福島県警察本部へ「福島第一原発の汚染水問題で、告発します!」 ~福島原発告訴団 汚染水海洋放出事件 刑事告発記者会見 2013.9.3

記事公開日:2013.9.3取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・関根/奥松)

 「危険がわかっていながら企業利益を優先し、対処を怠った。事故後も怠慢な対応で被害を拡大した。これほど過失が明らかなものを、見過ごしたままでいいのだろうか」と武藤類子氏は憤った──。

 2013年9月3日(火)11時より、福島市にある福島県庁の県政記者室で、「福島原発告訴団 汚染水海洋放出事件 刑事告発記者会見」が行われた。福島原発告訴団団長の武藤類子氏、副団長の佐藤和良氏、海渡雄一弁護士が会見し、「東京電力とその経営幹部32名を、人の健康に係る公害犯罪の処罰に関する法律3条(公害罪)の違反で福島県警に刑事告発した」と述べ、その経緯と趣旨を語った。

■全編動画
・1/2(10:28~ 8分間)

・2/2(10:53~ 40分間)

 福島第一原発の放射能汚染水の海洋放出に対して、東電と幹部らを告発したのは、武藤類子氏、佐藤和良氏、石丸小四郎氏の3名である。武藤氏らは、具体的違反行為として、「仮設タンクから通常の安全なタンクへの、汚染水移設の対応への不備。堰の安全バルブの開放などの注意義務の怠慢。2011年6月17日に政府から検討を求められていた、原子炉施設を囲む遮水壁設置の先送り」などを挙げた。

 さらに、「本日に至るまで毎日3~400トンの汚染水流出により、セシウム137が20兆ベクレル、ストロンチウムが10兆ベクレル、海洋に排出された」として、東電の勝俣恒久元会長、清水正孝前社長、廣瀬直己社長以下32名の新旧経営陣と、法人としての東京電力の責任を問う姿勢を示した。

 武藤氏は今回の告発について、「原発事故から2年半たった今でも、事故の収束が見られず、被災者の苦労も増す一方だ。ここで、被災者が声を上げ続けていかなければ、あいまいな対応をされたまま、すべてが終わってしまう」と話した。

 次に、海渡弁護士が「仮設タンクに汚染水を放置したことによる漏水と、地下水への漏えいの注意と防止作業を怠った過失だ。仮設タンクが早期老朽化するのは明白で、原子力規制庁からも再三、指摘されていた。また、漏水をチェックする人員も満足に確保していなかった」と指摘した。

 さらに、「タンクを設置してある区域内に堰をつくり、万が一、汚染水が漏れても受け止められるバックアップが施してあった。にもかかわらず、堰のバルブを開放したままにして、汚染水を外に出してしまった。それに対して東電は『雨が降ると(雨水が溜まり)溢れてしまうので開けていた』との回答だ」と、危機感の薄い東電の対応を批判した。

 海渡弁護士は、2011年6月、東電が発表していた文書を紹介。「建屋の復旧作業による汚染水が、地下水から他に流出しない措置を講ずる、と明記してある。同時に、東電は1000億円の債務超過の懸念にも言及している。結局、抜本的対策を先延ばしにして、汚染水漏えいという、現在の状況に至ってしまった」。

 武藤氏は「最初から危険性がわかっていながら、企業利益を優先し、対策を怠った。事故後も怠慢な対応で被害を拡大した。これほどまでに過失が明らかなものを、許していいのだろうか」と訴えた。

 質疑応答に移り、福島県警に訴えた理由について問われると、佐藤氏は「これまでにも、東電、原子力規制庁、山下俊一氏(福島医科大副学長)などを、福島地検や東京地検に訴えたが、今回は、県民と共に被曝しながら活動してきた福島県警に告発することにした。強制捜査を願っている。検察では埒があかない」と答えた。

 また、佐藤氏は「東電は7月の参院選が終わった次の日に、2年以上も隠蔽してきた汚染水問題を、いきなり出してきた。この計画的な犯罪性は、許せない」と憤った。海渡弁護士は「東電の対応は、住民から見れば非常識すぎる。東電には『検察からも、政府からも守られている』という驕りがあるから、こういう怠慢が生まれているのだ」と指摘し、会見を終えた。

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