2014/04/22 資源エネルギー庁も認める「安全性」定義の曖昧さ ~国会エネ調 第39回 「十分か?原子力災害時の避難計画」  

記事公開日:2014.4.22
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 超党派の「原発ゼロの会」と国会エネ調有識者チームによる、原子力災害に備えた地域防災計画・避難計画の策定についての検証が、第39回の国会エネルギー調査会(準備会)で4月22日(火)に行われた。

  • 記事目次
  • 「避難計画の実効性はありません」
  • 「安全性」とは何か?
  • ずさんな避難者受け入れ計画

  • 報告 「原発事故時の避難計画の実効性を検証する」 上岡直見氏(環境経済研究所代表、『原発 避難計画の検証』著者)/「避難計画・避難者受け入れ計画の実効性」 脱原発をめざす首長会議より
  • 説明・質疑対応 原子力規制委員会原子力規制庁、資源エネルギー庁
  • 場所 衆議院第一議員会館(東京都千代田区)
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「避難計画の実効性はありません」

 環境経済研究所代表の上岡直見氏は、避難計画において交通問題がポイントだと主張。福島事故の教訓から、被曝せずに避難するのは困難であったように、「避難計画には期待できない。避難計画の実効性はありません。何らかの対策で改善されることもない」と切り捨てた。

 また、規制庁の原子力防災対策指針は、福島で広範囲にわたって避難した教訓から、防護措置を講ずべき重点区域を30kmまで拡大したり、PAZ(5km圏内)の住民を放射性物質の放出前から避難させること等を定めたが、PAZ(5km圏内)ですら被曝後の避難となる恐れが高いことから、こうした点が指針で曖昧な記述となっていることに懸念を示した。

 バス輸送能力の推定をしたところ、原発立地地域の対象人口に対するバス乗車可能人数の比率はわずか数%にしかならず、ピストン輸送は困難であり、粒子状の物質が降る中でバスを待つのは不可能だと上岡氏は指摘。関西の脱原発市民団体がバス事業者に聞き取り調査をしたところ、大阪府・兵庫県の回答を得られたほとんどのバス事業者は、「聞いていない」、「対応困難」と回答しているという。

「安全性」とは何か?

 4月11日に閣議決定されたエネルギー基本計画の中に記述されている「原子力発電所の安全性については原子力規制委員会の専門的な判断に委ねる」という「安全性」について、菅直人元首相は、「設備などの安全性なのか、住民にとっての安全性なのか特定していない」と指摘した。「特定していないならば、どちらの安全性も必要となる」というのが菅氏の主張である。

 資源エネルギー庁からは、原子炉等規制法による設備の安全性と、災害対策基本法の中での住民の安全を守るものがあり、「安全性というひとつの言葉で何か定義付けがあるわけではない」と使い分けされているが、それぞれについて何らかの定義があるわけではないことが明らかになっている。

 これについて菅氏は、「文章上はどちらかに限定されていない。限定するなら安全性の部分を新規制基準などにしなければならない」と述べた。

 環境エネルギー政策研究所所長の飯田哲也氏は、「原子力防災対策指針の中身は、誰が責任を持つのか。原子力規制委員会設置法には、国民の生命、健康、安全、財産、環境の保全を守るのを任務とすると書いてある」と述べ、「設備の外側までの安全を担保しない」と規制委員長自らが発言したこと自体が「設置法違反である」と指摘した。さらに、「これだけ問題点を指摘されているのだから、次の事故(が起きた場合)は明確に組織犯罪です」と言い切った。

ずさんな避難者受け入れ計画

 会では、「脱原発を目指す首長会議」のメンバーも参加して意見が述べられた。元小金井市長の佐藤和雄氏は、避難者受け入れ計画について、「不確定要素があまりにも多いため、作りようがないとの声が挙がっている」との実態を語り、「避難計画は避難者を受け入れる計画とセットで作られるべきであり、国・都道府県への要望としては、避難所の設置基準や運用ルールの指針を示してほしい」と提示した。

 常総市長の高杉徹氏は、「避難が長期化した場合は、自治体としては予算、設備、避難者のケアなどの問題があり、小さな自治体に対応できるのか」と疑問を呈して、「要援護者への受け入れは重い責任があるが、設備などが十分ではない」と指摘した。

 これに関して内閣府原子力防災担当からは、避難計画策定の対象市町村135のうち、71市町村が策定済みで、道府県による避難時間推計の実施も随時行われているとの報告があった。要援護者への対策としては、「避難や準備に時間がかかるので、早めに避難を開始していただき、病院や福祉施設で一時的に避難する際の施設に対する放射線防護対策などを進めていく」と答えた。(IWJ・松井信篤)

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