9月17日付で、厚生労働省は「抗体カクテル療法」を自宅療養中の患者への往診にも認めるとする事務連絡を全国自治体に出した。
抗体カクテル療法が自宅で受けられるようになってから5日後の2021年9月22日、衆議院本館にて、野党合同国会第4回「『コロナ対策ヒアリング』―内容:新型コロナウイルス対策および学校における感染対策などについて、厚生労働省、内閣府、外務省、文部科学省より」が行われた。
冒頭、長妻昭議員(厚生労働部会長)が入国規制緩和についての懸念と自宅で死亡した事例についての調査不足を指摘した。
次いで、野党側から事前通告をした質問の抗体カクテル療法の自宅使用について、質疑が行われた。
「抗体カクテル療法の自宅使用の全国展開はいつからするのか」という事前通告質問に対して、厚生労働省コロナ対策本部の職員が以下のように回答した。
「まだ調整中であり、現時点で、確認しているのは大阪、東京でスタートしている状態です。
また、カクテル療法を受けられた人数につきましては、患者の類型(入院患者、自宅療養者等)ごとに使用量を把握することは医療機関に過度な負担をかけることになりかねず、困難で、把握しておりません」
この回答に対し、立憲民主党・山井和則衆議院議員は「あまりにも遅い」と、強く訴えた。
「総理大臣が指示をして1週間たって、『何人自宅使用をしているか把握しておりません』。
いやいや人数を把握しないんだったら、効果も何も把握できないわけであって。
昨日もテレビでやっていましたけれど、自宅使用で抗体カクテル療法が可能になったけれど、これを1カ月前、もっと前にやってくださったら、救えた命が非常に多かったということを、医師の方もおっしゃっておられました。
それで結局これも、今終息しつつあるんです。第5波で多くの方が入院できていたら。
結局、自宅(療養)は、あと1週間2週間経ったら、もうする必要が、第5波においてはなくなりますよ。
その段階で全国展開といったって、対象者はいません。はっきり言って。療養施設に入院できるわけですから、もう勘弁してくださいよ。
抗体カクテル療法の自宅使用の全国展開はいつからするのか。
1週間経って2つの自治体。私は、大阪、3人じゃないかと聞いています。ちょっと、あまりにもちょっとスピード、遅すぎる。
1カ月前から私たち要望して。
2万7000人に投与して副作用で亡くなった人はゼロということも、もう出ているわけなので。
本当に私たち1ヶ月前から言っているので、今自治体から要望が来ているところを速やかに認めてください。
1週間2週間、調整したらもう終わっちゃいますよ。第5波終わってしまいますよ」。
その他、野党側から事前に通告した質問に対し、厚生労働省、内閣府、内閣官房、外務省からの回答が行われた。以下が、その質問事項である。
1. 抗体カクテル療法の自宅使用の全国展開はいつからするのか。
2. 今日までカクテル療法の自宅使用は、何自治体、何人に行われたか。医療機関が手を挙げたら、自宅使用のための抗体カクテル療法の薬剤は入手できるか。
3. 9月末に緊急事態宣言を全面解除し、まん延防止措置に移行するか否かは、自民党総裁が決まる前、28日(火)までに決まるのか、その際の判断基準は何か。
4. 9月末に緊急事態宣言を全面解除し、まん延防止措置も取らない場合、東京の沖田准教授は、『10月上旬から、感染が再拡大し、東京では、11月末に新規感染が、日に5000人になる可能性がある』と試算している。この試算への政府の見解をお聞かせください。
5. コロナによる子供の貧困が深刻です。1人5万を400万人の子どもに、春、支給した。子育て世代と区別給付金の選挙前の2回目の再支給を、子どもの貧困の支援団体から出ている。選挙前に再支援すべきではないか。
さらに、9月17日の「水際対策強化にかかわる新たなる措置」について以下の質疑と回答が行われた。
1. 米国やフランス、タイなど20か国とロシアの一部地域を、待機なしにした理由、客観的指数は、何か。
2. デルタ株は、「特に懸念すべき変異株」でありながら、デルタ株の感染が必ずしも収まっていない国からの検疫を緩和しているのはなぜなのか。
3. 空港での検査は第一段階で「抗原定量検査」、場合によって「PCR検査」が行われている。厚生労働省は、「抗体定量検査」と「PCR検査」の精度の差がどの程度あると認識しているか。また、その根拠となるデータは何か。
4. 厚生労働省は、国立感染症研究所の「SARS-CoV-2 検出検査のRT-qPCR法と抗原定量法の比較」(IASR Vol.42 p126-p128:2021年6月号から)から、PCR検査と抗原定量検査の精度をどのように認識しているか。
5. 待機期間の緩和措置をとるのであれば、検査体制は最大原強化すべきとお考えるが、検査体制の見直し(到着時、3日後の最低2回のPCR検査の実施等)はしないのか。
6. 厚生労働省が保険適用としている新型コロナウイルス感染症抗原定量検査の機器は、何社何種類あるのか。
7. 水際対策上重視する変異株として、ベータ、ガンマ、デルタの3系統に、イータ、イオタ、カッパ、ラムダ、ミューの五系統を新たに加え、名称を「特に対応すべき変異株」と改めたが、「特に対応すべき」とはどのような対応をするべきなのか。
以上