ウィシュマさんの妹ポールニマさん「このビデオには最終報告書に書かれていない内容がある」~10.5 名古屋入管施設で死亡したスリランカ人留学生ウィシュマさんの入管施設内での映像を視聴した遺族及び弁護士による記者会見 2021.10.5

記事公開日:2021.10.6取材地: テキスト動画
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(取材、文・浜本信貴)

 2021年10月5日(火)、午後5時より、東京・千代田区の参議院議員会館にて、名古屋入管施設内で死亡したスリランカ人留学生ウィシュマさんの入管施設内での映像を視聴した遺族及び弁護士による記者会見が開催された。

 ウィシュマさんの遺族の代理人を務める指宿昭一(いぶすき しょういち)弁護士、児玉晃一弁護士、駒井知会弁護士の3名の弁護士と遺族(ウィシュマさんの妹)のポールニマさんが登壇し、この間の経緯について説明・報告を行った。

 指宿弁護士は、会見冒頭の挨拶の中で次のように述べた。

 「10月1日に、裁判所の『証拠保全』という手続きで、ビデオの一部を、ポールニマさんと、それから代理人弁護士とで一緒に見ることができました。一部分ですけど、3月6日まで、ところどころ、少しずつですけど、見ることができました。

 データは開示されていません。これは、新内閣が成立して、入管がとてもいい組織になって、悔い改めて、心を入れ替えて、開示したものではありません。そうではありません。

 一転して開示されたというのは、入管の態度が変わったからではなくて、裁判所の手続きで、いわば半強制的に、出さざるを得ないから出したという事情です」

 次に、児玉弁護士からこの間の経緯について説明があり、それに続いて、駒井弁護士より、ウィシュマさんを映した監視カメラ映像の一部について、その内容の報告があった。

 「本当は(監視カメラ映像を)1週間分全部見たかったのですが、時間上の制約から、本当にとぎれとぎれ、見させていただきました。それでも、こちらが指摘したところを見させていただいたことになります。

 使用したのは、2月22日、2月26日、3月2日以降は全日。3月6日までですね。内容ですが、ごく簡単に私たちが見たものを紹介いたします。

 2月22日、ですね。あの、やはり最初に画面が映った時に、ベッドに力なく横たわっているウィシュマさんの小さいお顔が印象的でしたし、痛ましくも感じました。布のようなものを被っているようでもありました。ほとんど体の動きがなかった様子でした。

 それで、2月26日はですね、ベッドの下に落ちて、2時間45分ほど冷たい床に横たわっていたあの日です。横たわっているところの長いところは見えなかったのですが、落ちるところを見ました。

 彼女は、その前の段階で、スタッフの方を呼んだようなのですが、来てもらえなかったということで、なんとか自分で体を起こしかかったところで、体の自由がきかず、上半身も下半身も動かなくて、(中略)彼女なりに上半身に勢いをつけて、上半身を起こそうとしたところ、バランスを崩して、ベッドの下に落下したということでした。

 そして、インターホンで『転んだ』ということで助けを求めたわけです」

 代理人弁護士からの一連の報告・説明の後、ご遺族である、故ウィシュマさんの妹のポールニマさんから、次のような発言があった。

 「ビデオを見ましたが、姉はとても具合が悪そうで、とても弱って見えました。(姉の様態の異変に気づいた時点で)救急車を呼んでいれば、姉は助かっていたと思いました。

 また、このビデオには、最終報告書に書かれていない内容があると確信しました。ビデオと最終報告書の内容に異なる点があるとも感じました。最終報告書の内容を信用できませんので、ビデオの全面開示を求めます。全面開示をして下さい」

 各代理人弁護士からの報告・説明、そして質疑応答などの一部始終については、全編動画にてご確認下さい。

■全編動画

  • 日時 2021年10月5日(火)17:00~
  • 場所 参議院議員会館 101会議室(東京都千代田区)

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