「真実を自分の目で確かめたい」というウィシュマさんの遺族の思い~7.7「名古屋入管死亡事件の真相究明のためのビデオ開示、再発防止徹底を求めます!」署名活動開始に関する記者会見 2021.7.7

記事公開日:2021.7.8取材地: テキスト動画
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(取材、文・村上良太)

 7月7日、厚生労働省で外国人労働者や難民の支援活動を行っている団体や文化人、弁護士らが「『名古屋入管死亡事件の真相究明のためのビデオ開示、再発防止徹底を求めます!』署名活動開始に関する記者会見」を行った。

 外国人労働者や難民の支援活動には多くの大学生が参加しており、この記者会見の場でも若い姿が目立った。また、スリランカから真相究明に来日している遺族で妹のワヨミさんも姿を見せた。

 事件は今年3月6日、名古屋入管の収容施設で起きた。収容されていたスリランカ人のウィシュマ・サンダマリさん(享年33)が連日の発熱や呼吸困難を訴えていたにも関わらず、適切な医療が受けられず、亡くなった事件だ。

 主催団体の1つ「BOND(バンド)~外国人労働者・難民と共に歩む会~」の事務局長で司会の鎌田和俊氏は、支援者たちが入管に不信を抱いた根拠として、次のように述べた。

 「当時、ウィシュマさんは歩けないほど衰弱していて、入管に対して点滴と一時的な仮放免を求めていたが、入管はどちらについても拒絶をした。彼女に面会を重ねていた支援者や彼女を診察した医師は点滴や仮放免の必要性を求めていたが、入管はその事実を隠し、責任を逃れようとしている」

 遺族である妹のワヨミさんは、指宿昭一(いぶすき しょういち)弁護士から「なぜ監視ビデオカメラの記録の公開を求めているのですか?」と質問されて、こう述べた。

 「真実を知りたいからです。自分の目で確かめたいのです。親にも真実を伝えたい。入管の『中間報告』は信用できません。それは嘘です。これから出る報告も信用できない。その意味から、ビデオの公開を求めます」

 また、「ビデオを開示しない出入国在留管理庁に対してどう思いますか?」と指宿弁護士から続けて聞かれると、ワヨミさんは「みんな入管でお姉さんを殺されたと思っています。入管は真実を隠すためにビデカメラの開示を拒んでいるのだと思います」と答えた。

 公開を求めている入管の監視ビデオカメラについて、この問題に詳しい指宿弁護士は以下のように説明した。

 「ウィシュマさんのいた部屋の多分、上の方から撮っていると思います。今まで単独室に収容されていた人の映像は、裁判を通じて公開されているのがあって、多分それと同じように上から撮っているものがあると思います。四六時中、カメラは回っていたと思う。(ウィシュマさんは)単独室に結構長い間いた。また、『中間報告』の、亡くなる前の2日間の状況はビデオがないとあんなことは書けない」

 収容されていたウィシュマさんに面会したことのある支援団体「START~外国人労働者・難民と共に歩む会~」の大学生、千種朋恵さんは「2月上旬に、すでに(ウィシュマさんは)単独室にいました」と述べた。このことからも「1か月分くらいのビデオ記録が存在すると考えられる」と指宿弁護士は推測する。

 記者会見の主催団体で、ビデオ開示などの呼びかけ人でもある「ウィシュマさん死亡事件の真相究明を求める学生・市民の会」と外国人労働者や難民の支援活動を行っている諸団体は、これからウィシュマさんの監視ビデオカメラの記録の公開と再発防止措置を求める署名活動を始める。

 これについて、「BOND(バンド)~外国人労働者・難民と共に歩む会~」の事務局長、鎌田和俊氏は次のように述べた。

 「2007年以降から数えただけでも、病気や自ら命を絶った方らを含めて、17名の方が命を落とされています。われわれ支援者の願いはこれ以上、犠牲者を出さないことです」

 記者会見では、支援活動を行う大学生たちが思いを一人一人述べた。また、この問題に関わる作家・星野智幸氏や、ラジオパーソナリティのキニマンス塚本ニキ氏も出席して意見を語った。詳しくは全編動画を御覧いただきたい。

■全編動画

  • 会見者:ウィシュマさんご遺族(ワヨミさん)、ウィシュマさん事件の真相究明を求める学生・市民の会(支援団体BOND、START、TRYメンバー)、遺族代理人弁護士指宿昭一、星野智幸(小説家)、キニマンス塚本ニキ(ラジオパーソナリティ)
  • 日時 2021年7月7日(水)15:00~
  • 場所 厚生労働記者会(厚労省9F)(東京都千代田区)

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