真珠湾攻撃による日米間戦から80年目の前日にあたる2021年12月7日、超党派の極右議員連盟「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」から、99人が靖国神社を参拝した。あえて、この「真珠湾攻撃80周年」の日を選んでの参拝である。真珠湾攻撃の決断を、靖国神社という侵略戦争礼讃神社に参拝することで、美化し、正当化しようというもくろみなのだろうか?
理解しがたい。
これは、自民党と日本政府が常に頼りにし続けている米国に対して、挑発しているとも受けとれる政治行動である。
一方、安倍晋三元総理の「台湾有事は日本有事」発言に対して「中国が、日本は対中侵略戦争の誤りを教訓とすべき」と激しく抗議していた。ところが、岸信夫防衛大臣は「こうした考えがあることは、中国として理解してもらう必要がある」と記者会見で述べた。
これは、日本国内に台湾有事は日本有事であり、「台湾側について参戦し、中国と戦う」という考えがあることを中国は理解すべきだ」という、開きようによっては、中国に対する「脅し」とも取れるような、軽率な暴言である。
その安倍元総理は、中国の抗議を「大変光栄だ」と語った。相手国政府を馬鹿にした態度であり、不必要で危険な挑発である。
与党政治家たちは、中国との再びの戦争を「既定路線」とみなしているのだろうか?
岸田文雄総理が所信表明で、「敵基地攻撃能力」保有の検討や、「安保戦略」改定、「防衛力」抜本強化、「憲法改正」論議を訴えた。これに対して共産党・志位和夫委員長は「補正予算の7700億円の過去最大の軍事費積み増しに一言もない」と批判している。
林芳正外相の記者会見での、日米開戦80年の教訓を問われての回答は、官僚の作文の棒読みだったかもしれない。しかし、その中に「力の行使ではなく、平和的外交的に解決」という言葉がある。これこそ肝に銘じるべきだ。