大阪・関西万博の真の目的は、税金によるIRのためのインフラ整備! しかし10兆円規模のインフラ整備事業費は、日本国内に経済波及効果がまったくなし! カジノの存在価値は、実はアングラマネーのマネーロンダリング! 岩上安身によるインタビュー第1205回ゲスト 一級建築士・建築エコノミスト森山高至氏(第3回)前編 2025.8.22

記事公開日:2025.9.8取材地: テキスト動画独自
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(文・IWJ編集部)


※25/9/11 テキスト追加
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 2025年9月9日、「岩上安身によるインタビュー第1205回ゲスト 一級建築士・建築エコノミスト森山高至氏(第3回)前編」を初配信した。

 このインタビューは、今年5月26日に初配信した第1回インタビュー、6月16日と17日に初配信した第2回インタビューの続編である。

 第3回インタビューでは、まず、6月に配信した前回インタビューのあと、猛暑の今夏、大阪・関西万博で発生し、報じられた、いくつもの問題を振り返った。

 海外パビリオンの建設で、工事代金の未払い問題が起きている問題では、「(被害件数は)どんどん増えているし、金額だって、何億という話になってきている」と指摘した森山氏は、次のように解説した。

 「まず、元請けの会社というのが、何だかわからない会社が入っているんですよ。

 普通、元請けというと、日本だったら、だいたいゼネコンじゃないですか。

 (ところが)ゼネコンがいない。じゃあ、代わりに誰がやっているの? って言うと、聞いたことない会社。(ペーパーカンパニーではなく)一応、存在はしているんだけれども。

 だけど、事業実績がないとか、許認可がないとか。あとは、本来なら建設の元請でない、イベント会社、言ってみれば、コンサートの会場作りとか、博覧会のブース作りみたいな、東京ビッグサイトの中で工事をやるような会社で、世界的企業なんだけど…。

 でも、それだって本当だったら、日本には乃村工藝とか丹青社という、そのジャンルの大手がいるんだけど、その人達もいなくて、フランスだとかスペインだとかの会社、しかも、ワンルームマンションが本社みたいな会社。

 なんで、そんなところを元受けに入れているの? と。中抜きをしているのか、誰も受けてくれないから無理やり頼んだのか。

 だから、大混乱しているんです」。

 この未払い問題によって、すでに「万博破産」が起きかけている。現場を担った下請けの建設会社に代金が支払われず、倒産が続出しかねない状況にある。

 こうした問題への対応について、森山氏は、次のように指摘した。

 「これで、例えば万博協会にしても、大阪府・市でも、彼らが『最終的に助けるよ』と言えば、銀行も融資をするんだけど、倒産するかもしれないから、銀行も当座のつなぎ資金として、お金を貸さないわけです。(中略)

 『最後は公的に、金融機関にはちゃんと手を差し伸べるから、まずは目の前の人を助けなさい』と言わないと。(中略)

 ほんとに、そこが問題なんですよ。『困っているのはわかる。ただ、公的にはすぐには助けられないけど、協会を含めたみんなで何とかするよ』って一言言えば、『あぁ、じゃあ大丈夫だね』といって、それで(融資の)動きが始まるんだけど…」。

 森山氏は、「確かに悪いのは、間に入って無茶苦茶している業者」なのだけど、「民間同士の問題だから」といって、公にはすぐに対応できないのであれば、吉村洋文大阪府知事をはじめとする維新の政治家が、せめて率先してポケットマネーをカンパして、「当面、未払いにされている人達の最低限の家賃の支払いとか、訴訟の費用とか」を手助けするべきではないか、と訴えた。

 続いて、万博後に恒久的施設として、夢洲(ゆめしま)に建設される、IR(カジノを含む統合型リゾート)の問題について、検証を行った。

 そもそも万博の目的は、IRのために、夢洲や大阪湾岸のインフラ整備を税金で行うことにある。

 これについて、森山氏は、以下のように解説した。

 「本来、インフラ整備というのは、いわゆる公共交通網ですから、それができることによって、街が発展するとか、より多くの人々に便益があるというのが前提じゃないですか。だから、税金投入もされるわけだし。

 例えば、『何もないところに道路や電車を通してどうする』っていうと、『将来、街になるよ。将来、そこに人々が住んで、こんな経済発展があるよ』というのが、阪急だってそうだし、そもそも、元々の鉄道のビジネス(沿線の開発をおこなってゆく)が、そうですから。

 だから、このインフラを夢洲に整備するんだったら、『どんな街の発展があるんですか?』というところが必要なのに、それが全然抜けていて、『IRを呼ぶから要るんだ』みたいな。

 IRって、『統合リゾート』でしょう。『リゾートを統合してますよ』と。リゾートって何なのかといえば、遊びに行くところですよ。その中の一つに、カジノがあって、お金持ちも呼んだら、そこで稼げますよ、という立て付けですよね。

 けど、実際に、カジノがないと成り立たないですよ。(中略)

 だいたい、カジノに遊びに来る人達というのは、一般的に僕らが考えるような、『ちょっと小金持ち』ではないでしょう。

 あそこは、たぶん、系列カジノの中に、表に出せない金を置きに行くところでしょう。だから、それがないと、お金なんか集まるわけがないじゃないですか。

 だからこそ、カンボジアに(カジノを)作っても、成り立つわけですよね。『何をしに、カンボジアに行っているの?』っていうと、ちょっとお金を置きに行ってるわけでしょう。

 それを『マネーロンダリング』というふうに、犯罪的に言うか、『いやいや、別に、銀行みたいなもんだし』みたいな。

 だから、感覚がずれていると思ってるんですよ」。

 万博本体の総事業費は3000億円規模だが、万博を口実に、真の目的であるカジノのために進められるインフラ整備事業は、10.2兆円規模である。

 森山氏は、次のように続けた。

 「この10兆円を使って、たとえば土建屋さんがすごく儲かって、土建屋さんから職人さんまで、『何か最近、景気が良くなった』と。『こんなにもらえた』と言って、毎晩飲みに行ったりとか、そういう大騒ぎしてるのかというと、そういう話は、全然聞かない。

 これって結局、『使ったお金はどこに消えてんだ?』って話じゃないですか。(中略)

 だから、そこに絡まっている人の数が少ないんです。

 要は、乗数効果(政府の投資などが、連鎖的な経済活動を誘発し、最終的にその初期の投資の何倍もの経済効果を生み出す現象)というのは、『風が吹けば桶屋が儲かる』的な連鎖がずっと続いていくことだから、これが全然連鎖しないような仕組みの中で、お金が使われている可能性がある。

 そこが、僕はすごく疑問なの。

 やる人も、『IRを呼ぶから、インフラが必要』『IRを呼ぶから金がかかる』と言っているんだけれども、IRってそんな波及効果があるの? 日本国民に対して」。

 森山氏は、「そういう大義(日本国内にお金が落ちる仕組み)が全然ない」と指摘したのである。

■ハイライト

  • 日時 2025年8月22日(金)午後3時~
  • 場所 IWJ事務所(東京都港区)

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