時30分より、東京・環境省庁舎にて、小泉進次郎環境大臣の定例会見が開催された。

 現在、環境省の大臣会見では、記者クラブ加盟社以外の記者は、会場の外からウェブ会議システムにより、会見を視聴することになっている。これは、新型コロナウイルス感染症対策のためで、「マスクの着用、消毒の徹底、環境省記者クラブ加盟者は1社1名までの参加」というルールの一環だ。

 大臣会見に記者クラブ以外の記者の入場を認めていない省庁は、おそらく環境省だけで、ウェブ会議システムを通じてのリモート参加で、質問も代読されるので問題はないと言われるかもしれないが、総理大臣の会見でもフリーランスの記者は会見場に参加することが出来るし、もちろん、総理大臣に面と向かって、質問を投げかけることもできる。

 なぜ、環境省だけが、新型コロナ感染症感染防止を理由に、記者クラブ加盟社以外の記者の会見場への入室を、このように頑なに拒むのかわからない。IWJはあくまでも、会見場で記者会見に参加し、大臣に直接質問できるよう、今後も粘り強く扉を叩き続けていく予定あるが、このたびはルールに従い、IWJ記者はリモート参加をし、用意していた質問を代読してもらう幹事社の記者に託した。

 小泉大臣は冒頭、熱海の土石流災害への対応状況、島根・鳥取など西日本地方で広がる大雨被害について報告した。

 報告後、小泉大臣と各社記者との質疑応答となった。代読されたIWJ記者の質問と、それに対する小泉大臣の回答は以下のとおり。

IWJ質問(幹事社代読)「7月3日、静岡県熱海市伊豆山地区で大規模な土石流が発生しました。

 このたびの土砂崩落現場のわずか数十メートル西側には太陽光発電所があり、ソーラーパネル設置などの森林開発、そして、その開発の現場で生じる、残土の処分を目的として行われる盛り土が土砂崩れに影響を及ぼしている可能性があると言われています。

 小泉大臣は6日の記者会見で、国が自治体に対し再生可能エネルギー発電所整備の『促進区域』を設けるよううながす『改正地球温暖化対策推進法』に何らかの立地規制が必要かどうかの議論を始めたと説明されました。

 熱海市に隣接する函南町では、メガソーラー(大規模太陽光発電所)の建設が環境や景観へ及ぼす影響を懸念し、市民が反対の声を上げています。現状の森林法では、メガソーラーの建設計画を進める際に地元住民の同意を必要としていません。

 このたびの土砂災害が、メガソーラーの設置と関係があるのかどうか、環境省として調査されるおつもりがあるのかどうか、また、同様の災害が今後、起こらないようにするためにも、中山間部における森林開発に対する規制措置を検討するお考えはあるのかどうか、環境大臣としての小泉大臣のお考えをお聞かせ下さい」

 この質問に小泉大臣は以下のとおり回答した。

小泉大臣「環境省自身が熱海の件で調査をするかということで言えば、今、静岡県がやっていますので、静岡県が調査をすると。そして、仮に静岡県から環境省に対してなんらかの協力のお申し出があれば、それは対応していくということです。

 そして盛り土のことは、赤羽国交大臣がご発言されていますが、国交省の方でも盛り土の関係については非常に問題意識をもっていますので、これについても環境省、農水省は、国交省と連携しながら対応すべきは対応するというふうに考えております。

 (土石流災害とメガソーラーとの関係については)現時点では断定することはない。

 (中山間部における森林開発に対する規制措置は)これから再エネ促進区域を設置する中で、促進すべきだと地域の皆さんの合意形成があって、ここは促進しようと、うながす方向でやっていく区域と、ここは促進すべきじゃないと。こういった形でどのような運用が可能か(検討していく)」

 小泉大臣が言う、「促進すべきではない区域」とは、「ネガティブゾーニング」に関わる。

 小泉大臣は再生可能エネルギーに関する他社の記者の質問に答えて、「推進すべきだが、災害などのリスクが高い場所での開発を抑制するような措置が必要だ」と述べ、「ネガティブゾーニング」について触れ、以下のように答えている。

 「私は再エネは推進すべきだと思っている。しかし、なぜこういったネガティブゾーニング(災害などのリスクが高い地域での開発を抑制するもので環境省内で検討中)のような措置が必要か。これから再生可能エネルギーの導入を加速していくためには、『いいものはいい。だめなものはだめ』、そういった形でしっかりやっていかなければ、私は再生可能エネルギー全体に対する、過度なネガティブキャンペーンが起きていると思いますので、そういったものを食い止めたい」。

 IWJは会見会場には入れなかったので、取材動画を撮ることはできなかった。会見の詳しい内容は、環境省が公開している動画を御覧いただきたい。

■小泉環境大臣会見(令和3年7月9日)

  • 日時 2021年7月9日(金)10:30メド~
  • 場所 環境省(合同庁舎5号館 22F 第一会議室)(東京都千代田区)

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