「ドイツの政治家は、国民の意思を重視する。日本では?」 〜脱原発をめざす首長会議 勉強会 2013.12.15

記事公開日:2013.12.15取材地: テキスト動画
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(IWJテキストスタッフ・関根/奥松)

 「韓国、南アフリカ、トルコなどが核燃料再処理を望み始め、アメリカは、プルトニウム拡散を抑制するため、(2014年3月)オランダで開かれる核セキュリティ・サミットで、総量規制を提案するという。こういう世界的な流れの中での、核燃料サイクル推進は矛盾する」──。河野太郎衆議院議員は、政府のエネルギー基本計画案の内容を批判した。

 元国立市長の上原公子氏は「ドイツ緑の党副代表ベーベル・ヘーン氏から『日本人は視察に来て、よく勉強するが、日本に帰ったら何もやっていないんじゃない?』と指摘された」と話した。

 2013年12月15日、東京都品川区にある品川インターシティホールで、「脱原発をめざす首長会議」による勉強会「原発ゼロに向けて 日本の課題/ドイツの経験」が開かれ、河野太郎衆議院議員らが講演を行った。脱原発を表明している全国自治体の首長・元首長からなる「脱原発をめざす首長会議」は、経済産業省の総合資源エネルギー調査会が、原発を「基盤となる重要なベース電源」として位置づけた「エネルギー基本計画案」に対し、2012年の国民的議論を無視するものとして、反対する決議などを採択した。

■ハイライト

  • 挨拶 村上達也氏(主催世話人、元茨城県東海村長)その他顧問から
  • 講演 河野太郎氏(自民党衆議院議員、「原発ゼロの会」世話人、「脱原発をめざす首長会議」顧問)「原発事故の政府の最新状況―汚染水問題等」
  • 「ドイツ視察の意義と日本の自治体への提案」
    ラウパッハ=スミヤ・ヨ-ク (Jörg Raupach-Sumiya) 氏(立命館大学教授)/上原公子氏(主催事務局長、元東京都国立市長)/田島公子氏(元埼玉県越生町長)
  • 細川弘明氏(原子力市民委員会事務局長)「原発ゼロ社会への道──新しい公論形成のための中間報告」の紹介
  • 決議案議論・採択
    新しいエネルギー基本計画で原子力発電を基盤となる重要なベース電源と位置づけることに強く反対する決議/東電を破綻処理し政府が汚染水対策等、原子力災害の処理と賠償に全面的な責任を果たすことを求める決議/被害の実態に見合った新しい原子力賠償保険への加入義務付けを求める決議
  • 挨拶 吉原毅氏(城南信用金庫理事長)/三上元氏(主催世話人、静岡県湖西市長)

■主催 脱原発をめざす首長会議
■告知 12月15日 脱原発をめざす首長会議 勉強会開催

 まず、脱原発をめざす首長会議事務局長の上原公子氏がスピーチに立ち、「脱原発をめざす首長会議は、福島原発事故を見て、住民の命と財産を守る責任を感じた69人の首長が、原発ゼロをめざし発足。現在は、38都道府県の92人が集まっている」と話した。

 元茨城県東海村長の村上達也氏は、開会のあいさつで、「エネルギー基本計画案に『原発をベース電源にする』とある。エネルギーは地産地消で十分、達成できる。地方復権を果たせば、脱原発は実現する」と話した。

世界の流れに反する日本のエネルギー基本計画

 河野太郎議員が登壇、ドイツ視察での見聞を話した。「ドイツの政治家は、脱原発の流れについて、ふた言目には『国民の意志』と連呼した。ドイツは今、電力輸出超過のうえ、輸入価格より高く輸出している」。

 続けて、「日本のエネルギー政策の基本は、核燃料サイクルだったが、破綻した。ところが、今回のエネルギー計画案でも同じことを言っている。まるで、福島の事故がなかったかのようだ」と批判した。

 「現在、日本の保有するプルトニウムは45トン(国内10トン)。アメリカ軍の核兵器全部のプルトニウムは38トン。北朝鮮のプルトニウムは最大で推定50キログラム。この50キロのために6カ国協議を、というのだから、45トン持っている日本は『6000カ国協議』くらいをしなくてはならない状況だ」と笑いを誘った。

 「原発を再稼働したら、玄海原発は3年で使用済み燃料プールが満杯になる。政府は『電気が足りない、電力会社はつぶれる、電気代が上がって製造業が逃げる』など、数々の嘘を並べる」。

 「日本が再処理をやっているからと、今、韓国、南アフリカ、トルコなどが核燃料再処理を望み始めた。危機感を抱いたアメリカは、プルトニウム拡散を抑制するため、2014年3月、オランダで開かれる核セキュリティ・サミットで、総量規制を提案するという。こういう世界的な流れの中で、核燃料サイクル推進は矛盾する」。

東電は破綻処理、発電部門は売却だ!

 河野氏は、原発と核燃料サイクルを止められない理由を、「今、資産として計上してある1万7000トンの使用済み核燃料、これが負債化すると電力会社の会計は持ちこたえられない。また、核燃料サイクルをやめたとたん、六ヶ所再処理工場の3000トンの使用済み核燃料の行き場に困るのだ」と述べた。そして、「本来のエネルギー基本計画は、核燃料サイクルの実態、高速増殖炉実用化の失敗、国内に10トン、海外に35トンあるプルトニウム処理、最終処分場の問題などを国民に明らかにし、解決策を議論するべきなのだ」と断じた。

 その上で、経産省が主張する「原発が止まったために生じた3兆6000億円の損失」のトリックを暴き、さらに、「再生可能エネルギー発電促進賦課金は、電気料金の請求書に明示してあるが、使用済燃料再処理等引当金は電気代に隠し込んでいる。おそらく、国民は1000億円以上余分に支払わされている」と指摘した。

 そして、福島第一原発の汚染水問題にも警鐘を鳴らし、「あの汚染水タンクは安物買いの銭失い。東電にまかせている限り、コストを惜しむから、さらにお金がかかることになった」と述べた。「3.11直後、東電には大手金融機関から2兆円の無担保融資があったが、それを私募債(社債)に組み替えている。つまり、国民負担が増えているにもかかわらず、金融機関への借金は減ってきている。東電は破綻処理をし、経営者に責任をとらせ、発電部門を売却するべきだ。そして、国民みんなで新しいエネルギー政策の議論をし、明るい日本を作っていくべきだ」と話し、講演を終えた。

再生可能エネルギーには強いリーダーシップが必要

  第2部は、阿部知子衆議院議員の飛び入りスピーチで始まり、立命館大学教授ラウパッハ・スミヤ ヨーク氏が登壇。ドイツ視察の概要を話し、そこから得た印象を、「再生エネルギー自給率100%を目指せ。明確な目標設定。リソースの棚卸。エネルギー政策は町づくり、モノづくりではなく地域経済づくり。サービスや事業で儲かる」とし、詳細を語った。

 「ドイツのエネルギー政策は、1992年地球サミット・リオ宣言での、自治体の中核的な役割(28条)から始まり、現在(2013年)、138地域、2160万人の自治体が自給率100%を目指す。100万人都市ミュンヘンは、10年間で1兆円を投資する」。

 「そのためには、強いリーダーシップが必要。目標設定として、環境目標はエネルギー効率の改善と、普及率の設定。独立目標には、エネルギー自給率。経済目標は、地域経済付加価値、雇用創出のためのロードマップを作る」と話し、その具体的な成功例として、5年間で自給率を150%に上げた、住民10万人のライン・ヒュンスリュックなどを紹介した。

視察に来て勉強しても、何もやらない日本人

 次に、元埼玉県越生町長の田島公子氏が、越生町の概要を述べた上で、「町長就任当初に財政難で困っていると、ある記者から『原発、最終処分場、もしくは刑務所を誘致すれば豊かになる』と言われた」と話した。 

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