菅官房長官会見で「東京新聞の特定の記者」による質問を官邸が「制限」!? 官邸報道室長・上村秀紀氏は「特定の記者」が望月衣塑子記者であることを認め、「排除する意図はない」と口を濁す!IWJが上村氏に直撃取材! 2019.2.6

記事公開日:2019.2.6取材地: テキスト動画
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特集 東京新聞社会部 望月衣塑子記者
※19/2/7 テキスト追加

 官邸が昨年12月28日に記者クラブ「内閣記者会」に対して、「東京新聞の特定の記者」による質問内容は「事実誤認」であるなどと申し入れをしていた問題で、日本新聞労働組合連合(新聞労連)は2月5日、「首相官邸の質問制限に抗議する」と題した声明を発表した。すでに『選択』2月号が報じていたように、この「東京新聞の特定の記者」が、菅義偉官房長官の会見で鋭い追及を続けている東京新聞社会部の望月衣塑子記者であることは明白だ。

 この問題を受けて、国民民主党の原口一博衆議院議員と同党の山井和則衆議院議員は2月6日、衆議院本館で、記者クラブへの申し入れについて総理大臣官邸報道室長の上村秀紀氏から聞き取りを行った。IWJ記者は、聞き取り後に上村氏への囲み取材に加わり、直撃質問をした。

 最初に他社の記者から、5日に新聞労連が出した声明に対する受け止めを求められた上村氏は、「特にコメントはありません」と述べるにとどまった。

 そこでIWJ記者は、新聞労連の声明が、「官邸の意に沿わない記者を排除するような今回の申し入れは、明らかに記者の質問の権利を制限し、国民の『知る権利』を狭めるもの」と強く抗議していることを踏まえ、改めて上村氏の考えを質した。この質問に対して上村氏は、「特定の記者を排除する意図はありません」と答えた。

 さらにIWJ記者は、特定の記者とは望月氏のことを指しているのか質問すると、上村氏は「望月氏の質問についての申し入れ」であることを認めた。

 続けて、「だからといって会見に参加できないようにしてほしいとか、そういうことを申し上げているつもりはないです。あくまで事実にもとづく質問をしてくださいという趣旨ですので、まったく排除するような意図はありません」と述べた。今後、望月氏が菅官房長官の会見で不当に質問を制限されるようなことがないかどうか、注意深く監視する必要がある。

 上村氏は、あくまでも記者クラブへの申し入れは「事実にもとづく質問をしてくださいという趣旨」だと主張している。昨年12月28日の申し入れの中でも、「事実誤認等がありました」「事実に反する質問が行われたことは極めて遺憾」などと記されている。では、望月記者の質問の、何が「事実誤認」だったというのだろうか。

 官邸の申し入れによると、昨年12月26日午前の菅官房長官会見で、望月氏による辺野古新基地建設問題に関する質問が、「事実誤認」などにあたるという。この時の会見で望月氏は、「(辺野古の)埋め立ての現場では、今、赤土が広がっています。琉球セメントは県の調査を拒否してまして、防衛省沖縄防衛局が実態把握できていないとしております」「(埋め立てが)適法かどうかの確認をしていない」「(赤土が投入されている可能性について)発注者の国が事実確認をしていない」と発言しているが、官邸側は、これらの発言が「事実誤認」、または表現が「適切ではない」と主張するのである。

 しかし、国民民主党の山井議員は、上村氏への聞き取り後、記者たちに対して、「赤土が広がっている」ということに関しては「誰が見ても赤い土があるのは明らかなのだから、『事実誤認』とするのは言い過ぎ」との認識を示した。

 山井議員と原口議員は、1月16日の「野党合同ヒアリングin沖縄」に参加し、辺野古の海を視察している。IWJはこの時の野党による現地視察に同行取材しているので、ぜひ、以下のURLから録画をご覧いただきたい。

 さらに、IWJは東京新聞にも取材し、「沖縄防衛局が実態把握できていない」という望月氏の発言は「事実誤認」だという官邸側の主張について、見解をうかがった。東京新聞編集局からは、以下のコメントが返ってきた。

 「事実誤認とは考えていません。沖縄防衛局は、実際に投入した土砂の性状検査の結果を県にも私たちにも示しておらず、実態を把握(確認)しているとは言えないと判断しております」

 防衛省は、埋め立て用の土砂に赤土が混入している可能性を調査することに対し、消極的な姿勢を示している。1月16日に行われた沖縄県での野党合同ヒアリングでは、防衛省は「赤土なるものの定義が何かということもある」などとはぐらかしており、22日には岩屋毅防衛相が、沖縄県が求める立ち入り検査は「現時点で必要ない」と述べた。確かに、こんな体たらくで沖縄防衛局が実態を把握しているとは考えにくい。

 望月氏の質問について官邸側が執拗に「事実誤認」と主張するのは、それ自体が「事実誤認」であり、「言いがかり」とも言うべきものではないか。官邸にとって都合の悪い質問をさせないように、記者たちを委縮させようとしていると疑わざるをえない。官邸は、2017年9月にも望月氏の質問を非難する「注意文書」を東京新聞に送っていた。詳細は下記の記事をご覧いただきたい。

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■ハイライト

■全編動画

  • 日時 2019年2月6日(水)11:30~
  • 場所 衆議院本館(東京都千代田区)

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  1. @55kurosukeさん(ツイッターのご意見) より:

    これは国民全体の問題。

    安倍政権が排除しようとしているのは望月記者だけでなく、国民の『知る権利』でもあるのだ。

    官邸報道室長・上村秀紀氏は「特定の記者」が望月衣塑子記者であることを認め「排除する意図はない」と口を濁す!IWJが上村氏に直撃取材! https://iwj.co.jp/wj/open/archives/441476 … @iwakamiyasumi
    https://twitter.com/55kurosuke/status/1093803248345968641

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