シカゴ大学のジョン・ミアシャイマー教授が、2月28日にホワイトハウスの大統領執務室にて、記者団の前で公開で行われ、決裂に終わったトランプ・ゼレンスキー会談について、翌日の3月1日、ダニエル・デイビス氏のインタビューに応じました。
IWJでたびたび紹介してきたように、ミアシャイマー教授は、ウクライナ情勢について、最も的確な洞察を示してきた知識人であり、リアリストの国際政治学、地政学の専門家です。
- White House Tussle! Trump v. Zelensky / Prof John Mearsheimer(Daniel Davis / Deep Dive、2025年3月1日)
インタビュアーのダニエル・デイビス氏は、戦争、国家安全保障、政治、外交政策のアナリストで、『ダニエル・デイビス・ディープ・ダイブ(DDDD、Daniel Davis / Deep Dive)』というアカウントで、YouTube上に情報を提供しています。
- Daniel Davis / Deep Dive(YouTube、2025年3月2日閲覧)
インタビューの中で、ミアシャイマー教授が言及した論点は、以下の通りです。
・ゼレンスキーには問題を解決する術がなく、信じられないほど苛立っている
・トランプが望んでいるのはできるだけ早く戦争を終わらせることであり、それはウクライナの利益になる
・道徳的および戦略的観点から、トランプは正しい方向に進んでいる
・トランプ大統領はプーチン大統領との取引を進め、それは成功するだろう
・トランプは、欧州とウクライナから出ていく
・欧州は、米国撤退の選択を迫られれば、キエフの側には立たない
・トランプは、ウクライナ紛争を終わらせて欧州全体をカバーする安全保障体制を構築し、中国を封じ込めるためにアジアに軸足を移したい
・トランプ大統領は平和派、バイデン大統領とゼレンスキー大統領は戦争派
・トランプ・ゼレンスキー会談の決裂は、ウクライナ人を一時的に満足させるかもしれないが、ウクライナ軍を崩壊させるかもしれない
以下から、インタビューの論点ごとの抄録になります。
ぜひ全文をお読みください。
ホワイトハウスの闘い! トランプ対ゼレンスキー / ジョン・ミアシャイマー教授(ダニエル・デイビス / ディープダイブ、2025年3月1日)
ジョン・ミアシャイマー教授、ダニエル・デイビス
<ゼレンスキーには問題を解決する術がなく、信じられないほど苛立っている>
ダニエル・デイビス氏(以下、デイビス氏)「他に何を言うべきでしょうか? まったく、なんてことだろう。私に言わせれば、彼(ゼレンスキー)は、まさに大統領執務室で政治的自殺を犯したのです。あなたはそれを、どう思いますか?」
ジョン・ミアシャイマー教授(以下、ミアシャイマー教授)「まあ、彼があのようなふるまいをしたことは、信じ難いですね。私は、ゼレンスキーのことを言っています。彼のためには、(あのふるまいは)何の役にも立ちません。
しかし、現実を直視しましょう。彼は、板挟みになっています。彼は、崩壊の過程にある国のリーダーです。
彼には問題を解決する術がなく、信じられないほど苛立っていると思います。そして、それが彼のパフォーマンスに反映された。
繰り返しになりますが、確かにスマートなふるまいではなかったけれども、ある意味では彼の苛立ちは理解できます」
デイビス氏が「(ゼレンスキーのふるまいは)板挟み状態から彼を救うことにはならなかったようですね」と問いかけると、ミアシャイマー教授も「私もその意見に賛成です」と述べました。
ミアシャイマー教授「彼(ゼレンスキー)は、トランプとヴァンスとうまくやるべきところで、切れる強い手札を持っていません。彼は、何をするつもりだったのでしょうか?
(このように、苛立ちをぶつけるようにふるまっても)彼の問題は解決しませんし、少なくとも、彼が望んでいる結果、つまり、戦争の継続とその『事業』に対する米国からの支援には結びつかないでしょう。それ(戦争の継続)が、彼が望んでいることです」
<トランプが望んでいるのはできるだけ早く戦争を終わらせることであり、それはウクライナの利益になる>
ミアシャイマー教授「要点は、トランプは『削減』に固執しており、米国からの安全保障はないと、非常に明確に述べている、ということです。
(トランプは)ウクライナはNATOに加盟できないと明言しており、ゼレンスキーには、それを変えるためにできることは何もありません。
ゼレンスキーがワシントンに来て、スターマー(英国首相)やマクロン(仏大統領)と同じような(喧嘩腰ではない、穏やかな)行動をとっていたとしても、今日実際に彼がとった行動のままだとしても、そんなことは(結論とは)関係ありません。
ゼレンスキーが望んでいることは、現時点では米国から得ることは不可能です」
デイビス氏が「ゼレンスキーは何をしにワシントンに来たのか。彼は、現実から乖離しているのではないかと疑問に思う」と述べると、ミアシャイマー教授は、「トランプが望んでいるのは、(現在の、敗戦が確定的な)ウクライナにとって最善のこと」なのに、「ゼレンスキーもウクライナ人もそれを理解していない」と嘆きました。
ミアシャイマー教授「まあ、彼(ゼレンスキー)が本当に現実から乖離しているかどうかは、わかりません。ですが、なぜ彼が来たのかもわかりません。まったく意味がわかりません。
彼には、トランプ大統領の望むことに従う以外に、選択肢はありません。そして、あなたと私が何度も言ってきたように、実際、トランプが望んでいるのは、ウクライナにとって最善のことです。
ゼレンスキーはそれを理解していませんし、ほとんどのウクライナ人も、それを理解していません。
しかし、トランプが望んでいるのは、できるだけ早く戦争を終わらせることであり、それはウクライナの利益になります。この戦争を続けることは、ウクライナの利益ではありません。
ゼレンスキーはそう考えているようですが、それは完全に間違っています。トランプが望んでいることは、ウクライナにとって良いことだと私は思います」
<道徳的および戦略的観点から、トランプは正しい方向に進んでいる>
デイビス氏は、トランプ・ゼレンスキー会談を見たウクライナ政府高官とのテキストメッセージのやり取りで、「彼らは見たものに恐怖を感じたと言っていた」と述べ、ウクライナ政府内でも「トランプのアイディアが、自分達の利益になるということを実際に認識している」ようだ、と述べました。
デイビス氏「(ウクライナ政府の中のスタッフも)戦争に勝つことはできず、このままではどこにも行けず、殺戮を止めたいと考えていると私に言いました。ですから、キエフでも、ますます多くの人が理解し始めているようです」
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