新型コロナワクチン接種後、死亡した事例での国の救済措置は、本当に機能しているのだろうか?
疑問を感じたIWJ記者は、2021年7月13日、厚生労働省で行われた田村憲久厚生労働大臣の定例会見で、以下のように質問した。
「田村大臣は今年2月19日の衆院予算委で、立憲民主党の末松義規議員の質問に答えて、新型コロナウイルスワクチンの接種後、副反応などで死亡した場合、遺族に4420万円が支払われると答弁されています。
一方、厚労省HPの『予防接種健康被害救済制度』には『接種に係る過失の有無にかかわらず、予防接種と健康被害との因果関係が認定された方を迅速に救済するものです』『その健康被害が接種を受けたことによるものであると厚生労働大臣が認定したときは、市町村により給付が行われます』『厚生労働大臣の認定にあたっては、第三者により構成される疾病・障害認定審査会により、因果関係に係る審査が行われます』と明記されています。
厚労省は7日、新型コロナワクチン接種後の死亡事例を453件と発表しましたが、その内訳は『ワクチンとの因果関係が否定できないもの』が1件、『因果関係が認められないもの』が1件、『情報不足等により因果関係が評価できないもの』が451件とのことです。
453件の死亡事例のうち、厚労大臣が認定した事例は何件で、『迅速に救済』された事例は何件でしょうか?
また、副反応で死亡した疑いがある場合は、遺体は保全されるのでしょうか?
その際、例えば『検死』のような調査は行われるのでしょうか?
また、遺族が審査結果に不服がある場合は、どのように対応すればよろしいのでしょうか?」。
これに対して田村大臣は、次のように回答した。
「申請が出てこないことには、申請手続きに乗りませんので、お亡くなりになられている事例はありますけれども、申請を出していただかないことには対象になりません。ですから、今言われた全てが対象になるかどうかは申請を出していただくかどうか、ということになります。
一定程度、申請のほうは出てきていると思いますけれども、これは、これから審査会を準備しておりますので、審査会で、これはもう専門家の方々に予断のない審査をいただいて、その上で判断をさせていただくということになります。
最終的には厚生労働大臣が認定しますが、私が全てを見るわけではないので、これは専門家の方々にしっかりとご審査をいただくということになります。
ご遺体の保全だとかそういうのは、そのそれぞれの方々の対応だと思いますので、いつ審査が出てくるか、ご遺体を埋葬されたあと申請を出してこられる方々もおられると思いますので、そこは制度の中でそういうものが決まっているわけではない、ということでございます」。
田村大臣の答えはIWJ記者が質問で指摘した厚労省の救済措置の手順をただ繰り返したに過ぎない。
453件の死亡事例のうち、どれほどの遺族が救済措置を求めているのかは明らかにせず、疾病・障害認定審査会による因果関係の審査についても「これから準備をしている」「予断のない審査」だとしか答えないのでは、ワクチン接種に対して副反応への不安を感じる人々へは、何の安心材料も与えることはないだろう。
田村厚労大臣の会見の詳細は、ぜひ全編動画を御覧いただきたい。