2021年8月20日、東京都千代田区の参議院議員会館で、難民問題に関する議員懇談会が開かれた。
懇談会では、名古屋出入国在留管理局に収容されていたウィシュマ・サンダマリさんが2021年3月死亡した問題について、出入国在留管理庁が8月10日に発表した最終調査報告書についての質疑が行われた。
出入国在留管理庁の担当者とウィシュマさんの遺族や遺族の代理人弁護士、野党会派の国会議員とメディア関係者らが出席した。
出入国在留管理庁は、今回の最終報告に先立ち、4月に、ウィシュマさんが亡くなるまでの体調の変化などをまとめた中間報告を公表している。その報告書にはウィシュマさんの容体が悪化していた、2月15日に名古屋入管は尿検査を実施した際の極めて重大な結果を示したデータが記載されておらず、今回の最終報告書で初めて明らかにされた。
データについては、入管庁から調査を委託された総合診療科医師により、生体が飢餓状態にあることを示唆し、電解質異常や腎機能障害といった代謝障害を招来している可能性があったと指摘されている。
出席した記者から、データが中間報告書から漏れていた理由を問われた出入国在留管理庁の上原龍・総務課長は、「複写漏れ」だと答えた。
これに対して遺族の代理人である指宿昭弁護士は「名古屋局が隠蔽したのではないですか」「隠蔽したかどうかについてきちんと調査をしたのか」と追及した。
また、懇談会会長の石橋通宏・立憲民主党参議院議員は「ウィシュマさんの命を最終的に救うことができなかった入管としての重大な問題だ」と述べ、行政監視を理由として、調査結果を導き出した材料を出すようにと要求した。