2022年8月23日、共同通信が「ロシア軍がザポリージャ原発に近い火力発電所を攻撃」と報じた。原発のバックアップ電源をロシア軍が攻撃したことを意味するが、この記事はどの程度信用できるのか?
ザポリージャ原発への攻撃が続く中、ロシア、ウクライナ双方が、相手方の攻撃だと非難しあっている。
8月中旬、マクロン仏大統領はIAEAの原発査察の早期実現を支持、グテーレス国連事務総長は、原発からのロシアの撤退と非武装化を提案した。
しかしロシア外務省のイワン・ネチャエフ報道官は、「IAEAの訪問は6月に調整されていたが、国連事務局が妨害」「非武装化は原発を脆弱にする」と反論した。さらに、ロシアはIAEAと連絡を取り合っており、査察は実施されるだろうが、ウクライナは原発に「猛烈な勢いで軍事攻撃を加えて」おり、その「犯罪の痕跡」を隠すために、「すべてを焼き払う覚悟でいる」と非難した。
また同報道官は、「NATOの弾丸の破片」を原発で多数発見したとし、西側諸国はウクライナの原発攻撃に加担しているため、「IAEA派遣を中止させることに熱心」と主張した。在日ロシア大使館が公表した「ザポリージャ原発への砲弾の部品」とする写真には、米メーカー名が記されている。
- 駐日ロシア連邦大使館のツイート(2022年8月19日)
8月19日、プーチン大統領は、IAEA派遣に関し、ウクライナと国連が合意した条件に同意。一方、ロシアメディア『RIAノーボスチ』は、ザポリージャ原発職員による、ゼレンスキー政権に原発砲撃中止を求めるビデオメッセージや署名を報じた。
こうした経緯から、ロシアは一貫してIAEAの査察受け入れを表明していたことになる。
結局、9月1日からIAEAの査察は実現された。しかしIAEA職員常駐後も砲撃は止まず、火災が発生し、外部電源喪失の事態にまで至る。
9月6日公表されたIAEAの査察報告書では、核燃料貯蔵施設の屋根の穴の写真が公開されたが、砲撃がウクライナかロシアかは言及していない。
そして9月11日、外部電力復旧を理由に、原発が完全停止された。「最も安全な状態である冷温停止状態にする」という。しかし、再び砲撃で外部電力が失われれば、原子炉を冷却する非常用電源の燃料は10日分のみしか貯蔵されていないとされる。
原発攻撃は、「脅し」ではなく、現実に未曽有の核惨事を引き起こす段階まで、差し迫ってきたのである。
詳しくは、ぜひ、記事本文を御覧いただきたい!