2022年5月30日午後2時より、東京都千代田区の衆議院第1議員会館にて、「食品表示問題ネットワーク」の主催により、「第4回 食品添加物の無添加・不使用表示について 国会議員を招いての意見交換会」が開催された。
「食品表示問題ネットワーク」は、食品表示の問題について、過去3回、「食の安全・安心を創る議員連盟(会長:篠原孝衆議院議員)」主催の集会を開催している。
2021年6月7日に行われた第1回の集会「食品表示について市民の声を聞く 院内+オンライン集会-ゲノム編集食品・遺伝子組み換え食品・無添加・原料原産地の表示-」では、消費者、メーカー、生協などが、食品表示について、発言・報告を行った。「食品表示問題ネットワーク」はこの集会がきっかけとなって立ち上げられたものである。
消費者庁は、2022年3月30日に「食品添加物無添加・不使用表示」を規制するためのガイドラインを策定した。このガイドラインは、食品表示基準第9条(表示禁止事項)の」解釈についての単なる指針に過ぎないものの、これまで表示可能だった食品添加物の無添加・不使用表示が厳しく規制されることになる。
- 食品添加物の不使用表示に関するガイドライン(PDF)(消費者庁2022年3月30日)
例えば、単なる「無添加」の表示、「化学調味料・人工甘味料不使用」の表示、さらに、「保存料不使用なのでお早めにお召し上がりください」など、健康や安全以外の事項と関連付けた表示も厳格化される。
このガイドラインは、「何が不使用か不明確」などの理由で規制が強化され、違反時の罰則もあるため、事業者の表現の規制につながる。また、本来の正当な不使用表示まで、処分を恐れて自主規制する恐れもあり、消費者がこれまで、商品を選ぶ際の判断基準となっていた「無添加・不使用表示」が消滅してしまうと懸念されている。
会場では、国会議員、弁護士、各地の生協職員、メーカー、参加者など様々な人が、それぞれの現状について、報告・提言・スピーチを行なった。
ZOOMで参加した、「主要農作物種子法廃止違憲訴訟」弁護団の岩月浩二弁護士は、「種子法廃止訴訟をやっていて、つくづく思うのは、今、国の意思決定のシステムが、企業の好き放題にするという内容に完全に変わってしまった。国会も置き去りだ」と述べた。
岩月弁護士は「このガイドラインが拘束力を持つのは、事業者ではなく、消費者庁がこの食品表示基準を運用する際の目安にするという程度の法的意味しか、本来はない」と強調した。
また、今後のガイドラインへの対応については、「まとまることのできる事業者がまとまって、自分たちで、誤認がない、誇張がない基準を作って、それに従って運用していくというような、『結束した形』でこの事態を乗り切っていくという方法。『みんなで渡れば怖くない』方式がいいのかとも考えている」と、考えを明らかにした。
元農林水産大臣で種子法廃止違憲訴訟弁護団の山田正彦氏は次のように語った。
「ガイドラインは、消費者庁の食品表示法に対する運用の内的な指針に過ぎない。法的な拘束力はまったくない。(中略)
大臣も、実際に、本当に『無添加』であれば、本当に化学調味料を不使用であれば、それについては、絶対に処分できない。
もし、そういうことをやるようであれば、私どものほうで、消費者庁に対し、時間が許す限り、消費者庁と直接交渉したいと考えている。そして、堂々と、これまで『化学調味料不使用』、あるいは『合成保存料不使用』、『無添加』、という表示を一生懸命やってきた真面目な業者を私たちは支える。
そしてまた、本当に『食品添加物無添加』の表示をやっている小さな業者さんたちの集まりができれば、そういったものも私たちで支援していこうと思っているところです」。
詳しくは、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。