ロシアに所有が移管されたザポリージャ原子力発電所のムラショフ前所長が、ウクライナの情報機関に原発の情報を渡していたことが明らかになりました。
ロシア軍に拘束されていたムラショフ氏は、3日解放されましたが、ロシアの『タス』は、ウクライナ保安局(SBU)が英国情報機関の命令で、ザポリージャ原発上流の3つのダムの破壊を計画しており、洪水が起きた場合の原発のデータをムラショフ氏に渡すよう要求していたと報じています。
以下、号外の内容をお届けします。
プーチン大統領が、併合したザポリージャ州にあるザポリージャ原発をロシア政府の所有に! さらに誘拐されたと伝えられたムラショフ・原発所長の拘束続報! 拘束したのはロシア軍で、拘束はウクライナ情報機関へ情報を流していたためとの理由! ムラショフ氏はすでに解放! ウクライナ(SBU)は情報機関の命令で、原発上流の3つのダム破壊による「津波」攻撃を計画!? 事実なら、原発が「津波」に襲われメルトダウンは確定!!
10月4日のこの日刊IWJガイドで、ウクライナの(ロシアに併合された)ザポリージャ原発のムラショフ所長が、9月30日にロシア軍に誘拐されたと、ウクライナ国営エネルゴアトム社とIAEA(国際原子力機関)が発表したことをお伝えしました。
- ロシア軍がザポリージャ原発のムラショフ所長を拘束!? IAEAは直ちに解放を要求! ロシア『タス』はIAEAグロッシ事務局長のモスクワ訪問予定を報じるも、ムラショフ氏拘束に言及せず、今のところ否定も肯定もなし!(日刊IWJガイド、2022年10月4日)
そのムラショフ所長について、ウクライナ国営企業であるエネルゴアトム社は、現地3日付けで「ムラショフ所長が解放された」と発表しました。以下、その原文仮訳です。
「2022年9月30日、発電所からエネルホダルの町に向かう途中、ロシア軍に誘拐されたザポリージャ原子力発電所(ZNPP)のイホル・ムラショフ所長が解放されました!
占領軍は10月3日夜、彼をウクライナの支配地域に放り出したことがわかりました。当面の間、イホル・ムラショフは安全で、ザポリージャ市のZNPP外部危機管理センターにいます。
今回の解放は、この異例の事態を広く報道したことと、ラファエル・グロッシIAEA事務局長がロシアの拘束からイホル・ムラショフ氏を解放する上で重要な役割を果たしたことによるものです」
- ZNPP Director General Ihor Murashov has been released from captivity(ENERGO ATOM、2022年10月3日)
また、IAEAも4日のステートメントで、ムラショフ所長が解放されたことを確認したと発表しています。
「昨日、IAEAのグロッシ事務局長は、ウクライナのザポリージャ原子力発電所(ZNPP)のイホル・ムラショフ所長が家族のもとに無事戻ったことを確認し、その釈放を歓迎した。
グロッシ事務局長は、土曜日(10月1日)にムラショフ氏が拘束されていることを知って以来、関係当局と継続的に連絡を取り合い、同氏の解放に貢献するよう努めてきた。
土曜日に報告されたとおり、ZNPPの所長は同発電所の原子力安全とセキュリティを確保する責任を負っており、このような形で彼が職務を離れることは、発電所の安全とセキュリティ確保における意思決定に即時かつ深刻な影響を与えるものであった。
IAEAは、ムラショフ氏が現在、ウクライナの支配地域に家族とともにおり、ZNPPでの職務を継続することはないと理解している。ムラショフ氏の後任はまだ決まっていない。
ZNPPに滞在中のIAEA専門家によると、9月20日の砲撃で損傷した5号機と6号機周辺のスプリンクラー池の修復作業が本日(10月4日)完了したとのこと。10月1日(土)以降、ZNPP周辺での砲撃は報告されていない。
グロッシ事務局長は今週末にキエフ、その後モスクワに移動し、ZNPP周辺の原子力安全・セキュリティ保護区域の合意・早期実施に向けた協議を継続する予定である」
- Update 111 – IAEA Director General Statement on Situation in Ukraine(IAEA、2022年10月4日)
このムラショフ氏の拘束について、先述した10月4日付日刊IWJガイドでもお伝えした通り、ロシア側は、「誰が誘拐したのか」という事実について、当初沈黙していましたが、ロシアの通信社『タス』が、現地3日付けで「ムラショフはウクライナの機関と協力していたことを告白し、キエフの支配地域に『追放』された」と報じました。
「ザポリージャ原子力発電所のCEO、イホル・ムラショフは、ウクライナ情報機関との協力関係を告白し、キエフの支配地域に『追放』された。告白映像は、火曜日(10月4日)にロシアのテレビで放映された。
『私はウクライナ治安維持局(SBU)の職員イーゴリ・カゼミルスキーとメッセンジャーアプリで連絡を取っており、われわれのコンタクトのポイントは、原発の状況についてだった』と、ムラショフはビデオで語っている。
ムラショフは、ウクライナ軍の砲撃によって原発が受けた被害について、『知っていた』と強調した。
『このような被害は、緊急事態を引き起こす可能性がある。砲撃はウクライナ側、ドニエプルから来た可能性が最も高い。発電所のスタッフは危険にさらされており、これらの砲撃による被害を修復する際も危険な状態が続く』と、元CEOは述べた」
- Zaporozhye NPP CEO expelled after confessing to working with Ukrainian agencies — report(Tass、2022年10月4日)
ムラショフ所長を拘束したのはロシア軍である、というエネルゴアトム社やIAEAの主張に、IWJは4日の記事で、疑問を呈しましたが、ムラショフ所長がウクライナ情報機関と連絡を取り合っていたことから、ロシア軍が一時的に拘束したというのがロシア側の主張です。
しかし、ウクライナ側と通じていたことがわかったムラショフ所長ですら、ザポリージャ原発に砲撃を加えているのが、ウクライナ側であると証言している点は、決して看過できません。むしろムラショフ証言によってウクライナが砲撃しているのは確実となったということができます。
日本のマスメディアはいつまでロシア軍が砲撃しているとの虚偽報道を続けるのでしょうか?
さらに『タス』は6日にも、ムラショフ氏がウクライナの情報機関に、ザポリージャ原発に駐留するロシア軍に関する情報も渡していたとする続報を出しています。
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