【第654号-657号】岩上安身のIWJ特報!自民党は39人処分するだけで幕引きをはかる!?「裏金問題はまだ始まったばかり」!自民党議員らと岸田総理と後援会を次々と刑事告発!岩上安身による神戸学院大学法学部・上脇博之教授インタビュー 2024.10.1

記事公開日:2024.10.1 テキスト独自
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(文・IWJ編集部)

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 岸田文雄総理は2024年8月14日、9月の自民党総裁選挙への立候補を見送る意向を表明した。岸田総理は、「特に政治とカネの問題をめぐっては批判もいただいた」「私が身を引くことでけじめをつけ、総裁選に向かっていきたい」などと述べた。

▲神戸学院大学法学部上脇博之教授(2024年4月5日)

※【詳報】岸田首相会見 自民総裁選に不出馬を表明 首相退任へ(NHK、2024年8月14日)https://bit.ly/3Xk9g5O

▲2024年8月4日、自民党総裁選の不出馬を表明する岸田文雄総理(Wikimedia)

 岸田総理が言及した「政治とカネの問題」とは、自民党の派閥の政治資金パーティーをめぐる裏金問題を指している。

 自民党の5つの派閥では、政治資金収支報告書に記載する際、パーティー収益の一部を無記載あるいは少なく記載して裏金としてキープ、国会議員にキックバックする運用を長年、組織的に行なっていた。

 そのようにして作った裏金は、安倍派で約6億円、二階派で約2億円、岸田派は2018年からの3年間で約3000万円とされる。

 2023年12月、東京地検特捜部が強制捜査に乗り出し、派閥の会計責任者や議員秘書らが政治資金規正法違反容疑で立件され、キックバックを受け取っていた「裏金議員」たちの更迭、要職からの解任が相次いだ。

 2024年になると自民党の派閥は麻生派を残してすべて解散した。

 岸田政権への批判は強まり、内閣支持率は20パーセントを下回るほど低迷。4月に行われた衆議院の3つの補欠選挙にすべて敗北し、自民党内からは「岸田総理では、次の衆議院選挙を戦えない」との声があがっていた。

※内閣支持15.5%、最低更新「政権交代を期待」4割 時事世論調査(2024年07月11日)https://bit.ly/4cEpcoc

 岸田総理の不出馬表明を受けて、自民党内では総裁選(9月12日告示、27日投開票)に向けた動きが活発化した。

 8月26日の時点で、小林鷹之前経済安全保障担当相(49歳)と石破茂元幹事長(67歳)、河野太郎デジタル相(61歳)が、立候補に必要な推薦人20人を集め、総裁選出馬を正式に表明している。

 また、加藤勝信元官房長官(68歳)、林芳正官房長官(63歳)、上川陽子外相(71歳)、小泉進次郎元環境相(43歳)など10人以上の議員が出馬に意欲を見せており、混戦模様となっている。

 岸田総理退任のトリガーとなった、この派閥と裏金問題が表面化するきっかけを作ったキーパーソンが、神戸学院大学法学部の上脇博之(かみわき ひろし)教授だ。

 上脇教授は、政治資金パーティーが組織的な裏金作りの温床となっているのではという疑問を抱き、公開された情報を元に綿密な調査を重ねて、2022年から政治資金規正法違反で自民党議員らを刑事告発し続けてきた。

 2024年4月5日、岩上安身は、「底なしの自民党裏金問題! 岸田総理と後援会代表らを次々と刑事告発!『闇政治資金パーティー』の徹底捜査と『裏金』の真相解明が必要!」と題して、上脇教授への緊急インタビューを行った。そのインタビューのフルテキストの後編をお届けする。

 インタビュー前日の4月4日、自民党が議員39人の処分を発表したが、対象が「政治資金収支報告書の不記載が2018年からの5年間で500万円以上の議員」だけである点について、上脇教授は「5年は氷山の一角」として、この基準自体を批判した。

 一方、岩上安身は、裏金による脱税の刑事責任を指摘。さらに、審査・処分の対象に岸田総理と二階俊博元幹事長が含まれないことに、「この二人は限りなく黒に近い」「審査したら、ボロが出る」と、強い憤りを表明した。

 2022年6月12日、岸田総理の地元の広島で開催された「岸田文雄内閣総理大臣就任を祝う会」について、岸田総理は「政治資金パーティーではなかった。主催者はうちの後援会ではない」と答弁している。

 確かに、このパーティーの主催者は「広島県経済関係団体自治体合同任意団体発起人11名」とされており、広島県知事、広島商工会議所会頭など地元政財界の有力者が名前を連ねる。

 パーティーの参加費1万円を約1100名から徴収して、計1100万円の収入があり、経費として340万円の支出があったので収益は760万円。その一部である321万5167円は、同年9月12日に自民党広島県第一選挙区支部に寄付されている。

 そして、県第一選挙区支部の収支報告書(寄付収入欄)に記載された、この任意団体の代表者名は、岸田文雄後援会の代表者「伊藤學人」氏と同じなのである。

 上脇教授は、「僕は、主催者が岸田文雄後援会だという見立てで告発しています。つまり、任意団体が主催したと偽って(政治資金パーティーを)やっている」と話す。

 「祝う会」が岸田後援会主催の政治資金パーティーならば、その旨を事前告知しなくてはならず、また、岸田後援会の2022年分の収支報告書を作成する際には「祝う会」の収入額1100万円、支出額340万円、321万5167円の寄付金支出を記載しなくてはならない。それらを一切していない、というのが告発の理由である。

 さらに上脇教授は、「祝う会」主催団体の連絡先が、岸田後援会の事務担当者の電話番号と一致すること、県第一選挙区支部と岸田後援会の所在地が同じことなどを説明していった。

 岩上安身は、「結局、主催したとされる『任意団体』というのはダミー団体以外の何者でもない。こんなに、あからさまにやるのか」と眉をひそめ、今回の裏金問題で自民党が39人を処分したことに触れて、「なんで39人処分ごときで、メディアは『大量処分、自民党はこれで幕引きをはかる』みたいなこと言っているんだろう。幕引きも何も、トップがこんなこと、やってるじゃないか」と憤りを口にした。

※「自民党は議員個人に責任を取らせて、党はいつも安泰。選挙制度を改革しないと変わらない」上脇博之教授~4.27 自民裏金問題とメディア ―講演:上脇博之氏(神戸学院大学教授)ほか 2024.4.27 https://bit.ly/4fWJPPh

※【フルオープンで再掲載中!】「1994年の政治制度改悪が裏金作りを生み『米国の利益のための戦争をする国作り』に直結した!」~岩上安身によるインタビュー 第1154回ゲスト 神戸学院大学法学部・上脇博之教授 2024.4.18 https://bit.ly/4fTeehr

※企業・団体の政治献金の禁止、政党助成金の廃止、完全比例代表制で抜本的な政治改革を!~4.1「新しい戦前にさせない」連続シンポジウム「金権」から「民権」へ ―「政治改革」を問う ―登壇:上脇博之氏(神戸学院大学教授)ほか 2024.4.1 https://bit.ly/3ACRX7f

記事目次

  • 公職選挙法が適用されない自民党総裁選挙。派閥のボスが総裁になれば所属議員も「おいしいポスト」を獲得できる仕組み! そこに汚職の温床がある!
  • 政治資金問題で自民党は39人を審査対象に。だが、岸田総理と二階元幹事長は含まれず! 最初から「2大ボスは審査しない」結論ありきだった!?
  • 広島の任意団体が主催した岸田総理就任を祝う会。実態は岸田後援会による政治資金パーティーだったのでは? 上脇教授が今年2月に告発!
  • 収入から経費を引いた残りを政治活動に使うのが政治資金パーティー。企業は寄附のつもりでパーティー券を購入するので、実際の出席者は少ない!
  • 岸田総理就任を祝う会。主催した団体の代表者は岸田後援会の代表と同一人物!「祝う会」からは自民党の県第一選挙区支部に約321万円の寄附が!
  • 「祝う会」は ダミー団体!? パーティーの企画、準備から会費集めまで岸田事務所が仕切り、当日はスタッフ総出で受付を! 連絡先の電話番号も一致!

公職選挙法が適用されない自民党総裁選挙。派閥のボスが総裁になれば所属議員も「おいしいポスト」を獲得できる仕組み! そこに汚職の温床がある!

▲「自浄」に期待できるわけがない! 岸田総理と自民党の対応は極めて甘い
https://bit.ly/4dTpGYq

岩上安身(以下、岩上)「はい、『「自浄」に期待できるわけがない!』と。『岸田総理と自民党の対応は極めて甘い』ということで。

 これをね、何か、いかにも禊が済んだみたいな感じで言われると、本当にとんでもない。それが、例えば派閥解散をしてみるとか、いろいろなことを、ポーズをとるわけですよ。それは一体、本質と何の関係があるんだって話ですよね。

 『岸田総理は、自身が派閥を離れると述べた』。まず、派閥離脱ですよね。こんなのってのは、自民党の歴史を見たら、もう何度となく繰り返されてきた話じゃないですか。だから何なんだ、って話ですよね。

 それから、『派閥解散の意向も表明』。これ、派閥解散って何度もしてるんですよ、自民党って、歴史的に見て。ずっと、そういうことの繰り返しをしているんですけれども。相当、古い歴史に遡ってもあるんですけれども。まあ、必ず再生するんですよね。もう本当に、何て言うんでしょう。不死鳥のように蘇ると。不死鳥って言うときれいだけど」

上脇博之教授(以下、上脇教授)「ゾンビって言ったほうがいい」

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