米国国務省が英国からの引き渡しを求めているウィキリークス創設者、ジュリアン・アサンジ氏の事件に大きな進展があった。
アサンジ氏は、米国の戦争犯罪を暴露したとされる機密文書の公開に関するスパイ活動法違反で、米国で起訴されている。米国に連行されれば、最高で175年の懲役刑に直面することになる。
(翻訳、文・尾内達也 文責・岩上安身)
米国国務省が英国からの引き渡しを求めているウィキリークス創設者、ジュリアン・アサンジ氏の事件に大きな進展があった。
アサンジ氏は、米国の戦争犯罪を暴露したとされる機密文書の公開に関するスパイ活動法違反で、米国で起訴されている。米国に連行されれば、最高で175年の懲役刑に直面することになる。
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ジュリアン・アサンジ氏は、1971年7月3日、オーストラリアの亜熱帯北東部に位置するクイーンズランド州の港湾都市タウンズヴィルに生まれた。一族は19世紀にスコットランドからオーストラリアに移住している。
アサンジ氏が、匿名で政府、企業、宗教などに関する機密情報を公開するウェブサイト、ウィキリークス・プロジェクトを開始したのは、2006年である。このとき初めて、wikiliaks.orgのドメインネームを登録している。
ウィキリークスが世界的な注目を集めたのは、米軍のアフガニスタン戦争とイラク戦争の実態の曝露だった。
2001年から続くアフガニスタン戦争については、ブラッドリー・マニング(現在は性転換し、名前を変え、チェルシー・マニングと名乗る)元米陸軍情報分析官からウィキリークスに機密資料9万2000点(2004年から2009年にかけての資料)が提供された。
このうちの機密資料7万5000点以上が2010年7月25日にウィキリークスのサイトで公開された。
この中には、米軍の空爆によって宗教学校の生徒7人が殺害されたという米軍の虚偽報告を暴露する情報も含まれている。
実際に米軍が行ったのは、空爆ではなくHIMARS(ハイマース=高機動ロケット砲システム=High Mobility Artillery Rocket System)と呼ばれる40マイル(約64キロ)以上後方のトラックから発射するGPS使用の新型ロケット連射システムの実験だった。
イラク戦争(2003年-2011年)の公開資料はすべて数に関するものだった。米軍のイラク侵攻が始まってから行われた少なくとも6万6081件のイラク民間人殺害に関して事件ごとの詳細な記録が公開された。
イラク戦争でのイラク側の死者は、上記のイラク民間人に加えて、イラク治安部隊兵士の1万5196人と「敵」と分類された2万3984人のイラク人が存在した。
他方、米軍および同盟国軍側の死者は、3771人だった。全体の死者の3.5%に満たない。
※以上のジュリアン・アサンジ氏、アフガニスタン戦争およびイラク戦争に関する情報の出典は、デイヴィッド・ライおよびルーク・ハーディング著『Wikileaks』(2010年、Guardian Books)より。
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