集会参加者からの厳しい質問に対し、あくまでも前向きな答弁を拒み続け、しどろもどろの消費者庁担当官!!~4.6「食品表示を考える消費者と生産者、事業者の集い」―内容:食品の原料原産地表示と遺伝子組み換え表示について、消費者庁と意見交換 2023.4.6

記事公開日:2023.4.12取材地: テキスト動画
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(取材、文・浜本信貴)

 2023年4月6日、午後4時より、東京都千代田区の衆議院第一議員会館にて、「食品表示を考える消費者と生産者、事業者の集い」が開催され、食品の原料原産地表示と遺伝子組み換え表示について、消費者庁担当官を招いて、意見交換が行われた。

 ネットでの集会参加申し込みは1400名を超え、当日の集会開始時点で400人が視聴しており、食品表示問題への人々の関心の高さがうかがわれた。

 集会冒頭、表示ネット事務局・日本消費者連盟の原英二氏から、「原料原産地表示」と「遺伝子組み換え表示」の現状と問題点についての基調報告があった。

 表示の現状についての詳細は全編動画、ならびに消費者庁のパンフレット(※)を参照頂きたいが、表示ネットが指摘する問題点について、以下、概要を紹介する。

 「原料原産地表示」については、「大括り表示(3か国以上から輸入の場合、単に『輸入』と表示することができる)」では、どこからの輸入かわからないこと。また、現行の「製造地表示」では、一次原料の生産地が分からないため、「国内製造」と「国産」との区別が紛らわしいこと。また、第1位の原料のみが表示対象となっているため、2位以下はわからない、などの問題点が指摘された。

 「遺伝子組み換え表示」については、表示基準量が5%と高すぎること。上位3位までの原料のみが表示対象であるため、副原料が表示免除となっていること。DNAまたは蛋白質が検出できず、科学的検証ができないことを理由に、食用油等の表示が免除されていること。「遺伝子組み換えでない」表示の要件変更により、多くの商品が表示困難になること。そして、ゲノム編集については、科学的検証ができないという理由で、現在、表示が義務化されていないことなどの問題点が指摘された。
 
 基調報告に続いて、集会参加者が、消費者、生産者、事業者、そして、政治家など、それぞれの立場から、それぞれの問題意識について、様々な発言を行った。

 これらの報告・発言を受けて、消費者庁担当官の山口氏は「ただ今ですね、消費者の皆様、事業者の皆様、そして、先生方にもですね、食品表示につきましても、貴重なご意見をいただいたと承らせていただきますので、皆様方のご意見を、私たち、そして、私としても勉強させていただきたいと思います」とだけ述べ、具体的なコメントを避けた。

 以降、参加者からの厳しい質問や確認が山口氏に対して行われたが、山口氏は、「受け止めさせていただく」、「検討する」、「勉強させていただく」といった言葉に終始し、一貫して、具体的・前向きな答弁を行わなかった。

 集会後半、元農林水産大臣で日本の種子(タネ)を守る会 顧問の山田正彦氏が山口氏を問い詰める場面があった。

山田氏「消費者庁は、遺伝子組み換えでない大豆でできた納豆や味噌について、0(ゼロ)%じゃないと、言ってみれば、消費者庁は、消費者のために検討して、0%でないと、『遺伝子組み換えのものではない大豆でできた云々です』と表示できない、というふうに変えたと。これは消費者のために変えたという言い方だったが?」

山口氏「今の検討の中で、そういったご意見もいただきながら検討させていただいた、ということになっております」

山田氏「しかし、実際にどこの国でも0であるということは不可能じゃないか。(中略)例えば、韓国だって3%の混入を認め、EUでも0.9%の混入を認めているじゃないか。それを0%とするということは、不可能なことだ。それは検討したのかい?」

山口氏「『遺伝子組み換えでない』という表示を行っていただく際はですね、現在の、広く使用いただける分析方法の中で検出できないというところを基準とさせていただいております(後略)」

山田氏「原料原産地表示については、検討会を開くということは間違いないんだね?」

山口氏「検討会を開くというところまでは、私の立場では、今、はっきり申し上げることはできないんですが、見直しについては、答申の中でも見直すようにと言われておりますので、そういった見直しを行っていく予定でおります」

山田氏「ゲノム編集・遺伝子組み換え食品の表示については、検討することすらまだ考えてもいないということか?」

山口氏「現在は、検討させていただいた結果、今の制度で行わせていただきますけれども、皆様のご意見をうかがいながら、私どもとしても、受けとめさせていただきたいと考えております」

 「原料原産地表示」及び「遺伝子組み換え表示」は、言うまでもなく、食料安全保障の問題であり、また、単なる消費者問題ではなく、憲法25条で保障された国民の権利の問題である。消費者庁はじめ関連省庁の今後の動きが、その権利をないがしろにするものとならないよう、厳しい監視の目を光らせなければならない。

 会見の詳細はぜひ全編動画をご視聴ください。

■全編動画

  • 日時 2023年4月6日(木)16:00~18:00
  • 場所 衆議院第一議員会館 1F 国際会議室(オンライン併用)(東京都千代田区)
  • 主催 食の安全・安心を創る議員連盟(詳細
  • 協賛 食品表示問題ネットワーク

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