首相官邸が2018年12月28日に官邸報道室長名で「東京新聞の特定記者」の質問行為について、質問者に「事実誤認等」があり、「事実に反する質問が行われたことは極めて遺憾」であるため「問題意識の共有をお願い申し上げる」などと内閣記者会に申し入れた。
この申し入れは12月26日の菅義偉官房長官の会見で、東京新聞の望月衣塑子記者による沖縄県名護市の米軍辺野古新基地に関する質問の中で、「(辺野古の)埋め立ての現場では、今、赤土が広がっています。琉球セメントは県の調査を拒否してまして、防衛省沖縄防衛局が実態把握できていないとしております」「(埋め立てが)適法かどうかの確認をしていない」「(赤土が投入されている可能性について)発注者の国が事実確認をしていない」という発言を行ったが、それが「事実誤認」である、というのである。
官邸報道室長の上村秀紀氏は、2019年2月6日、国民民主党の原口一博衆議院議員と同党の山井和則衆議院議員によって行われた聞き取りで、「事実にもとづく質問をしてくださいという趣旨」だと主張している。また、上村氏はIWJ記者の質問に応じて「東京新聞の特定記者」とは望月衣塑子記者であることを認めた。
その官邸からの「事実誤認」という決めつけについて、「おかしい」と指摘するのは、参院会派「沖縄の風」の伊波洋一参議院議員だ。
「そもそも、12月26日の望月記者の菅官房長官への質問は、沖縄県による防衛省沖縄防衛局への指導の内容を指摘しての事実確認だ。それを『事実誤認』だというのはおかしい」
つまり、官邸報道室が望月記者の質問の前提となる事実認識を「事実誤認」だと決めつけることは沖縄県の認識や行政指導に対して「事実誤認」だと言いがかりをつけていることになる、というわけである。
伊波議員はIWJの取材に対し、「防衛省が事実を隠しているから明らかにせよ、きちんと検査させろというのが我々(沖縄)の主張だ」と訴えた。