米国の要請でホルムズ海峡への自衛隊派遣が検討されるなか、敗戦から74年目の8月15日、参拝者にそれぞれの思いをたずねる~8.15靖国神社参拝者・千鳥ヶ淵墓苑献花者へのインタビュー 2019.8.15

記事公開日:2019.8.15取材地: テキスト動画
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(取材:渡会裕・塩澤由子 文:塩澤由子)

※2019年8月16日、テキストを追加しました。

 2019年8月15日は終戦から74年目となる。今年もIWJは靖国神社と千鳥ヶ淵へ行き、参拝者に取材を行った。終戦から74年の歳月が経ち、参拝者は戦争経験者が少なくなる中で、子供連れの家族が多い印象だった。

 埼玉県から来たという女性は、IWJ記者のインタビューに「毎年来ている。シベリアで叔父が抑留され戻って来た。苦労した人も多いため、そうした方々に想いを馳せるつもりで参拝しに来た」と答えた。インタビューした人の多くが、身内や祖先に戦死者がいるから、という理由で参拝に来ていた。

 米国が参加を呼びかける中東有志連合へ日本政府は自衛隊を派遣するのか否か、その動向が注目されている。政府が改憲に前のめりな状況の中、自衛隊が中東へ派遣されることになれば、日本が米国の戦争に巻き込まれる可能性も高まる。

 IWJ記者が、今後日本が戦争をする国へと変わる危険性について聞いたところ、江戸川区から来たという男性は、次のように答えた。

 「外交の手段としてね。回避する手段はある。最後の手段ですよ、やっぱり。(中略)だから、憲法が改正して自衛隊は自衛権の行使を認めるべきだと私は思います。抑止力としてね、あくまでもね。戦争はしないという前提の下でね」

 また、茨城県から来たという夫婦は、以下のように答えた。

 「(自衛隊の海外派遣は)心配されることではあると思うんですけれども、本来だと避けたいですが、今のままでは自衛隊の方々を守る法律がやっぱり何もない。やっぱりそこから何かしなくはならない。闇雲に戦争反対ではなくて、ではじゃあ、どうすればいいか。まずはやっぱり国のために活動してらっしゃる自衛隊の方々を守るのが先なんじゃないか、という思いが強いですね」

 憲法の改正のいかんにかかわらず、自衛隊は現在でも個別的自衛権を行使できるし、安倍政権の進める改憲と「自衛隊の方々を守る法律」などとは無関係である。限られた人数からの回答ではあったが、安倍政権のイメージ先行の改憲論が一般の人々の意識に浸透してしまっていることがうかがえる。何よりも自衛のための戦争ではなく、日本から遠く離れた場所で他国の戦争の手先として使われるのだという危機感は、インタビューに応じてくれた方々からは感じられなかった。

 千鳥ヶ淵でも取材を行ったが、靖国神社と千鳥ヶ淵の両方で参拝をしている人の姿が目立った。

 千葉県から来たという男性は、参拝に来る想いを以下のように語った。

 「素直に、今日の日本の繁栄はやっぱり先の戦争で亡くなられた人の尊い犠牲の上に成り立っていると思うんですね。だから我々日本人は1人1人そういう思いを、1年に1回でもですね、そういう思いをして生きていった方がいいんじゃないかって思いで私はお参りしているんです」

 また、身内が戦死したために、月に1回靖国神社と千鳥ヶ淵を参拝しているという男性は、戦争について次のように答えた。

 「戦争は人間の本性というか、しょうがないので。平和が続けばいいですけど、だけど起こっちゃうものは起こっちゃうので、やっぱりやむを得ないですよね。いかに抑えられるかっていうのが問題だと思います。(中略)(自衛隊派遣について)絶対行くべきだと思います。死活問題というか、日本が一番石油輸入しているのはあそこだし。それでやっぱり守らなきゃいけないのは経済でもあるし、みんなの生命でもあるし。生命の根幹が結局はペルシャ湾にあるわけだし。それを守るためにはやっぱり絶対に行くべきだと思います」

 日本が原油輸入の多くを中東に依存しているのはその通りである。それゆえに中東で戦争が起こること、ましてやその戦争に日本が巻き込まれることこそ死活問題なのではないか。しかも日本とイランは長年独自の友好関係を築き上げてきた。現在、イランはイスラエルや米国からの一方的な非難によって悪者にされているが、イランがタンカーを攻撃したという明確な証拠はない。

 戦争経験者が世を去り、過去の戦争について語る人が減少する中、戦争の惨禍を繰り返さないためにも、次世代へ語り継ぐ必要性を改めて感じた。

 IWJが報じた最近のイランをめぐる国際関係については、ぜひ以下の記事をご覧いただきたい。

■ハイライト

  • 日時 2019年8月15日(木) 13:00~
  • 場所 靖国神社 敷地外、千鳥ケ淵戦没者墓苑 苑内(東京都千代田区)

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