旧ソ連・レニングラード生まれのユダヤ教徒で、カナダ・モントリオール大学の歴史学教授であるヤコブM.ラブキン教授を迎え、2014年7月7日(月)、サラーム・パレスチナ主催の「読書会」が日本聖公会東京教区会館で行われた。
ラブキン氏は、『イスラエルとは何か』(平凡社 2012年6月)の著者であり、シオニズムによって建国されたイスラエルは、「ユダヤ教徒たちの国ではない」と主張。「イスラエル政府がパレスチナに対して行っている(占領)政策の根本を支えるシオニズムのイデオロギーは、ユダヤ教の教義に反する」と批判している。
イスラエル建国の意図や、シオニズム運動の狙いについては、昨年10月に岩上安身によるインタビューで、ラブキン氏が歴史的経緯を振りながら詳しく解説している。
『イスラエルとは何か』の読後に行われた「読書会」では、ラブキン氏の著書を中心に、参加者との積極的な質疑応答を行なった。
イスラエル国民の多くが感じる現状への行き詰まり
ラブキン氏によれば、イスラエル建国前は多くのユダヤ教宗教者がシオニズムに反対だったが、建国後、紛争による暴力にさらされていくにつれて、イスラエル国民はどんどんシオニズムに傾いていったという。イスラエルの「国家的ユダヤ主義者」たちは、革命的かつ逐語的な律法書の読み方でシオニズム政策を指導しているが、これは伝統的なユダヤ教の理解とは対立している。
しかしながら、イスラエル国民の多くは、現状の政策にも行き詰まりを感じているという。ラブキン氏は2〜3ヶ月前にイスラエルを訪問した際、50万人ものユダヤ宗教者たちによる兵役反対デモを目撃したことを報告。非アラブ系ユダヤ人がますますシオニズム的になってきているとはいえ、このデモなどを見ると、事態はそれほど悲観的ではないとの感想を述べた。
イスラエル国外での議論が難しい
ラブキン氏は、アメリカのキリスト教シオニストの例などを挙げ、イスラエル国内よりも、むしろ国外においてイスラエル政府の政策や宗教等についての議論が抽象的なものに陥りがちで、難しくなっていると指摘した。イスラエル国内では、議論はより実際的かつ具体的で、比較的オープンな議論が可能であるという。
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