2021年9月3日、東京都千代田区の衆議院本館で、立憲野党議員による政府担当者へのヒアリング「野党合同国会」が行われた。新たに特例承認された抗体カクテル療法薬の利用拡大などについて、厚生労働省と文部科学省の担当者が答えた。
ヒアリングでは、政府に対し、新型コロナウイルス感染者の重症化予防の切り札とされる、抗体カクテル治療薬(販売名、ロナプリーブ)について、自宅療養にも使用できるよう取り組むべきだ、との要請が行われた。
ロナプリーブは、現在、点滴静脈注射薬として入院患者に投薬されている。
立憲民主党の山井和則衆議院議員は「(コロナ患者は)タクシーにも乗れないし、自家用車も家族が乗せていくわけにもいかない。移動手段がないので外来に行けない」と指摘し、「全国の訪問診療に取り組んでいる医者から、抗体カクテル療法をぜひ自宅でも使わせてほしいという要望が出ているが、(厚労省の)文書回答によると(利用拡大が)遅々として進んでいない」と指摘した。
これに対し、厚労省の梅田浩史・健康局結核感染課室長は「点滴薬であるので、まずは入院患者、それから外来で対応できるよう進めている」「自宅療養者に対し、往診でできることを目指して、できることを着実に進めていきたい」と述べた。
ヒアリングが行われている最中に、自由民主党総裁選挙に出馬を表明していた菅義偉内閣総理大臣が、出馬辞退を表明した旨のニュースが流れた。
立憲民主党の原口一博衆議院議員は、出席している官僚たちに向かい「総理が辞めるという話ですけど、本当に心が折れますよね。一生懸命こうして議論している最中に、またゼロからのスタートとなる」と述べ、「この『足を引っ張る政治』を一刻も早くなくすということを頑張りたい」と決意を表明した。