2024年12月24日午後4時10分より、東京都千代田区の外務省にて、岩屋毅外務大臣の定例記者会見が行われた。
冒頭、岩屋大臣より、自身の中国訪問、そして、補正予算によるガザを含むパレスチナ関連支援の2点について発言があった。
岩屋大臣は、12月25日、中国・北京を訪問し、王毅(おう・き)外交部長と、初めての対面会談を行ったほか、第2回目となる日中ハイレベル人的・文化交流対話も実施した。
- 岩屋外務大臣の中国訪問(令和6年12月25日~26日)(外務省、2024年12月24日)
また、岩屋大臣は、「ガザでは、戦闘が長期化し、今なお危機的な人道状況が続いている」とした上で、ガザの人道状況改善のために、令和6年度補正予算の中で、ガザを含むパレスチナ関連支援として、135億円、約1億ドルの追加支援を決定し、JICA(国際協力機構)や国際機関を通じた、医療や保健・衛生、食糧、パレスチナに対する財政支援、瓦礫除去、廃棄物の処理、インフラといった、多岐にわたる分野での支援が行われる旨、報告があった。
続いて、岩屋大臣と各社記者との質疑応答となった。
他社の記者からは、この日で閉会となった「第216回臨時国会での法案審議ついての岩屋大臣の所感」を求める質問が2つあった。
IWJ記者は、ロシア・ウクライナ戦争(トランプ次期米政権の対応等)について、以下の通り、質問した。
IWJ記者「ロシア・ウクライナ戦争についてうかがいます。
第二次トランプ政権で、ウクライナ・ロシア担当特使に指名されたキース・ケロッグ退役陸軍中将が、1月に、欧州とキエフを歴訪予定とされています。ロイターが、12月18日付で報じました。
ケロッグ氏の訪問の目的は、ロシア・ウクライナ戦争の早期終結だとされています。ケロッグ氏は、また『FOXニュース』のインタビューで、『今は、停戦のパーフェクトなタイミングだ』とも述べております。
岩屋大臣は、16日、ウクライナのスヴィリデンコ第一副首相と会談し、ウクライナ支援の継続や緊密連携を約束されましたが、ケロッグ氏の発言や欧州諸国の動き方から、現在、『トランプ2.0』体制への適合準備を進めていることは明白です。
米国は、後景に退き、欧州には平和維持軍を出すことを期待し、日本には、資金の支援を押し付ける方向に固められつつあるようにも思われます。
石破政権及び岩屋大臣は、第二次トランプ政権の外交戦略をどのように読み取り、どのように和平の実現を急ぐか、ご見解をお聞かせください」
この質問に対し、岩屋大臣は次のように答弁した。
岩屋大臣「様々な報道があることは承知をしておりますが、米国のトランプ次期政権は、まだ発足をしておりませんので、発足後に、ウクライナも含めて、どのような外交方針をとってこられるかということについて、まだ、予断を持って申し上げることはできないと思っております。
その中で、今、ご指摘のあったウクライナについて、日本に資金負担を押しつける方向に固められつつあるという指摘は、当たらないと考えております。
私どもとしては、もちろん早く平和が回復されるというか、停戦が行われることに越したことはないと思っているんですけれども、しかし、それは、あくまでもウクライナに、『公正かつ永続的な平和』が実現されるということが前提だと思っておりますので、そのために、どういう形がふさわしいかということを、これから米国を始め、国際社会と緊密に連携していきたいと思っておりますし、その間は、力強くウクライナの支援を続けていかなければいけないと思っておりますし、同時に、対露制裁も継続していかなければいけないと思っております。
これからウクライナも厳しい冬を迎えるわけで、もう迎えておられると思いますが、そこで、日本は発電機材とか、そういう越冬のための支援も行ったりしておりますが、そういう、きめの細かい支援も含めて、ウクライナをしっかり支援をしてまいりたいと考えております」
「公正かつ永続的な平和」という言葉は、岩屋大臣のみでなく、前任の上川陽子氏もしばしば使ったものだが、その「公正かつ永続的な平和」とは、どのような状態を指すのか、という定義、ならびにどういった条件をクリアすればそれが実現するのかについて、日本政府の考えが具体的に説明が行われたことは、今のところ一度もない。
会見内容の詳細については、全編動画を御覧いただきたい。