「1人の男のとんでもない歴史観のために、日本人全員が巻き込まれようとしている」 〜ロックの会4周年、岩上安身が指摘する日本が直面する「本当の危機」とは? 2015.6.9

記事公開日:2015.6.19取材地: テキスト動画独自
このエントリーをはてなブックマークに追加

(IWJテキストスタッフ・関根)

※6月19日テキストを追加しました!

 「安倍首相はポツダム宣言について、『つまびらかに承知していない』と答えている。ポツダム宣言には、日本の再軍備は許さないと書いてあり、これを受諾したのに、承知していない(=認めていない)という安倍首相の発言は、国連の敵国条項に抵触する」──。

 岩上安身は、敵国条項の対象である日本に、軍国主義復活の兆しがある場合、国連加盟国から厳しい制裁を受ける可能性があるとし、「1人の男のとんでもない歴史観のために、日本人全員が危険に巻き込まれようとしている」と警鐘を鳴らした。

 2015年6月9日、東京都内にて、第42回69(ロック)の会が行われた。2011年6月9日の第1回目の開催から4周年を迎えたこの日、女優の松田美由紀氏、映画監督の岩井俊二氏、音楽プロデューサーの小林武史氏、IWJの岩上安身、環境運動家のマエキタミヤコ氏、ピースボート共同代表の吉岡達也氏ら、ロックの会オーガナイザーたちが久々に顔を揃えた。また、参議院議員の山本太郎氏、原子炉技術者の後藤政志氏、女優の毬谷友子氏も参加し、これまでの4年間に起きたさまざまな出来事、現在の社会状況などを語り合った。

 4年前には、自分が国会議員になるとは思わなかったという山本氏は、「今、国会にブレーキはない。次々に悪法が決まる。それを変えるには政権交代しかない」と訴えた。小林氏は、長いものに巻かれやすい日本の国民性を指摘した上で、「ここまで不穏な時代になるとは思わなかった」と感想を口にした。

 松田氏は、「いろんな意見をオープンに話し合えること。それが持続可能なことが、本当に大切だと思う」と述べ、開かれた自由な言論の場として、今後もロックの会を続けていく意欲を示した。

記事目次

■イントロ

今一番危ないのは『テロ』にヒモ付けした治安系の法案

 冒頭で、松田氏と岩井氏、実行委員会の小澤弘邦氏が登壇し、「3.11直後の不安な社会の中で、当会はスタートした。4周年を迎えたが、祝うことなく、新たな決意を示すロックの会にしたい」とあいさつをした。

 続いて、山本氏、マエキタ氏、岩上安身もステージに上がり、4年間を振り返った。山本氏は、「4年前は俳優だった。まさか、こんな人生になるとは思わなかった。原発事故さえなければ、と思ったりもするが、遅かれ早かれ事故は起きただろう。今、国会では被曝は忘れられた問題になったが、自分は訴え続ける」と話した。

 続けて松田氏が、「3.11で価値観の大変換を体験した。マスコミ報道のウソ、物が一斉に店からなくなる日常生活のもろさに驚いた。しかし、今なお何も改善されず、さらに悪くなっていることに余計驚いている」とため息をついた。

 山本氏は、3.11後の被災地復興支援政策などは完全な火事場泥棒だったと断じ、「今一番危ないのは、『テロ』にヒモ付けしたテロ関連や治安系の法案だ。たとえば、政府や警察がテロと見なしたら、対象者の資金を凍結できる法律を定めようとしている。日本が危なくなったら、即刻、国民の資産を凍結し、人々の海外流出を防ぐためではないか」と語った。

 松田氏が、「一般市民がわからない状況で、(政治主導で)物事がどんどん決まっていってしまうのは、おかしい」と疑問を呈すると、山本氏は、名称からは中身が読み取れないようにした法案が提出されていると話し、一例として、「福島復興再生特別措置法の一部を改正する法律案」を挙げ、このように続けた。

 「これは、年間20ミリシーベルトの地域でも、住民を戻して復興させる法案。これに野党も賛成し、わが党(生活の党と山本太郎となかまたち)だけが反対したが、可決された。チェルノブイリ法では、(日本の放射線管理区域と同じ)年間5ミリシーベルト以上で強制移住だが、その4倍でも安全宣言を出した。メチャクチャだ」

「次々に悪法が決まる」今、国会にブレーキはない

 さらに山本氏は、刑事訴訟法改正案の危うさについて、「厚労省の村木厚子課長の冤罪事件の反省から、取調べの一部可視化が進められたが、それも全体の3%ほど。録画する箇所も現場の裁量で決められる。また、司法取引、盗聴法も抱き合わせになっており、警察の権限増大を狙っている。この盗聴法では、窃盗・詐欺など80%の犯罪で、各警察署レベルでの盗聴ができるようになる」と説明。「今、国会にブレーキはない。これは有権者の投票結果だから仕方ないが、次々に悪法が決まる。それを変えるには政権交代しかない」と危機感を示した。

 岩上安身は、「国家の秘密は、秘密保護法で隠される。だが、国民のプライベートは、盗聴法とマイナンバー制によってすべて筒抜けだ」とし、小林氏は、「この国では、長いものにうまく巻かれるのを競い合うような国民性もあり、そういう体質から簡単には抜け出せないだろう、という予感はあった。しかし、ここまで不穏な時代になるとは思っていなかった。今、できることを始めていかないと、まずいと考えている」と語った。

 岩井氏は、自民党の改憲草案の稚拙さと、安保法制改正の国会審議での自民党の傲慢さを指摘し、「安倍首相は、戦後レジームからの脱却と言うが、これでは戦中だ」と述べた。

安倍首相は敵国条項に当てはまる愚行を犯した

 岩上安身は、安倍首相の言う戦後レジームからの脱却について、「米国から押し付けられた、リベラルな今の憲法から脱却したい。しかし、アメリカの要求で日米同盟は強化する」と、その整合性のなさを指摘。さらに、最近の党首討論での、共産党の志位和夫委員長と安倍首相との、ポツダム宣言をめぐるやり取りに言及した。

 「実は、安倍首相は『ポツダム宣言を、つまびらかに読んでいない』という発言の前に、『つまびらかに承知していない』と答えている。また、自身が2005年に寄稿した雑誌では、ポツダム宣言への怒りをあらわにしているのだ」

(…サポート会員ページにつづく)

アーカイブの全編は、下記会員ページまたは単品購入より御覧になれます。

サポート会員 新規会員登録単品購入 550円 (会員以外)単品購入 55円 (一般会員) (一般会員の方は、ページ内「単品購入 55円」をもう一度クリック)

関連記事

「「1人の男のとんでもない歴史観のために、日本人全員が巻き込まれようとしている」 〜ロックの会4周年、岩上安身が指摘する日本が直面する「本当の危機」とは?」への1件のフィードバック

  1. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    「1人の男のとんでもない歴史観のために、日本人全員が巻き込まれようとしている」 〜ロックの会4周年、岩上安身が指摘する日本が直面する「本当の危機」とは? http://iwj.co.jp/wj/open/archives/248570 … @iwakamiyasumi
    日本が危険な状態だと、国際社会は認識している。
    https://twitter.com/55kurosuke/status/612010258165182464

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です