能登半島地震発生から半年が過ぎ、報道の機会は減っているが、復興はまだまだ途上にある。
一般社団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA:ジャンピア)は、いわゆる「休眠預金等」の活用により、能登半島地震の復興を支援している。JANPIAが助成する団体が、活動状況をメディア関係者に報告する懇談会が、2024年6月21日、東京都千代田区のJANPIA事務所で行われた。進行役を、ジャーナリスト/メディア・アクティビストの津田大介氏が務めた。
「休眠預金」とは、10年以上、入出金等取引がない預金等を指し、毎年約1400億円以上が発生する。この休眠預金等を、国や自治体が対応困難な社会課題の解決や、民間公益活動促進に活用する制度が、「休眠預金等活用法」にもとづいて、2019年度から始められている。なお、休眠預金になった場合も、預金者が手続きをすれば、いつでも引き出せる。
JANPIAは、休眠預金等活用法における「指定活用団体」として、内閣総理大臣に指定された国内唯一の団体で、2018年に経団連主導で設立された。
制度の仕組みは以下の通りである。
休眠預金等は、各金融機関から預金保険機構に移管後、毎年度、必要額が指定活用団体=JANPIAに交付される。交付金は、さらに資金分配団体を経て、実行団体(民間公益活動を行う団体)に助成・出資される。
2024年4月までの活動実績として、JANPIAは、資金分配団体の190の事業を助成・支援。そこから1170の実行団体への助成・支援が行われた。総額は約289.6億円に上る。
- 一般社団法人日本民間公益活動連携機構(JANPIA)ウェブサイト
能登半島地震では、発災前に既に採択団体となっていた認定NPO法人ジャパン・プラットフォームのほか、緊急支援枠公募で一般社団法人RCFと特定非営利活動法人ETIC(エティック)が採択され、支援事業を開始した。他にも、当該エリア所在の資金分配団体、実行団体が、平時の事業の延長線上で被災者支援に向き合っているという。
今回の懇談会では、はじめにJANPIAが休眠預金等活用制度について説明した。続いて、以下の資金分配団体と、その支援先である現地の実行団体や行政等の担当者が報告を行った。後者は遠隔で参加した。
・RCF/石川県能登半島地震復旧・復興推進部 創造的復興推進課
・ジャパン・プラットフォーム/一般社団法人ピースボート災害支援センター
・ETIC/株式会社御祓川(みそぎがわ)
RCF代表理事の藤沢烈氏は、同団体が支援を決めたうち、和倉温泉創造的まちづくり推進協議会や、輪島塗若手経営ネットワークなど、6団体の状況を報告した。
たとえば、「加賀屋」で有名な和倉温泉は、旅館が海に面しているが、護岸が大きく崩れ、復旧に2~3年かかるという。奥能登の玄関口でもある同地の復興は、能登全体にも大きな意味を持つが、「建物の復旧には国からお金が出るが、今後のまちづくりの検討には出ない。そこを休眠預金で支援する」と、藤沢氏は支援の意味を語った。
一方、半年間能登に張り付いて支援活動を続けるピースボート災害支援センターの辛島友香里氏は、現在も損壊家屋にブルーシートが張られたままの輪島市のリアルタイム映像や、いまだ30ヶ所以上の避難所で避難が続けられる現状を報告した。
その上で、発災当初のボランティアによる炊き出しの支援等から始まり、仮設住宅に布団や家電を用意するなどの広範囲な活動と、今回の災害特性や今後への課題を報告した。
詳しくは、全編動画を御覧いただきたい。