2013年4月14日(日)13時から、三重県伊勢市のハートプラザみそので、「公開シンポジウム『自然と共存するエネルギーのまちへ』」が行われた。講演では、自然エネルギーへの転換を掲げるドイツの事例を紹介しながら、エネルギーシフトを実現するための政策、地域コミュニティの重要性が語られた。
(IWJテキストスタッフ・富山/奥松)
2013年4月14日(日)13時から、三重県伊勢市のハートプラザみそので、「公開シンポジウム『自然と共存するエネルギーのまちへ』」が行われた。講演では、自然エネルギーへの転換を掲げるドイツの事例を紹介しながら、エネルギーシフトを実現するための政策、地域コミュニティの重要性が語られた。
■全編動画
・1/2(再配信映像 13:00頃~ 2時間15分)※2時間0分以降(第2部)は2/2にも録画されております。
・2/2(再配信映像 1時間48分)
ドイツのエネルギー政策、地域の振興策をテーマに講演を行ったシュレイヤー氏は、2050年までに、1999年比で温室効果ガスを80%から90%引き下げる確約を掲げているEUの取り組みを紹介した上で、「ドイツでは、3.11以後、原子力エネルギーからの脱却を目指し、2020年までに、すべての原子炉を法的拘束力を持って止めることを決めた」と述べた。その上で。EU加盟国27カ国の内、13カ国が原子炉を保有しておらず、14カ国の保有する原子炉も確実に減っている状況を解説した。
続いて、ドイツで制定された再生可能エネルギー法、エネルギー買い取り制度、電力事業の自由化が、エネルギー政策を推進する要になったことを説明し、「こういった法律が、大きな変化をもたらした。これまで、大企業が独占的に所有していた大型発電施設から、再生可能エネルギーを推進することによって、発電設備の個人所有が実現可能となっている。ドイツでは、発電の50%は一般家庭による個人発電である」と語った。
「再生可能エネルギーに転換する際、地域コミュニティのあり方が重要になってくる」と指摘するシュレイヤー氏は、「自然エネルギーは、コミュニティが電力を供給する側になる可能性を持っている。ドイツでは、将来どのようなエネルギーを使用するべきか、人々は意見を出し合い、多くのコミュニティが自然エネルギーに切り替えはじめている。再生可能エネルギーへの転換には課題もたくさんあるが、技術力を持つ日本は、今後、再生可能エネルギーに転換していくべきではないか」と語った。
続いてヨ-ク氏が、エネルギーシフトを実現した街、Feldheimの事例を挙げて、「再生可能エネルギー組合を結成することで、エネルギーを市民自らの手で作ることができる。ドイツでは再生可能エネルギーへの転換によって、新たに38万人の雇用を創出することができた。再生可能エネルギーへのシフトは、大変な努力と高い志が必要だが、次世代に誇りをもって渡せる社会インフラを構築するべきである」と述べた。
朴氏は、ドイツの脱原発の民主主義プロセスと緑の党の役割をテーマに、ドイツにおける緑の党の活動の歴史を紹介した。その中で、経済成長も自然環境が良くなる限りは否定しない、という姿勢を打ち出してから支持率を上げて、再生可能エネルギーへシフトしていった経緯を解説した。
パネルディスカッションの中で、飯田氏は「自然エネルギーは、農耕改革、産業革命、情報通信革命に次ぐ、第4の革命である」とし、自然エネルギーによる発電が、世界的に見ると増加傾向にある点を解説した。その上で、「原子力発電が横ばいなのに対して、風力、太陽光発電に関しては、加速度的に増えている。重要になるのは地域分散型ネットワークを形成し、地域で発電し、消費することである」と述べ、地域が意思決定し、便益を共有するオーナーシップ制度が、エネルギーシフトの実現に必要であるとした。
ドイツでの留学経験もある朴氏は、補助金によって原発に依存させられてしまっている日本の地域構造を問題視し、「ドイツでは考えられないこと。脱原発を実現するためには、原発がなくなると困る地域が、どのように自立していくかを共に考える必要がある」と語った。
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