米国大統領選挙は、2020年11月5日19時現在、バイデン候補優勢で開票が進んでいる。しかし、コロナ第3波の真っただ中で行われた米国大統領選挙、どちらが勝つにしろ、新型コロナウイルス感染拡大世界ワースト1位の米国の現実は新政権に重くのしかかってくる。
2020年春からずっと、トランプ大統領は「コロナはただの風邪」と軽視、本来は協力しあって感染拡大を防ぐべき米国疾病予防管理センターCDCの所長ファウチと敵対し、十分な感染症対策を怠ってきた。
トランプ大統領は、中国での感染拡大が3月のうちに抑制された後もずっと「武漢ウイルス」と呼び、中国が感染を拡大させたと非難し続けてきた。しかし、そんなトランプ大統領も、大統領選挙の大詰めを迎えた10月2日、自らが新型コロナウイルスに感染したことをツイッターで報告、驚異的な回復力で大統領選の前線に戻って来たものの、厳しい戦いを強いられている。
投票日の翌日、11月4日の1日で、米国ではこれまでの最大数となる10万8389人の新規感染者が確認された。これは日本のこれまでの累計感染者数に匹敵する。
2020年11月5日17時現在、世界の新型コロナウイルス累計感染者数は4847万9,559となっているが、米国の累計感染者数は980万2374人と、世界のおよそ5分の1を占める。これは欧州全体の累計感染者数1104万2013人に匹敵する人数であり、このままいけば11月7日か8日には、1000万人を突破する勢いだ。
これまでの大統領選挙の勝者予測を的中させて来たアラン・リクトマン教授による13の指標のうち、トランプ大統領は8つを取れる見込みだった。しかし、米国におけるコロナ・パンデミックの拡大と長期化によって、トランプ大統領は2つの指標を失い、6つしか取れず、大統領選に敗北する可能性が濃厚になっている。
つまり、トランプ大統領が負けるとすれば、それはバイデン候補に負けたというよりも「コロナに負けた」ということができるのかもしれない。
IWJでは、米国の感染規模がいかに大きいか実感できるように、世界のワースト4位の国と欧州、そして中国と日本の累計感染者数の比較グラフを独自に作成している。本文で御覧いただきたい。
▲ワイルドウッド、ニュージャージー州、トランプ大統領の選挙集会(撮影:David Todd McCarty、Unsplash)
激しく競り合う米大統領戦!日本時間6日午前2時に鍵を握るネバダ州が投票結果を公表の予定!
▲トランプ大統領( Library of Congressより)
▲ジョー・バイデン民主党候補(wikipedia)
米国大統領選挙は、日本時間11月5日午後8時現在、トランプ候補214人に対してバイデン候補が264人と優勢である。
もう少しすると地球の裏側の米国は朝を迎えるので、事態が動き始めるだろう。日本時間6日午前2時(現地時間5日正午)には、鍵を握る州のひとつであるネバダ州が開票結果を公表する。その他、ペンシルべニア州、ノースカロライナ州、ジョージア州、アラカス州が、まだ最終結果が確定していない。これら4州は9割以上開票が進んでいるのだが、トランプ・バイデン両候補が激しく競り合っている。
▲「MAKE AMERICA GREAT AGAIN(偉大なるアメリカを取り戻せ)」トランプ大統領陣営のキャッチコピーを刺繍したキャップ(撮影:C Drying、Unsplash)
トランプ陣営は、日本時間4日午後2時半(現地時間午前2時半)、ホワイトハウスにおいて一方的な勝利宣言を出し、「重大な詐欺」が行われており、「開票の中止を求める」と主張するなど、仮に自分が敗退しても徹底抗戦の構えを見せた。本当にそのような愚挙に出れば、結局は米国の政治的な空白を長引かせ、もはや手遅れに近いコロナ感染爆発への対応ができなくなり、国際政治の舞台においても米国の存在感を損なうことになるだけだろう。
米国「第3波」感染爆発の真っただ中での大統領選挙というタイミング!
春からずっとトランプ大統領は「コロナはただの風邪」と軽視、本来は協力しあって感染拡大を防ぐべき米国疾病予防管理センターCDCの所長ファウチと敵対し、十分な感染症対策を怠ってきた。
中国での感染拡大が3月のうちに抑制された後もずっと「コロナウイルス」を、中国由来であることを強調するために、「武漢ウイルス」と呼び、「中国が感染を拡大させた」と非難し続けた。
春、3~4月にニューヨークで爆発した感染拡大の第1波はいったんは抑制されたものの、夏、7~8月には第2波がトランプ大統領の支持者が多い南部地域を襲った。
この第2波は、マスクを嫌うトランプ大統領が6月20日に開催したオクラホマ州での選挙集会がひとつの感染拡大要因になったのではないかと言われている。