2023年3月3日、10時15分より、東京都新宿区市谷の防衛省庁舎にて、浜田靖一 防衛大臣の定例記者会見が行われた。
質疑応答では、IWJ記者は以下のとおり質問をした。
IWJ記者「岸田総理は2月24日の会見で、『ロシアによる核の威嚇、ましてや使用はあってはならない』、『ロシアによる核の使用をちらつかせる威嚇を断固として拒否する強いメッセージを発していく』等、『ロシアの核の脅威』について3回言及されました。
『あってはならない』こととはいえ、ロシアが追い詰められれば、戦術核を使用するかもしれません。その場合、米国およびNATOが核兵器で報復する事態も想定されます。
核攻撃への相互のエスカレーションのリスクを考えれば、ウクライナへの武器支援よりも、停戦に向けての働きかけがより重要になると思いますが、そうした考えは岸田政権にはないのでしょうか。浜田大臣のお考えをお聞かせください」。
浜田大臣は次のように答弁をした。
浜田大臣「仮定の質問には、コメントは差し控えさせていただきたいと思います。いずれにしても、我々とすれば、あらゆる努力をするということが重要だと思っておりますので、その点についても、色々な情報収集の下にですね、政府として検討していくことになろうかと思いますので、今、ここでのコメントは差し控えさせていただきたいと思います」。
浜田大臣は、『仮定の質問にはコメントしない』との姿勢を崩さないが、識者や専門家の間では、以下のとおり、すでに「ウクライナ紛争停戦」に向けた発言・提言が行われている。
- インタビュー完全版「岸田政権は停戦仲介に動け、資源国と水素外交にシフトせよ」今井尚哉(たかや)・元安倍内閣首相補佐官(週刊エコノミスト Online 2023.2.20)
- 「ウクライナ侵攻、『戦え一択』にかき消される即時停戦の声 被爆地・広島からの訴え」副島英樹・朝日新聞編集委員(朝日新聞GLOBE+ 2023.2.22)
- 「岸田首相よ、バイデン大統領に停戦交渉を呼びかけよ!」東郷和彦・元外交官、伊勢崎賢治・東京外大教授、木村三浩・一水会代表(週刊朝日 2023.3.10)
東京外大教授の伊勢崎賢治氏は、上記の鼎談の中で、次のように『即時の停戦』を主張している。
伊勢崎氏「停戦を手掛ける実務家の立場からすると、停戦は即時、なるべく条件をつけないでするものです。これ以上、住民の犠牲を積み重ねないためには、戦争犯罪など人権問題、領土問題はいったん棚上げしなければ交渉は前に進みません。
もはや被害を受けているのはウクライナ市民だけではなく、すでに両国からの穀物輸出が滞って、アフリカをはじめ世界の飢餓問題にも直結しています」
浜田防衛大臣、および防衛省は、「コメントを控え」ている場合ではなく、随時、必要があれば、防衛省としての方針を、定例会見などの機会を使って、メディア、そして国民に周知し、メディア・国民からのフィードバックにもとづいて、国防に関する意思決定を行うべきではないだろうか?
政府、防衛省には、「停戦」を口にできない理由があるのだろうか?
質疑応答における他社の質問等、会見の詳細についてはぜひ全編動画をご視聴ください。