「運がよく、私の村は190軒のみの半壊、または全壊で済んだ」
パレスチナ出身のマーゼン・クムスィーヤ氏は、14日、JICA地球ひろばで行われた、「イスラエルの占領政策―非暴力で闘うパレスチナの人々」と題した講演会で、自身の村の現状をこう語った。「アル・ジスル-日本とパレスチナを結ぶ(略称JSR)」主催で開かれた講演会では、パレスチナ人であるクムスィーヤ氏が語るパレスチナの現状に、40人ほどの参加者らが耳を傾けた。
1957年、パレスチナ西岸地区のベツレヘム近郊で、クリスチャンの家族のもとに生まれたクムスィーヤ氏は、広島と長崎での反核市民集会のために初来日。アメリカのテキサス工科大学で生物学博士号を取った後、パレスチナに帰還、ベツレヘム大学、ビル・ゼイト大学、アル・クッズ大学などで研究・教育に携わる傍ら、西岸地区の非暴力民衆抵抗運動でも活躍している。
クムスィーヤ氏は、「パレスチナ人は世界中に1,200万人存在すると言われているが、そのうち700万人がレバノンやヨルダンなどで難民生活を送っている」と現況を報告し、壊滅してしまったパレスチナの村や、イスラエル軍から暴力を受けるパレスチナ人の写真なども紹介。未だに紛争解決の兆しが見えない、パレスチナ問題の現実を訴えた。