4月6日水曜日、午後7時から「ブチャ市での民間人大量殺害事件を検証! 米国主導で大量の武器が送られるウクライナで育つ外国人戦闘員が戦後『白人テロ』拡大の危険を招く! 岩上安身による 国際政治学者 六辻彰二氏インタビュー 第3弾」をお送りした。
3月25日に行われた第1弾では、ロシアによるウクライナ侵攻について、なぜロシアはウクライナに侵攻しなくてはならなかったのか、ということを中心に、メディアで報じられ続ける「突如侵攻した! 悪いのはロシア! 」というストーリーが本当に正しいのかどうか、検証した。
前回、3月30日に行われた第2弾では、六辻氏が兼ねてより懸念を示し、岩上安身が六辻氏にインタビューをする一つのきっかけにもなった、ウクライナの凖軍事組織で、今はウクライナ軍の一部に編入された極右ネオナチ組織「#アゾフ」の実態についてお聞きした。
#アゾフについては、ウクライナ東部ドンバス地域でのウクライナ軍によるロシア系住民の虐殺について、外務省元駐ウクライナ特命全権大使の角茂樹氏が、テレビ朝日の番組で、その虐殺行為を完全否定したり、軍事ジャーナリストの黒井文太郎氏も同局の番組で「彼らは思想的に無力化された」と、アゾフの主張を補強する発言をするなど、多くの人に真実が行き渡っていないどころか、事実が曲げられて報道されていた。
第2弾のインタビューで、六辻氏は、アゾフの残虐性について次のように語っている。
六辻氏「2014年頃からすでにアムネスティ・インターナショナルという国際人権団体が指摘していました。民兵ですから、上意下達の指揮命令系統があるわけでもなんでもない、国際法も理解していない中で、とにかく気に入らなきゃ殺してしまえということになりやすいのです。それはウクライナだけでなく、どこでもそうです。
そういう中で、『捕虜を捕まえた。こいつら殺してしまえばいいじゃないか』という虐殺行為というのはいくらもあったと、というふうに国際人権団体が報告しているんですけども、その後の事後調査というのはウクライナ当局は行って来ませんでした」
第2弾のインタビューでは、アゾフの実態について、事実を曲げて報じる大手メディアと異なり、アゾフの結成から、特徴、その残虐性について、六辻氏に存分に語っていただいた。
第1弾、第2弾のインタビューは、以下のURLから御覧いただけます。
今回の第3弾は、前回時間が足りず伝え漏れてしまったアゾフの実態についてと、ウクライナが世界各国で募っている義勇兵、すなわち外国人戦闘員がもたらす安全保障上のリスクについて岩上安身がインタビューを行った。
インタビューの冒頭では、ウクライナのブチャでロシア軍が民間人を虐殺した疑いについての検証から始まった。
六辻氏は、ブチャでの民間人虐殺について「ロシア軍による虐殺の可能性を否定できない」とした上で「実際の詳しい調査抜きに、当事者であるところのウクライナ政府の言い分が全てであるかのように通ってしまっている」と、検証がされていないにもかかわらず、ウクライナの言い分通り、ロシア軍が虐殺した、「これは戦争犯罪である」と断定的に報道されてしまっていることに疑問を呈した。
六辻氏「よく『戦争犯罪』という言葉と『人道に対する罪』という言葉が使われますけど、条件があるんです。組織的であるということ、計画的であるということ。上からの命令でもって、それを全体としてやっているというものでないと、戦争犯罪ではないのです。
多くの市民が死んでいるということは確かであるし、そこは痛ましいのですが、ロシア兵がやったとしても、それが組織としての意識をもってやったのか、末端兵員の暴走でもって結果そうなったのか。これは結果が同じであっても、別の問題であり、注意しないといけません。
ですが、今は最初から全てそれを戦争犯罪であると、ロシア軍の組織としての犯行だと規定しているというのが、一つ大きな偏りなのではないかと思います」
岩上「各国政府の首脳が(『戦争犯罪』)を口にして、バイデンと、ゼレンスキーを筆頭に、メディアがそれを伝えるという。でもそこには、きちんとした条件付けで、国際法にもとづかなければいけないということですよね。
それを考えれば、中東でアメリカは何十年間にも渡って、罪のない子どもとか、おじいさん、おばあさん、女性(といった民間人)を(無差別空爆で)殺してきた。それを全て『コラテラルダメージ』という言葉で全部片づけた。つまり『巻き添え被害だから仕方なかったんですよ。意図はありませんでした』と『故意ではない、不作為です』と言って、数十万というオーダーで人が死んでも、何の戦争犯罪にもなりませんでした。国際社会から『戦争犯罪だ』という非難も受けなかったわけです。
これ、数の多い少ないで、問題にすべきことではない。『200人というオーダーだから、少ないから良いんだ』なんて言うつもりは一つもありません。アメリカは(ケタ違いの何十万人というオーダーで民間人の犠牲を出しても)『わざとやったのではないんだ』で、(罪に問われることなく、制裁を受けることもなく)全部免れてきました。
(ロシアの犯行と決めつけるには)これがわざとであり、計画的であったということが立証されなくてはいけないですよね」
六辻氏「仰る通りです。そこを抜きにして、決めつけるのは政治的な、一つのプロパガンダになってしまいますよね」
その後、インタビューは本題に移っていった。是非、会員登録していただいて全編を御覧いただきたい。
また、これまでのウクライナ危機の経緯について、岩上安身は2022年に入ってから、元外務省国際情報局長の孫崎享氏に4回の連続インタビューを行っている。ロシアによるウクライナ侵攻に至るまでの経緯を知りたい方は是非、御覧いただきたい。
- 「米国の方が現状変更」!「東の『台湾有事』危機と西の『ウクライナ有事』危機が同時に迫る!(続編)」~岩上安身によるインタビュー 第1067回 ゲスト 元外務省国際情報局長 孫崎享氏 2022.1.31
- ウクライナ東部独立は悪? 東の「台湾有事」危機と西の「ウクライナ有事」危機が同時に迫る!(第3回)~岩上安身によるインタビュー 第1068回 ゲスト 元外務省国際情報局長 孫崎享氏 2022.2.18
また、2013年に起こったユーロ・マイダン・クーデターからロシアによるクリミア併合、ウクライナによるロシア語話者への迫害についてもIWJは詳細に報じている。以下のURLから御覧いただけける。