「在庫一掃」「閉店セール内閣」など、第4次安倍改造内閣に批判が集まる中、その裏では改憲への準備が着々と進んでいるようだ。
自民党は憲法改正案をめぐる公明党との事前の調整を断念。その代わりに、自民党の改憲4項目(緊急事態条項、9条改正、参院選合区解消、教育の充実)を議論の「たたき台」として、単独で衆参両院の憲法審査会に提示。その後、野党も含めた国会の場で協議を進めるという青写真を描いていると、10月6日の朝日新聞は報じている。
- 自民の改憲案、公明との事前調整見送り 国会の場で協議(朝日新聞、2018年10月6日)
同紙によれば、自民党が想定する改憲の流れは次の通り。商業施設でも投票可能にするなどの「国民投票法改正案」成立後に、憲法審査会で自民党改憲案を提示。公明党や野党の一部と協議し改憲原案を策定した後、国会に改憲原案を提出。憲法審査会出席議員過半数の賛成可決を経て、衆参本会議総議員3分の2以上の賛成可決を勝ち取り、国民に発議するというもの。
これまで公明党は、自民党改憲案への慎重姿勢を崩さず、「憲法審査会での議論が基本」と主張してきた。その姿勢をさらに硬化させたのが、与党が推薦した佐喜真淳(さきま あつし)候補が約8万票差で敗れた沖縄県知事選挙だった。公明党幹部は「このままでは本当に(選挙で)負ける。改憲どころじゃない」などと、話しているという。
その公明党の山口那津男代表らは10月2日、新執行部発足に伴うあいさつ回りで野党幹部らを訪問。国民民主党の玉木雄一郎代表とは、安倍晋三総理が意欲を示す改憲に対し、慎重に対応する考えで一致したと言う。
改憲には賛成の立場をとる玉木氏はその上で、「(公明党とは)かなり共通して憲法に向き合えるところがある。よく連携して憲法の問題に取り組みたい」などと語ったとのこと。
「野党も含めた国会の場で協議を進める」という自民党が描いた青写真に、国民民主党が積極的に乗っかってゆく可能性は、大いに考えられる。
- 公明・国民、「改憲、慎重に対応」で一致 山口氏「憲法、与野党ない」(朝日新聞、2018年10月4日)
国民民主党の玉木代表に関しては、ぜひ以下の記事もご覧いただきたい。
他方、憲法改正の国民投票で改憲案への賛否を呼びかけるテレビCMの規制について、日本民間放送連盟は9月20日、CMの自主規制を行わないことを決定した。資金力のある政権与党が大量のテレビCMを流すことが可能となり、改憲派に有利となるという問題が指摘されていたが、その懸念は解消されないままとなった。
臨時国会は10月24日か26日に召集する最終調整に入っているとのこと。まずは、憲法改正に先立ち、前出の国民投票法改正案を臨時国会で成立できるかが改憲への試金石になると見られている。
IWJは自民党が改憲を目論む「緊急事態条項」の危険性をかねてより訴え続けている。
「緊急事態条項」がいったん導入され、実際に発令されるようなことになれば、取り返しがつかなくなる。「緊急事態」の期間に期限がなく、解除の手続きも記されていないことから、「緊急事態条項」が発令されたら最後、立法権をはじめ、あらゆる権力が内閣に集中し、国民は、一人残らず永続的に国家に属したままとなってしまう危険性がある。「永久独裁条項」と言っても過言ではない。
「緊急事態条項」の導入は、民主主義にとって、憲法9条改悪よりもはるかに危険なのだ。
この「#ヤバすぎる緊急事態条項」のからくりについては、岩上安身が永井幸寿弁護士へのインタビューを通してひとつひとつ明らかにしている。現在、公共性に鑑み全編公開中である。ぜひこの機会にご視聴いただきたい。
また、IWJでは「緊急事態条項」についての特集も組んでいる。こちらもぜひあわせてご覧いただきたい。
岩上安身が澤藤統一郎弁護士、梓澤和幸弁護士と2012年版の自民党改憲草案の危険性を読み解いた『【増補改訂版】前夜』はこちらからお求めいただきたい。
改憲派の勢いが「票になる」と踏んだか。
この党は第二の維新を目指しているようだ。
着々と進む改憲への青写真!? 自民党は公明党との事前調整を断念するも、野党第2党・国民民主党の玉木雄一郎代表は、改憲国会協議に積極的な構え!? https://iwj.co.jp/wj/open/archives/433414 … @iwakamiyasumiさんから
https://twitter.com/55kurosuke/status/1049946021378195456