2021年4月30日(金)、午前9時25分より、東京都千代田区の総務省庁舎にて、武田良太総務大臣の定例会見が行われた。
冒頭、武田大臣より、3月の労働力調査の結果、4月の東京都区分の消費者物価指数について報告があった。
続いて、武田大臣と各社記者との質疑応答となった。放送事業者などへの外資規制、総務省の有識者会議が4月26日にまとめた報告書(携帯電話の普及による公衆電話の削減)、4月28日から29日の2日間、テレビ会議形式で開催されたG7デジタル・技術大臣会合の内容、そして、マイナンバー事業における随意契約数などについて、各社記者より質問があった。
IWJ記者は、「国民投票法の改悪」についての質問を準備していたが、残念ながら指名されず、武田大臣に質問することはできなかった。
この「国民投票法の改悪」案(以降、改悪案)は、ナチスドイツのヒトラーが独裁体制を樹立した国防授権法(全権委任法)に匹敵する独裁条項である緊急事態条項を含む「自民党憲法改正案」を容易に成立させることができるようにするためのものである。また、改悪案には、改憲広告のCM規制についての規定がなく、憲法改正について、改憲派の恣意的なCM広告による世論操作を可能にするものである。
この改悪案は、4月22日の衆院憲法審査会での採決が見送られた。しかし、政府は、このゴールデンウィーク明けの5月6日に採決し、5月11日には衆院を通過させる方針であると報じられているが、そのような暴挙は絶対に許してはならない。
「国民投票法の改悪」案についてのIWJの問題意識をより多くの人々と共有するため、IWJ記者が用意していた質問を、以下に全文紹介する。
「4月22日の衆院憲法審査会では、国民投票法の採決は見送りとなり、政府与党は、改めてゴールデンウィーク明けの5月6日に採決、そして、5月11日に衆院を通過させる方針であるとのことです。
国民投票法の改悪によって、ナチスドイツのヒトラーが独裁体制を樹立した国防授権法、全権委任法とも言いますが、それに匹敵する独裁条項を含んだ、改憲案を容易に成立させることができるようになってしまいます。
あろうことか、このコロナ禍で国民が苦しんでいる最中にこんな危険な法律の採決を急ごうとしていることに、どんな正当な理由があるのかお聞かせいただけますでしょうか? 集団的自衛権の発動によって近隣国と戦争するための戦時体制を急いで築こうと焦っているのでしょうか? その狙いを明らかにしてください。
野党の方々は、法案に、改憲広告のCM規制がないことを批判しています。当然のことで、今回のような『法的規制なし』、『民放連の自主規制もなし』という状況で前例が作られれば、カネさえあれば、だれでも、世論操作のCMを流してよいことになります。
なぜ、総務省が自ら率先して、CM規制を行わないのか。こうしたことが許されれば、カネを持つものがどのような広告を垂れ流してもよいことになりますし、外国資本が世論操作の広告を流したいと言ってきても、カネさえ出せば節操なく広告費用を受け取るテレビ局はそれを垂れ流してしまうでしょう。
テレビ局への外資規制の厳格化とともに、CM規制の厳格化も必要ではないでしょうか。倫理なき強欲なテレビ局や広告代理店に規制をかけられない総務省は、同じく倫理なき行政と批判されてしかるべきだと思いますが、武田大臣のご見解を教えてください」
また、4月22日の日刊IWJガイドに掲載された「岩上安身による緊急事態条項を含んだ改憲への道を開く国民投票法改正案反対の檄文」もぜひ、あわせてご一読いただきたい。
コロナ禍で多くの国民が苦しんでいるただ中での、政府のこのような暴挙を決して許してはなりません。
武田大臣の報告、質疑応答は全編動画にてご確認いただきたい。