伝統的ユダヤ教の絶対的平和主義から逸脱した”軍事国家”イスラエル ~岩上安身によるインタビュー 第365回 ゲスト モントリオール大学教授・ヤコブ・M・ラブキン氏 2013.10.23

記事公開日:2013.10.23取材地: テキスト動画独自
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(IWJ・平山茂樹, 文字起こし・@sekilalazowie, 校正・@KinocoMX)

特集 中東|特集 戦争の代償と歴史認識
※全文文字起こしを掲載しました(2014年1月9日)

 カナダのモントリオール大学教授(歴史学)で、『トーラーの名において』(平凡社)『イスラエルとは何か』(平凡社新書)などの著書で知られるヤコヴ・M・ラブキン氏が来日。ユダヤ教徒でありながら、パレスチナの地にユダヤ人の祖国建設を目指す「シオニズム」運動を批判するラブキン氏に、10月23日、岩上安身がインタビューした。通訳を務めたのは、東京理科大学教授の菅野賢治氏。

■【切り抜き】ベングリオンは聖書を指さしてこう言ったと『これが私たちの委任統治権である』~岩上安身によるヤコヴ・ラブキン氏インタビュー

政治的イデオロギーとしての「シオニズム」

 ラブキン氏は、シオニズムを、宗教上のイデオロギーではなく、19世紀末に非宗教化したユダヤ人によって生み出された政治的イデオロギーであると説明する。

 「ユダヤ人は、伝統的ユダヤ教の教義から遠ざかりつつも、近代ヨーロッパで吹き荒れた反ユダヤ主義に対するフラストレーションから、ユダヤ人としてのアイデンティティを模索するようになりました。その延長線上で政治的に目指されたのが、イスラエル建国を志向する『シオニズム』でした」。

 しかし、ラブキン氏によれば、多くの伝統的ユダヤ教徒たちは、このようなシオニズムに対して反発しているのだという。

 「伝統的ユダヤ教徒が、現在のイスラエルという国に納得するわけがありません。伝統的ユダヤ教徒は、オスマン・トルコの時代にはパレスチナの土地に住み、多民族地域の一角で、周囲と完璧に調和して暮らしていました。それを根底から覆したのが、シオニストの到来だったのです」。

伝統的ユダヤ教の「絶対的平和主義」

 米国のケリー国務長官とロシアのラブロフ外相がシリアの化学兵器を国際管理下に置くことで合意した直後、ケリー国務長官はシリアと対立関係にあるイスラエルのネタニヤフ首相のもとを訪問、経過報告を行った。

 イラクやリビア、シリア、さらにはイランといった中東諸国への軍事介入の姿勢を取り続ける米国と、それを背後で操るかのようなイスラエルとの軍事的な関係について、ラブキン氏は「伝統的ユダヤ教徒の根底にあるのは、国家に依存しない『絶対的平和主義』」と、伝統的ユダヤ教とイスラエルとの間にある乖離について指摘。「ユダヤ教の2000年の伝統のなかにあるのは、土地を確保するために武力行使をしてはいけないということです」と語った。

―― 以下、全文文字起こし ――

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「伝統的ユダヤ教の絶対的平和主義から逸脱した”軍事国家”イスラエル ~岩上安身によるインタビュー 第365回 ゲスト モントリオール大学教授・ヤコブ・M・ラブキン氏」への11件のフィードバック

  1. Rabbi Jacob dance より:

    ラブキン教授のご主張は,煎じ詰めれば自らの思想信条に基づき,イスラエル国家は解体すべきであるというようですが.「国家に依存しない絶対平和主義」とは言い換えるとユダヤ教を原理主義的に信奉する無政府主義ということでしょうか. 反論を待ちます.

  2. Rabbi Jacob dance より:

    追加です.
    1)正統派ないし超正統派は少数者であることは話から理解した.
    シオニズムはドレフェス事件以降に発した欧州に根深い問題
    2)おおせの厳しい批判は国外の比較的安全な立場だからいえることではないか.
    Haredim はイスラエルのなかにもいることも知られている.立場の弱い彼らと連帯しないようであるが矛盾ではないか.
    Haredim についは社会問題とされている.2013年6月6日NYT,Israel Prods Ultra-Orthodox to ‘Share Burden’
    3)現状の「軍事国家イスラエル」でなく,あたかも穏当なアラブとの協調を論説しているようにもうかがえるが,現実的具体的な解決策となると,どちらでもない,大昔の平和共存を回顧するユダヤ信仰のなかに完結させるるように見えるがいかがか.

  3. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見より) より:

    記事内に全文文字起こしもあります。イスラエルの現実と理想・・
    伝統的ユダヤ教の絶対的平和主義から逸脱した”軍事国家”イスラエル ~岩上安身によるモントリオール大学教授・ヤコブ・M・ラブキン氏インタビュー http://iwj.co.jp/wj/open/archives/107981

  4. @tomspringさん(ツイッターのご意見より) より:

    これは好教材!

  5. @yagiutinaさん(ツイッターのご意見より) より:

    流石だよ、IWJ。ラブキン氏検索したら、インタビュー出てきた! 

  6. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見より) より:

    シオニズム=政治的イデオロギー。ユダヤ教とは似て非なるものだ。

  7. @momonga00さん(ツイッターのご意見より) より:

    これ、凄く面白い。

  8. @owljiiさん(ツイッターのご意見より) より:

    これは本当に面白く為になります。

  9. @marikusukoさん(ツイッターのご意見より) より:

    ユダヤ人?ユダヤ教徒?イスラエル人?イスラエル国家?シオニズム?反ユダヤ主義?パレスチナ人?・・・勉強になります。聞き起こしあり。

  10. @miho_twさん(ツイッターのご意見より) より:

    この記事イスラエルの友人達が読んだら嬉しいんじゃないかな。シオニズムは宗教的なものじゃなく政治的イデオロギーということ。欧米的価値観ではユダヤ教とシオニズムは1セットだから〜

  11. @miho_twさん(ツイッターのご意見より) より:

    シオニズムはプロテスタントの政治的イデオロギー。なるほど〜

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