元駐ウクライナ全権特命大使の角茂樹氏は、2022年3月18日のテレビ朝日『スーパーJチャンネル』で、ウクライナによる、ロシア系住民の虐殺や差別はないと断言した。
実際は、アゾフ大隊がロシア系住民を迫害し、ウクライナ政府の攻撃で1万人以上死者が出ていることに、角氏は触れなかった。
その後、駐日ロシア大使館が、角元大使とネオナチの元アゾフ大隊司令官のA.ビレツキー、支援者のA.アヴァコフ前内務大臣と一緒の写真を示し、「唾棄すべき犯罪者と一緒」とツイートした。角元大使はアヴァコフ前大臣とマリウポリでアゾフ大隊を視察していたのだ。
アゾフ大隊がネオナチで、ロシア系住民へ加害行為を行ってきたことは、欧米ですらも報じている。アゾフ大隊のウクライナ国軍編入後に、米下院でアゾフ支援禁止法案が提出され、国際的反ユダヤ監視団体ADLが米国の白人至上主義者と「ウクライナ国家警備隊」であるアゾフの関係を詳細に指摘するなど、アゾフ批判は枚挙にいとまがない。
国際政治学者・六辻彰二氏は岩上安身のインタビューで「アゾフが政府のお墨付きのもと、好き勝手やれる状況が加速した8年間だった」と、2014年のユーロマイダン・クーデタで新欧米政権が樹立されてから現在までの8年間を総括している。
にもかかわらず、アゾフによる虐殺等はなかったと地上波で断言した角元大使に、岩上安身は、「冗談もほどほどにしろ」「ウクライナ政府寄りのポジションに立ち、安全な地域だけに行って、都合のいい事実だけを見て、あとは目も耳も塞いでいるのではないか?」と、厳しい批判のツイートを連投した。
一方、林外務大臣は、会見で角元大使の発言への認識は示したものの、IWJの「角元大使の見解は、日本外務省の公式見解か」という質問に一切回答しなかった。
詳しくは、記事本文を御覧いただきたい!
元駐ウクライナ大使の角茂樹氏「ロシア系住民の虐殺や差別は全くない」と断言! 実際はアゾフ大隊が迫害し、ウクライナ政府の攻撃で1万人以上死亡!
2022年3月18日、元駐ウクライナ全権特命大使の角茂樹氏は、テレビ朝日の『スーパーJチャンネル』に出演した際、ウクライナによる、ロシア系住民の虐殺や差別は全くないと断言した。
角氏は「東部には毎年4回、従って合計20回以上出張して現地住民とも親しくお話はしました。その結果私、自信を持って言えるんですがそのようなこと(ジェノサイド)はまったく起こっておりません」と述べたのである。
- ゼレンスキー大統領が日本で演説へ “世界動かす外交”徹底分析(ANN、2022年3月18日)
https://www.youtube.com/watch?v=iHCrOhjAFMw&t=507s(この動画は2022年5月27日時点で視聴不能になっている)
実際には、ウクライナ軍の一部になっているネオナチ組織のアゾフ大隊組織がロシア系住民の迫害を繰り返しており、ウクライナ政府も空爆や砲撃など、重火器による攻撃を行って、約1万人以上の方々が亡くなっている。しかし角氏はその事実については一切触れないどころか、逆に否定している。
角茂樹氏のような、歴然たる事実を地上波の番組に出て公然と真実をねじ曲げた虚偽の発言をしてしまう人物が、かつてウクライナにおいて、大使として日本政府の代表を務めていたことに驚愕する。
そして、日本のマスコミも、ウクライナのネオナチ組織がロシア系住民の虐殺を行っていたことを伝えずに、角茂樹氏のような人物を解説者として起用して、その誤ったコメントに対し、批判も検証も否定も留保すらなく、そのまま流してしまうことに危機感を覚える。
駐日ロシア大使館が角元大使とネオナチの元アゾフ大隊ビレツキー司令官、支援者のアヴァコフ前内務大臣との写真を示し「唾棄すべき犯罪者と一緒」とツイート! 公安調査庁はネオナチが「アゾフ大隊」結成と記述!
その後、角元大使の驚くべき行動が明らかになった。
駐日ロシア大使館の公式ツイッターアカウントが3月30日、角茂樹・元駐ウクライナ大使が、ウクライナの元アゾフ大隊司令官・アンドリー・ビレツキーや、アルセン・アヴァコフ前内務大臣らと並んで撮った記念写真を掲載し、次のように投稿した。
「日本の公安調査庁は、アゾフ連隊はネオナチ組織として認めています。にもかかわらず、日本政府関係者がウクライナのA.アヴァコフ前内務大臣やアゾフ連隊首領の一人であるA.ビレツキーといった唾棄すべき犯罪者と一緒にしていることは理解に苦しんでいる」
駐日ロシア大使館が言うように、日本の公安調査庁のホームページの「国際テロリズム要覧2021」の中で、「極右過激主義者の脅威の高まりと国際的なつながり」のページには、アゾフ大隊の思想や結成の経緯など、次のように記されていた。
「2014年,ウクライナの親ロシア派武装勢力が,東部・ドンバスの占領を開始したことを受け,『ウクライナの愛国者』を自称するネオナチ組織が『アゾフ大隊』なる部隊を結成した。同部隊は,欧米出身者を中心に白人至上主義やネオナチ思想を有する外国人戦闘員を勧誘したとされ,同部隊を含めウクライナ紛争に参加した欧米出身者は約2,000人とされる」
ところがその後、ウクライナ政府の「アゾフはネオナチでない」というプロパガンダのためか、「アゾフ大隊」の記述を削除して、「公安調査庁が『アゾフ大隊』をネオナチ組織と認めたものではありません」と非常に不可能な言い訳のコメントを掲載した。詳しくは下記の日刊IWJガイドを御覧いただきたい。
IWJはこれまでにも、アゾフ大隊など、ネオナチ部隊や白人至上主義らの動向についてお伝えしてきた。岩上安身が国際政治学者の六辻彰二氏に行った2回のインタビューは以下のURLから御覧いただける。
- フルオープン【3/30 19時頃~ライブ配信】岩上安身による国際政治学者 六辻彰二氏インタビュー 第2弾(34分ごろ~)
https://www.youtube.com/watch?v=lBl_KnzzXAk
極右ネオナチ組織、アゾフについてのIWJの記事は、以下のURLから御覧いただける。
角元大使はアヴァコフ前内務大臣とマリウポリに出張しアゾフ大隊を視察! その上でアゾフのロシア系住民虐殺はなかったと「確信犯的な発言」!
角元大使が一緒に写真を撮ったアヴァコフ前内務大臣は、民兵組織だった #アゾフ大隊 がウクライナ国家親衛隊アゾフ連隊になった際、「ナショナル・コープス党」を作って国会議員になったビレツキーを積極的に支援した人物である。
▲アルセン・アヴァコフ元ウクライナ内務大臣(Wikipedia、Виктор Г. Алексеев)
▲アゾフ大隊の最初の司令官で、ナショナル・コーブス党党首のアンドリー・ビレツキー氏。2014年から2019年までウクライナ議会議員を務めた。(Wikipedia、Анна Дубровська)
外務省のホームページには、当時の角大使が2018年12月の離任に際し、アヴァコフ前内務相とヤツェニューク前首相を表敬訪問して、「在任中の支援に対して感謝するとともに、アヴァコフ内相とともに南東部のマリウポリに出張し、内務省傘下のアゾフ部隊を視察したことは印象深い出来事であった旨述べました」と書かれている。日本外務省自ら、角元大使がアゾフを視察したことを授業して掲示しているのである。
角元大使は表敬訪問の際、アヴァコフ前内務相から「内務大臣貢献勲章」を授与されている。
激戦が展開されてきたマリウポリは、 #アゾフ連隊 が本拠地を築いていたことで知られている。前述のように、角元大使は「ウクライナでロシア語話者に対するジェノサイドはなかった」と地上波のテレビ番組で断言した人物である。
そうした人物が就任に際して、「アルセン・アヴァコフ内相とともに南東部マリウポリに出張し、内務省傘下のアゾフ部隊を視察したことは印象深い出来事であった」と語ったというのだから、看過することはできない。このアゾフらこそ、ロシア系住民(ロシア語話者)を民間人まで含めて無差別に虐殺してきたネオナチ組織なのだ。
角元大使は、「その犯行について、自分は知らない」とトボけたのならまだしも、「その犯行はなかった。起こっていない」と言いきっているのだから、これは「確信犯的な発言」であったことは間違いない。
ウクライナとネオナチに加担し、犯行はなかったことにし、しかも、その犯行者たちと面識があり、視察したのは印象深い出来事だったと懐古している。こんな人物が元大使という肩書で、地上波のテレビに登場し、虚偽の発言を行い、テレ朝はそれをたれ流す。こんなことが日本で許されていいのだろうか!?
アゾフ大隊の国軍編入後に、米下院でアゾフ支援禁止法案提出! 国際的反ユダヤ監視団体ADLは米国の白人至上主義者と「ウクライナ国家警備隊」アゾフの関係を詳細に指摘!
3月26日付けの日刊IWJガイドでもお伝えしたように、「アゾフ大隊」はビレツキーが率いていたネオナチ集団「パトリオット・オブ・ウクライナ」が中核となって創設された民兵組織であり、ビレツキーが政界進出後もその思想は変わっていない。彼らが、ネオナチであり、ロシア系住民へ加害行為を行ってきたことには数々の証拠・証言があり、欧米ですらも報じている。
ニューヨーク・タイムズ、ガーディアン、BBC、テレグラフ、ロイターなど、多くの西側メディアが、#アゾフ連隊 のネオナチ的特徴を報じている。
※本記事は「note」でも御覧いただけます。単品購入も可能です。
https://note.com/iwjnote/n/n6e007e425b6b