※本日16時半頃より、シリアでの邦人拘束事件について、岩上安身が、中東問題に詳しい元同志社大学神学部教授・中田考氏に緊急生インタビューを行いました。
内線下のシリア、なかでもとりわけ激しい戦闘が続く北部のアレッポで、8月16日、スンニ派の「IS」(=イスラム国)を名乗る集団に日本人が拘束された。
Youtubeに投稿された動画によれば、この日本人男性は額から血を流し、仰向けに横たわった状態で自身の名前を「湯川遥菜(ゆかわ・はるな)」と名乗っている。「おまえはどこから来たんだ?」という兵士の問いに、英語で「日本です」と答えるも、「お前が日本から来たはずはない!」と否定されている。
さらに兵士たちのの激しい追及が続く。「なんのためにここに来たんだ」という問いに、湯川氏は「仕事です」と答え、職業を「写真家」と名乗っている。しかし、兵士に「写真家が銃を持っているはずがない」「なぜ銃を持っているんだ!」と厳しく詰め寄られている。湯川氏は、混乱した様子で自身を「医師」とも主張。兵士たちは、なおも「なぜお前は銃を持っている!お前はFSA(自由シリア軍)の兵士か?」と何度も追及し、湯川氏が何度も「違う」も否定し、動画は終わる。
拘束された男性、湯川氏のFacebookページでは、自身の職業を「民間軍事会社CEO」としており、シリア・アレッポで銃を試射する動画が投稿されている。
また、Facebookの過去の投稿では、自民党の元県会議員、元特命全権大使、田母神俊雄氏とのツーショット写真、また自由シリア軍と共に撮った写真なども掲載されている。
湯川氏がCEOを務める民間軍事会社PMC JAPAN(Private Military Company)のHPには、事業の目的として、「世界情勢が変化する中、わが社は国際的視野に立ち、アジアを始め世界へ渡航する方々が安全に行き来でき、危険な地域への警護を行い家族の元へ無事に帰国させる様、人命を守る」と記載されている。
湯川氏のブログにも、「アサド政権の虐殺の実態を見てきました。一部の写真や映像を公開します」などとして、動画等を公開している。
拘束された湯川氏のFacebookで同氏とのツーショット写真が掲載されていた田母神俊雄氏の事務所にIWJは電話取材した。対応した男性は、「この件について何らかのコメントを出す予定は、今のところない」と回答。田母神氏本人への取材の有無、人命がかかっている状況で、国際的な政治問題になる恐れもある中、説明責任があるのでは、という問いに対しても、「取り次ぎもしないし、コメントも出さないというのが田母神代表のスタンスだ」と回答した。
※続報(8月18日 23時更新)
田母神氏は18日22時頃Twitterで、湯川氏との関係について取材が殺到していることに触れ、「彼との写真は私が何千人かと撮った写真の一枚」「湯浅氏(※原文ママ)とは全く面識がありませんのでコメントのしようがありません」などとコメントを発表している。これに対し、Twitterユーザーからは田母神氏擁護の声とともに、「関係性を否定したことで湯川氏の命がより絶望的になった」「彼を見捨てるのか」「面識がない、というのは無理があるのではないか」などと批判の声(ツイート)も多く寄せられている。
以下、田母神氏のコメント。
シリアでイスラム過激派に拘束された湯浅春菜氏がフェイスブックで田母神とのツーショットを載せているということで、本日は私にマスコミなどから20回以上湯浅氏との交友関係について問い合わせがあった。彼との写真は私が何千人かと撮った写真の一枚です。いつ彼に会ったのかも覚えておりません。
— 田母神俊雄 (@toshio_tamogami) 2014年8月18日
まだマスコミの皆さんからの電話が続いています。私は湯浅氏とは全く面識がありませんのでコメントのしようがありません。マスコミの皆さん、よろしく。
— 田母神俊雄 (@toshio_tamogami) 2014, 8月 18
同じく湯川氏とのツーショット写真が掲載されている自民党の元県会議員でPMC顧問の木本信男氏は、時事通信のインタビューに応え、「湯川さんは6月にシリアへ行った。その際、電話で『危険だと思ったら、すぐに日本に戻った方がいい』と注意した」と話しているという。また記事によれば、湯川氏は以前、米国や英国から軍事物資を輸入し、自衛隊に納入する仕事に携わっていたという。
- <シリア邦人拘束>千葉県在住の男性か(8月18日、毎日新聞)
- 軍事会社設立、シリア入りも=拘束の湯川さん(8月18日、時事通信)
外務省は現在、隣国ヨルダンの首都・アンマンに現地対策本部を設置し、情報収集などにあたっている。
ところが一部のジャーナリストらからは、すでに湯川氏が殺害されたとの声も上がっており、事実確認が急がれている。
IWJは、湯川氏が「処刑された」とみているフリージャーナリストの西谷文和氏に電話取材した。こちらは、まもなく、続報として掲載予定。
IWJは、新たな情報が入り次第、断続的にこの事件に関する情報発信をしていきます。(安斎さや香・佐々木隼也)
※本記事は、IWJウェブ速報( @IWJ_sokuhou )で発信した内容を加筆し、これまでに分かっている事実をまとめて掲載したものです。
ロシア製機関銃を構えている姿を拝見しました。
これでは、自由シリア軍に身を投じた日本人男性とみられる。彼がシリアにいった目的がはっきりしないのでご家族や周辺の情報が知りたいと思います。写真で一緒に会食している田母神さんに土産話を持ち帰るつもりだけ、とも思えません。