「エネルギー基本計画」の是非を超党派議員と有識者が追及 ―もんじゅ・核燃サイクル・再稼働要件の矛盾を指摘も、曖昧な政府答弁 2014.2.20

記事公開日:2014.2.20取材地: テキスト動画
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(取材・文:松井信篤、記事構成:佐々木隼也)

 「原発は重要なベースロード電源」―。政府・自民党は2月25日、中長期のエネルギー政策の方針を決める「エネルギー基本計画」案を決めた。同案には他に、「規制基準に適合した原発の再稼働」や「再処理やプルサーマルの推進」など、原発の維持・推進に大きく傾いた内容となっている。

 2月20日には、35回目となる「国会エネルギー調査会(準備会)」が衆議院議員会館で開かれ、資源エネルギー庁と文科省を交えて議論が行われたが、河野太郎議員など有識者からの指摘や追及は、同案には反映されなかった。

■ハイライト

  • 日時 2014年2月20日(木) 16:00~
  • 場所 衆議院第一議員会館(東京都千代田区)

再処理後も70%残るプルトニウム 資エネ庁「ゴミではなく資源」

 20日の調査会では、冒頭、核燃料サイクル事業の現状について資源エネルギー庁から報告があり、文科省からは高速増殖炉「もんじゅ」について説明があった。

 資源エネルギー庁担当者は、「再処理すれば直接処分よりも潜在的有害度などが低減される」などと説明した。これに対し河野太郎衆院議員が、再処理後の核燃料にもプルトニウムが含まれていることを同庁が省いて説明していることを問題視。「処理したMOX使用済み核燃料も最終的には処分するはずであり、核燃料サイクルを止めた時にはどうなるのか?」と指摘し、この点について記載された資料の提出を同庁に要求した。

 また秋本真利衆議院議員からも、資料の不備について指摘があがった。秋本議員は、「何度言っても同じ資料を出してくるというのは、意図的としか思えない」と批判。さらに菅直人衆議院議員も、再処理後に使用し終えたMOX燃料からプルトニウムが70%残る事について、河野議員と同様の指摘をしたが、資源エネルギー庁からの回答は「使用済みMOX燃料を再処理した例もある。ゴミではなく資源なので記載してなかった」と回答した。

核燃料サイクルが運用できても最終処分は未定

 資源エネルギー庁はさらに、核燃料サイクルが実際に運用されるかどうか分かっていない事から、最終処分まではまだ決まっていない事を明らかにした。その上で、「『実験がひと通り成功した段階で動く』という段階に来ていると理解している。これが順調に動けば再処理がスムーズに進むと理解している」と発言。これに対し有識者からは、「過去の失敗や莫大な費用を使ってもなお、核燃料サイクル継続を推し進めるのか」と批判の声があがった。

地域防災計画・避難計画の安全性を判断するのは誰か?

 続いて、原発再稼働方針と地域防災計画・避難計画についての議論が行われた。原子力対策指針で自治体は地域防災計画策定を義務づけられているが、規制委員会はそれを判断しない。つまり新規制基準にはそれが盛り込まれていない。

 菅議員は、規制委員会が判断するのはあくまで「原子炉等規制法で技術的な側面」だけである事を指摘。そのうえで、「避難計画の安全性に対する判断は誰が行うのか? 計画を策定した後、安全に避難できないことがわかった場合に再稼働を止めれるのか?」と質問した。

 これに対し資源エネルギー庁担当者は、「判断は各自治体だ」としながらも、「そこで自治体が避難できませんとならないように、いかに関係省庁が協力して困難な避難状況をなくすかについて、現在、各発電所の地域ごとにワーキングチームで検討をすすめている」と答えた。

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