原発の運用期間と運転期間(40年)を誤解して判決を書いた裁判官が何人もいる! 何百年も核燃料物質が保管されている間に破局的噴火が起きないと言えるわけがない!!〜2.27 新ちょぼゼミシリーズ「原発と火山リスク」―登壇:中野宏典弁護士 2024.2.27

記事公開日:2024.3.24取材地: テキスト動画
このエントリーをはてなブックマークに追加

(取材、文・浜本信貴)

 2024年2月27日午後7時より、東京都千代田区のたんぽぽ舎にて、弁護士の中野宏典氏による講演「原発と火山リスク」が開催された。この講演は、たんぽぽ舎が「新ちょぼゼミ」と題して行っている学習会の第99回目である。

 中野弁護士は、山梨県都留市生まれ。「弁護士がほとんどいない地域」に生まれ育ち、「司法過疎地において、少しでも多くの人が法的サービスを受けられ、より良い社会生活を送れるように」、との思いから、法テラス江差法律事務所(北海道)にて執務後、現在は都留市に「つる法律事務所」を開設し、弁護士業務を行っている。

 中野氏は、2010年から大間原発訴訟に参加。2011年の東日本大震災で大きなショックを受ける。原子力訴訟では、主に「司法審査」と「火山問題」を担当し、全国の原発稼働阻止にむけて奔走中である。

 中野氏の講演テーマは大きく分けて、「平成25年の火山ガイド(原子力発電所の火山影響評価ガイド)策定の経緯と原子力規制委員会の認識」、「令和元年の火山ガイド改正の経緯と新火山ガイドの不合理性」、そして「『社会通念論』の再考」の3つである。

 中野氏は、「平成25年の火山ガイド策定の経緯と原子力規制委員会の認識」について、以下のように問題提起した。

 「平成25年に火山ガイドというのが、最初に、先ほど言いました事故(2011年・平成23年の福島第一原発事故)の直後に策定されたわけですけど、それがどういう経緯で策定されたのか。

 先程言いましたように、わずか2回の会議、まあ、一応3回やったんですけど、3回目はもう『しゃんしゃん』みたいな感じなので、実質的には2回ぐらいですね。

 そこでどんな議論があったのかということと、その内容ですね。それをちょっと見ていきましょう。

 それから、その主なポイントは、『巨大噴火のリスク』というのを、『無視しない』、『(無視)する』、なんていう議論は、元々なかったんです。

 皆さんもご承知かもしれないけど、伊方原発とか、川内原発に関しては、先程言ったように、カルデラの巣窟みたいなところがあって、そこで、阿蘇とか、姶良カルデラ、要するに桜島があるところですね、あの辺のカルデラ噴火が万が一起きると、川内原発とか伊方原発、それから玄海原発あたりは、もう大変なことになるわけですよ。

 火砕流という、我々が火砕流と聞いて思い浮かべるのは雲仙普賢岳の火砕流なのですが、もうあんなレベルではない、とてつもない、もう、高温のガスと岩石の混合したものみたいなものが到来すると、もう本当に、そこに(原発)施設があったら一巻の終わりっていう状態で、『立地不適』とされている訳ですね。

 それが届くようなところには、原発を建ててはいけないという、一応、建付けになっているんですけども、『そういうような現象が起こる可能性が否定できないじゃないですか』ということを主張していた。

 考えてみれば当たり前だと思うんですけど、運用期間って何百年になるかは、わからないわけですね。

 火山ガイドの中に運用期間の定義が書いてありまして、その『核燃料物質がその施設にある間』って書いてあって、それがいつになるかわからない訳ですよ。

 これを運転期間と勘違いしている人、裁判官の中に誤解して判決を書いた人が、何人もいるんですけど。

 運転期間は40年ってなってるけど、その施設に核燃料物質があるのは、再処理も決まってないし、中間貯蔵(場所)もないし、という状況だと、下手したら半永久的に、その施設にあるわけですよね。

 となると、何千年なのかも、もしかしたらわからないっていうレベルで、施設に、要するに、その間、例えば千年としましょう。その千年の間に『破局的噴火』が起こらないなんて言えるわけないじゃないか、ということ。

 そういう、極めて単純な話なんですけど、そういうようなことを、当初は、『モニタリング』っていう、要するに観測していれば、それがわかるだろうと、その予兆がわかるだろうという建付けになっていたわけですね。

 ところが、そのモニタリングに実効性がないってことがわかっちゃったわけですよ。(後略)」。

 中野氏の講演内容、および質疑応答の詳細については、全編動画を御覧いただきたい。

■全編動画 前半

■全編動画 後半

  • 日時 2024年2月27日(火)19:00~21:00 ※開場17:30分
  • 場所 スペースたんぽぽ(東京都千代田区)
  • 告知 詳細
  • 主催 たんぽぽ舎

IWJの取材活動は、皆さまのご支援により直接支えられています。ぜひ会員にご登録ください。

新規会員登録 カンパでご支援

関連記事

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です