【シリア邦人拘束事件3】安否危惧される日本人男性 クライアントは一刻も早く説明責任をはたすべき 岩上安身による緊急インタビュー 第449回 ゲスト 中田考氏 2014.8.18

記事公開日:2014.8.18取材地: テキスト動画独自
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特集 中東

 内戦が続くシリア北部の都市アレッポで、イスラム武装集団「IS(=イスラム国)」に日本人男性が拘束されるという事件が発生した。You Tubeに公開された2分弱の動画では、この日本人男性に対して尋問する様子が映し出されている。

 この男性は、自身の名前を「湯川遥菜(ユカワ・ハルナ)」と名乗っている。湯川氏が何の目的でシリアにいたのかは不明だが、自身のFacebookでは、自らの職業を「民間軍事会社(PMC)CEO」としており、シリア・アレッポで銃を試射する動画が投稿されている。他にも、自民党の元県議会議員や、自衛隊の元航空幕僚長である田母神俊雄氏とともに写っている写真も掲載されている。

 現在の現地シリアの状況について、イスラム問題に詳しい元同志社大学神学部教授の中田考氏に岩上安身が緊急インタビューを行った。

■イントロ

  • 日時 2014年8月18日(月)16:44~
  • 場所 西神オリエンタルホテル(兵庫県神戸市)

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ISは「ユカワ」氏をスパイと認識か

 中田氏は、拘束された湯川氏について、「IS」にスパイだと認識された可能性が高いと指摘した。湯川氏は武器を携行し、自由シリア軍と行動をともにしていたとされる。しかし、拘束された際、自らの職業を「写真家」だと名乗っていた。

 「武器を持っていたので、戦闘員だと見なされたことは間違いない。しかし、戦闘員であれば、捕虜として扱われる可能性もある。より厄介なのは、スパイだと見なされること。彼は『自分は兵士ではなく写真家だ』と言っているので、身分を偽っているとみなされ、スパイだと認識された可能性がある。そうなると、処刑される可能性が非常に高まる」

田母神俊雄氏は一刻も早く説明責任をはたすべき

 しかし、湯川氏の生死はいまだ明らかになってはいない。死亡したことが確定していない以上、生存していることを前提に、政府は行動すべきである。

 湯川氏が「PMC」を自称してシリア現地に入っている以上、資金面でバックアップしているクライアントが存在しているはずである。「IS」側が認識している可能性がある「湯川氏がスパイである」との誤解を解くためには、クライアントが記者会見などで説明責任をはたすことが求められると、中田氏は強調した。特に、政治家であり、自衛隊のトップを務めた田母神氏に関しては、公人として、一刻も早くコメントを発表することが求められるという。しかし田母神氏は、IWJの取材に対し、今回の件について一切のコメントを出さないと回答している。

 「スパイではないと証明するためには、彼に対してお金を出した人間、雇った人間が出てきて、『彼はスパイではない』と説明しなければならない。彼の会社のHPには、自民党の県会議員だとされる方との写真が写っている。その方がお金を出している可能性がある。公人なのだから、会見を開くなりして説明する責任がある  今回の件については、写真に写っている田母神氏や元大使など、『私は知らなかった。自己責任だ』ではすまない。政府は救出に向けて動かなければならない。日本は今のところ軍を送っていないので、平和的に交渉する余地はまだあるのではないだろうか」

 「IS」は、既に男性を「処刑した」との声明を発表しているが、安否は現在のところ明らかになっていない。IWJは新たな情報が分かり次第、引き続きお伝えしていく。

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「【シリア邦人拘束事件3】安否危惧される日本人男性 クライアントは一刻も早く説明責任をはたすべき 岩上安身による緊急インタビュー 第449回 ゲスト 中田考氏」への2件のフィードバック

  1. @penguin266さん(ツイッターのご意見より) より:

    いつも良質な情報をありがとうございます。
    しかも特別公開中。みなさん、必見です。

  2. うみぼたる より:

    第2部の ISによるカリフ制の話が壮大で驚きましたが、
    台湾でインタビューされた先住民族のシャマン氏のお話とも通じます。
    国家を基盤に成り立っている新自由主義の津波にのみこまれそうな時に、国という制度の無効性を示すカリフ制。

    世界のうねりがすごいことになってます。

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