2023年12月11日午後2時より、東京都千代田区の参議院議員会館にて、「#コドソラ(※)」が、「普天間の子どもたちが安心安全に学び遊べる学校環境を!」と題した要請書を政府に提出し、その後、政府との交渉が行われた。
※#コドソラ:
2017年12月に米軍ヘリ部品落下事故が発生した、沖縄県宜野湾市の緑ヶ丘保育園の保護者が作った「チーム緑ヶ丘1207」から移行した団体。
与那城千恵美氏、宮城智子氏、城間のぞみ氏によって結成され、緑ヶ丘保育園、普天間小学校、普天間第二小学校などの上空の米軍機飛行禁止を求めて活動を行っている。
2017年12月7日、沖縄県宜野湾市の緑ヶ丘保育園の園庭からわずか50センチの地点に、米軍ヘリの部品(米海兵隊のCH53E米軍ヘリの直径8センチ、長さ10センチ、重さ213グラムのプラスチック部品)が落下する事故が発生した。
次いで、12月13日、同じく宜野湾市の普天間第二小学校の運動場に、同じくCH53ヘリから重さおよそ8キロの窓が落下した。
それから6年間、現在まで、「緑ヶ丘保育園父母会」、「チーム緑ヶ丘1207」、そして、「#コドソラ」と名称を変えながら、どんどん成長していく子供たちとは逆に、状況はまったく改善されない中、保護者たちは、子供たちへの申し訳なさ、そして、変わらないことの悔しさ、悲しさ、もどかしさを抱えつつ、何度も行政への要請を行ってきた。
今回の政府交渉では、政府・省庁側からの出席者に対し「普天間の子どもたちが安心安全に学び遊べる学校環境を!」と題された要請書が手交された。その内容は以下の通り。
(1)普天間の子どもたちが、他の地域の子どもたちと同等な安心安全な保育及び教育が受けられるよう、保育園と小学校の環境改善にとりくむこと。
(2)学校上空(普天間小、普天間第二小、緑ヶ丘保育園)の飛行禁止。
(3)オスプレイの全面飛行禁止。
(4)日本政府の責任において、普天間第二小学校内の土壌調査の実施及びPFAS汚染特定箇所の土壌の入れ替えを行うこと。
要請書の手交に続き、政府側(外務省・防衛省・文部科学省・こども家庭庁)担当者との質疑応答が行われた。
質疑応答の中で、「米軍機が日米で合意された普天間市上空の飛行ルートを守っていない」という現状について、宮城智子氏は、次のように疑問を呈した。
「『飛行ルート』ってご存じですか?(中略)
毎回、お話をさせていただいているんですけど、そもそも、このルートが守られていたらすべて解決する問題なんですね、私たちの求めていることが…。上空を飛ばなければ、物が落ちてくる心配もない。
で、それを、いつもお話されているように、『できる限り飛ばない配慮をしてもらっている』とか言うけど、このルート自体は『日米で合意された』ってあるんですけど、現在、有効なんでしょうか?」
日米合同委員会合意(※)では、「学校や病院を含む人口密集地域の上空の飛行はできるだけ避けるように」と規定されている。
防衛省、及び、外務省の担当官は、宮城氏の質問に対し、この合意における「できるだけ」の部分を強調し、普天間の人々の生活よりも、米軍側の運用を優先・忖度するような答弁に終始した。
- 日米合同委員会合意及び議事録骨子 日本国における新たな航空機(MV-22[オスプレイ])
省庁側からの答弁を受け、与那城千恵美氏は、次のように問いかけた。
「米軍とのこの協定を守るために、沖縄の子供たちは、『じゃあ、犠牲になっておいてね』と、皆さん、言ってるみたいに聞こえるんですけど、そういうことなんですかね? 沖縄の子供たちは、もう我慢しておきなさいっていうことなんですかね?
皆さん。そういう風に、とっても聞こえるんですけど、配慮はされていないし。入学式も(米軍機が学校上空を)飛びますよ。(中略)
(米軍が)飛行ルートを守ってないのに、守らせるべき皆さんが『いや守っているよ』って言ってしまうと、もう、終わってしまうんですよね、そこで。
強く、『いや、これは守られていない。わかりました。じゃあ、もっと強く言いますね』って言ってくれないと、『守ってるよ』って言われたら、本当に、私たちは、どこに頼ればいいの? どうすればいいの? って、今、そういう感じになってしまっているんですけれども…。(中略)
私たちが日本に訴えても、もうダメってことなんですかね? 誰も助けてくれないなって、6年間やってて、今、本当に、とっても、思っているんですけど。(中略)
『日米安全保障のためには、沖縄の子供たちは、我慢しておきなさい。これは、米軍は、正当なことをやっているよ』っておっしゃったんですよね、今日、皆さんは。
今、私たち、沖縄の子供たちを切り捨てましたよね?
私たちは、もう、これからどこに…。
来年来ても、多分同じ。もう、どこに訴えていいかも、今、とっても動揺しているんですけど、私たち。
海外に訴えればいいんですよね?
アメリカに直接言いたいんですけど、私たち。言えないからこっちに来てるんですよ、毎回、毎回。
(政府側の)皆さん、お子さんいらっしゃる方もいますよね? 安心、安全に学校に行けているでしょう? 当たり前に。
それすら、できないんだよ? こんなことってある? 同じ日本人なのに。
本当に、捨てられた感じ、いっぱいで、きついです。どうしたらいいんだろうって思っています」。
与那城氏の発言を受けて、宮城氏が政府側の出席者たちに向けて、次のように問いかけた。
「皆さんは、どうしたらいいと思っていらっしゃるのか、考えを聞いていいですか?」
この問いかけに、政府側の出席者たちは沈黙した。
詳細は、全編動画を御覧いただきたい。