松戸徹・船橋市長から安心・円滑なワクチン接種体制の報告。菅総理発言「ワクチン接種1日100万回超え」は虚偽! 政府は自宅療養者122名の死に関心なし!?~6.10第18回「ワクチン進捗フォローアップ野党合同チーム」ヒアリング 2021.6.10

記事公開日:2021.6.11取材地: テキスト動画
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(取材、文・IWJ編集部)

 2021年6月10日(木)午後2時より、衆議院本館にて、第18回「ワクチン進捗フォローアップ野党合同チーム」ヒアリングが開催された。

 冒頭、立憲民主党の原口一博国対委員長代行が、「昨日(9日)党首討論が行われましたが、菅首相は野党の3つの問いに対し、実質ゼロ回答でした。オリンピック・パラリンピックのリスク評価をうかがえば、自身のオリンピックの思い出を話され、そのほか国会会期延長、補正予算に対しても無回答でした」と菅義偉総理と政府のあり方に苦言を呈した。

 今回のヒアリングでは、千葉県船橋市の松戸徹市長がZOOMを通じて参加し、船橋市のワクチン接種体制を解説した。

 船橋市は人口64万2174人(29万6325世帯)で、政令指定都市を除く中核市としては人口が最も多く、鉄道9路線による35駅を市中に有している。その中には、JR東日本の乗客数ランキングで東京都内の駅に匹敵する24位の西船橋駅、25位の船橋駅もあり、従来より東京に準ずる人流があることを意識して、新型コロナ感染症に対して緊張感を持ってきたという。

 松戸市長によれば、船橋市のワクチン接種は、まず医療従事者、次いで高齢者施設等の入所者、その次に85歳以上の方、80歳以上、75歳以上…と高齢者を5歳刻みに分け、優先順を明確にした上で接種券を分割発送し、迅速に接種計画を進行させたとのこと。さらに、市医師会との連携と協議により、医療機関での個別接種体制を構築したという。そこには、かかりつけ医での接種が接種者にとって安心感があり、持病・病歴も把握されているので問診時間も短く、円滑な接種が可能だという判断があった。

 船橋市の5月当初の計画では、65歳以上の高齢者接種完了は8月15日の予定だったが、現在はこれを7月末に繰り上げるため、協力金を提示して接種実施医療機関数の増加を図り、すでに稼働している機関には、休日や時間外の接種を依頼し、6月末より市直営の会場での集団接種を実施するという。回を重ねる本ヒアリングにおいて、またも地方自治体のきめ細かな対応の実態が明らかにされた。

 また、今回のヒアリングには、森友問題や桜を見る会など、様々な問題に関して情報公開、資料開示請求を行ってきたWADA(ツイッター名)氏もZOOMで参加した。WADA氏が得た警察庁資料から判明した、医療機関ではなく自宅と宿泊施設で療養中に亡くなったコロナウイルス陽性者122人の存在に関しても、WADA氏と野党議員より関係省庁に質問がなされた。

 ヒアリング終盤では、ワクチン接種進捗状況やオリンピック・パラリンピックに関連した疑問点について、厚生労働省、内閣官房(オリパラ事務局)、総務省、防衛省の担当者との質疑応答が行われた。

 前日の党首討論において菅総理が述べた、「ワクチン接種が1日100万回を超えてきた」についての事実確認が要求された。また、ワクチン接種後の死亡例に関して、厚労省の調査や情報公開が不足だとの批判も出た。

 野党合同チームにより、事前に各省に渡されていた質問事項は、以下の10項目になる。各省はこれに文書で回答し、そのうえで本ヒアリングで説明することを求められた。

1、厚労省に。昨日、厚労省の会議で報告された西浦教授による予測を資料配布して説明し、この予想について厚労省見解を述べてください。また、実際にこの予想通りになる可能性はありますか。

2、オリパラ事務局に。西浦教授の予想のように8月に感染拡大し、緊急事態宣言が出る危険性が高まっても、五輪は行いますか。

3、内閣官房に。オリンピックの開催の可否について、菅首相が、コロナ分科会や専門家の方々から正式にヒアリングしたり、議論したことはありますか。もしあるなら、いつどの場でヒアリングをしましたか。もしないなら、いつやる予定ですか。

4、厚労省、総務省に。菅首相が党首討論で発言した、『ワクチン接種が、8日は100万回を超えてきた』という数字の根拠を資料を配布して説明して下さい。また、昨日まで1週間の1日当たりのワクチン接種回数と、その平均回数を資料を配布し、説明してください。

5、厚労省、総務省に。もし、菅首相の発言の1日の『100万回の接種』が虚偽あるいは不正確であったなら、党首討論で発表された重要な数字である以上、いつどのような形で、菅首相の発言を訂正しますか。

6、厚労省、総務省に。全国民の希望者へのワクチン接種を11月に完了させると菅首相は発言したが、それが可能である根拠は何ですか。その根拠を資料配布してご説明下さい。

7、厚労省、総務省に。この11月末に接種完了の発言は、自治体にヒアリングをして、実現が可能と判断した数字ですか。何割の自治体が11月に完了できる予定ですか。あるいは、自治体の接種見通しとは無関係に、菅首相が目標を述べたのですか。

8、厚労省、総務省に。11月に接種完了させるためには、1日何人の打ち手が必要ですか。その打ち手の見通しは立っていますか。

9、厚労省に。もし、11月に接種完了を目指す上で、また、職域接種が大幅に増える中、打ち手が足りなくなった場合は、十分な研修をした薬剤師を打ち手に追加する可能性はありますか。ないですか。もし、わからないなら、打ち手が不足するかしないか、薬剤師を打ち手に必要か否かは、いつわかりますか。

10、防衛省に。大規模接種会場の予約が2割と少ないため、『全国の高齢者に対象を広げることを検討している』という報道がありますが、そのような検討をしていますか。

 各省よりのヒアリング参加者は以下のとおり。

厚生労働省
健康局健康課健康対策企画室 宮腰奏子氏
健康局健康課予防接種室長 林修一郎氏
新型コロナウイルス感染症対策推進本部参事官 高城亮氏
医政局医事課課長補佐 内田洋介氏

内閣官房
新型コロナウイルス感染症対策推進室内閣参事官 坂口和家男氏
オリンピック・パラリンピック推進本部事務局参事官 吉田英一郎氏

総務省
新型コロナワクチン接種地方支援本部事務局参事官 中野祐介氏

防衛省
統合幕僚監部参事官 家護谷昌徳氏
人事教育局衛生官付先任部員 大森紀興氏

 詳しくは全編動画を御覧いただきたい。

■全編動画

  • 日時 2021年6月10日(木)14:00~
  • 場所 衆議院本館(2F)第4控室(東京都千代田区)
  • 詳細
  • 出席 千葉県船橋市 松戸徹市長、厚生労働省、総務省、内閣官房(コロナ対策室、オリパラ事務局)

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