福島原発告訴団らは6月5日、福島第一原発事故における政府事故調のヒアリング記録などについて、内閣官房に情報公開請求した。請求者の福島原発告訴団らと代理人弁護士は、請求書の提出後、東京高裁内の司法記者クラブで記者会見を行なった。
朝日新聞5月20日付の朝刊で、政府事故調のヒアリングに応じた故・吉田昌郎福島第一原発所長(当時)の記録を独自に入手したとして、大々的に報道された。この「吉田調書」は、非公開とされてきた重要記録で、朝日新聞が報じたことにより、今回の情報公開請求につながった。この吉田調書をめぐる報道は、他のメディアが後追いすることはなく、朝日新聞が独走する事態となっている。
情報公開請求の対象は、いわゆる吉田調書、吉田調書を除く政府事故調の771名分の聞き取り記録、その他の関連資料(事故調が行なった福島第一原発事故に関する調査の為の交通費、ICカード乗車券使用簿、配車簿、支払明細等)の3点。
交通費、支払明細などを情報公開の対象にした理由について、代理人の海渡雄一弁護士は、「不開示になりにくくて、調査として、どのくらいの規模でどういうことが行なわれたかを知りやすいという、情報公開の専門家の方々からのアドバイスもあり、こういうものも入れた」と話した。
- 情報公開請求
- 請求者 武藤類子氏(福島原発事故告訴団団長)、佐藤和良氏(福島原発事故告訴団副団長)、石丸小四郎氏(福島原発事故告訴団副団長)、地脇美和氏(福島原発事故告訴団事務局長)、木村結氏(東電株主代表訴訟事務局長)、大石光伸氏(東海第二原発訴訟原告団事務局長)、相沢一正氏(東海第二原発訴訟原 告団共同代表)、小野有五氏(泊原発の廃炉をめざす会共同代表)
- 代理人弁護士 海渡雄一氏、森山裕紀子氏、小川隆太郎氏、海渡双葉氏
- 情報公開請求を行う対象
- いわゆる吉田調書
- 吉田調書を除く政府事故調の771名分の聞き取り記録
- その他の関連資料
- 日時 2014年6月5日(木)
- 場所 東京高裁内(東京都千代田区)
吉田調書は「日本国民、世界中の人々の共有財産」
政府事故調の調査記録の情報公開を求める理由について、海渡弁護士は、「毎日のように、新聞紙面に出ていて、全部を読んでみたいし、他の771名分もどんなことが書かれているんだろうというのは、日本国民、世界中の人が、興味を持っている。日本国民、世界中の人々の共有財産とも言うべき情報。それが非公開になっているということは、とんでもないことだ」と、その意義を強調した。
加えて、「再稼働の審査にあたっている規制委員会の田中(俊一)委員長すら、この調書を読んだことがない。これからの再稼働の審査にあたっている人が読んだことがないのは、尋常な状態ではない」と、話した。
ツワネ原則にもとづき調書は公開すべき
官僚の官僚による官僚のための「隠ぺい国家運営」。国民は真実を教えられていないのです。マスメディアも同罪。