第二次安倍内閣発足にともない、9月3日、高市早苗総務大臣が就任会見を行い、地方活性化に関する基本姿勢を中心に抱負を語った。
また、NHKを所管する総務省の長として、NHK国際放送の多チャンネル化、多言語化が必要だとの意見を述べ、領土・領海問題に関して「正しい情報」の発信が重要であると強調した。
さらに、8月下旬に自民党内に置かれた、「党ヘイトスピーチ対策等に関する検討プロジェクトチーム」に関して、その設置の経緯について触れた。
(取材:松井信篤 記事:藤澤要)
第二次安倍内閣発足にともない、9月3日、高市早苗総務大臣が就任会見を行い、地方活性化に関する基本姿勢を中心に抱負を語った。
また、NHKを所管する総務省の長として、NHK国際放送の多チャンネル化、多言語化が必要だとの意見を述べ、領土・領海問題に関して「正しい情報」の発信が重要であると強調した。
さらに、8月下旬に自民党内に置かれた、「党ヘイトスピーチ対策等に関する検討プロジェクトチーム」に関して、その設置の経緯について触れた。
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高市大臣は、「全国の地域が魅力的になるため、『ローカル・アベノミクス』をなんとしても成功に導きたい」と力説。地方活性化には、「安全な生活環境、子供を育てやすい環境、テレワーク基盤」などの整備が必要とした。また、キャリア教育の場を地方に設けることで、「ふるさとに戻ってこられる環境を整えることが大事だ」とした。
幹線道路の整備やスマートインターチェンジの普及などで、工業・商業用地として活用できる地域が増えているとし、経済産業省とも連携して、海外からの地方への投資を呼びかける意向を示した。また、地方産品の販路開拓に関しても、総務省として「お手伝いできることがある」と述べた。さらに、Iターン、Uターン、Jターンの増加を促すため、総務省としても「地域の魅力」を発信していくとした。
ただ、高市氏は、「総務省だけでできることには限りがある」との認識を示し、人口減少、通学状況、雇用の創出といった地方が抱える課題について、経済産業省、文部科学省、農林水産省など関係各省庁との連携が必要であると話した。
地方再生を強調する高市大臣だが、石破茂地方創生担当大臣との関係については、「安倍総理からは石破大臣と連携をとって頑張ってくれ、と言われている」と話し、石破大臣が各省庁の調整役となるとの見解を述べた。
総務大臣には、放送法第65条にもとづき、NHKに対して、国際放送の実施を要請する権限がある。
「総務大臣は、協会に対し、放送区域、放送事項(邦人の生命、身体及び財産の保護に係る事項、国の重要な政策に係る事項、国の文化、伝統及び社会経済に係る重要事項その他の国の重要事項に係るものに限る。)その他必要な事項を指定して国際放送又は協会国際衛星放送を行うことを要請することができる」。
(放送法第65条第1項)
これを念頭に、高市大臣は次のように続けた。
「春先に(米国の)ヴァージニア州で、日本海を東海と教育する、というような動きがあった(注)。領土と領海の問題については、正しい情報を発信しなければならない。特に、歴史的な経緯や、正当性について発信していくことは、たいへん重要なことだと思っている。
(総務大臣は)要請を行うことはできるが、NHK自身がそれを受けるかどうかわからない。来年の3月に結論が出てくるものと思っている。その様子を見ながら、効果的な発信を考えていきたい」。
(注)今年の3月、米国ヴァージニア州議会で、州内の公立学校で使用される教科書に「日本海」と「東海」との併記を定める法律が成立したことを指す。現地で増加する韓国系住民によるロビー活動により、州議員が可決に動いたとの指摘がされている。米国は11月の中間選挙前だが、韓国系住民の多いヴァージニア州北部の下院選挙区では、この併記を、全米に広げる決議を連邦議会に提案すると公約する候補者が出ている。
高市大臣は、「(日本が)誤解を受けている点、説明不足の点」があるとし、これらに関して情報発信するため、NHK国際放送の多チャンネル化および他言語化、さらにはインターネットの活用も含んだ態勢が必要だとの見解を示した。
「これは、外務省や関係各省庁と話をしなくてはならない点だが、少しでも海外へ発信していく。日本の主張であり、主張というより、正しい情報だ。それと魅力を発信していく、そういったチャンネルを増やしていく」。
高市大臣は8月26日、従軍慰安婦に関して強制性があったとする「河野談話」に代わる別の官房長官談話の発表を、菅義偉官房長官に要請。菅官房長官は、これに応じなかった。30日には、日本の侵略と植民地支配を認める内容の「村山談話」に代わり「安倍談話」が出されるので、それに期待する、と発言している。
高市大臣は自民党政調会長として8月下旬、政調会の中に「党ヘイトスピーチ対策等に関する検討プロジェクトチーム」を設置した。8月28日の初会合の場において高市大臣は、国会周辺のデモ活動に対して「何時間も仕事にならない状況が続いて、とても電話の声も聞こえないので、批判を恐れることなく議論を進めてまいりたい」と発言した。
この発言に対しては、「ヘイトスピーチとデモとを同一視している」「政府に都合の悪い言論を統制しようとする動きだ」と批判の声が相次いだ。
これを受けて高市大臣は9月1日、「デモに新たな厳しい規制を設ける法的措置は考えていない」とする談話を発表している。
IWJによる「大臣の考えるヘイトスピーチとは何か」という質問に対して、高市大臣は「特定の民族、特定の国民を対象にして、その方々の名誉を傷つけるようなこと」と答え、次のように続けた。
「これから観光立国として、また対日投資も促進しながら、日本は発展していかなければならない。なにより私は、日本人は礼節を重んじる伝統をもって生きてきた国民だと思う。日本人として、(ヘイトスピーチは)とても恥ずかしいと思う。
残念ながら、国際的にも、先般、日本のヘイトスピーチと呼ばれるものに対して、たいへん厳しい勧告が(国連人種差別撤廃委員会から)あった。このような状況を改善するために、知恵をしぼって欲しいということで、党に『プロジェクトチーム』を設置した」