2021年6月16日(水)、午後12時30分より、東京・千代田区の参議院議員会館にて、社会民主党・福島瑞穂党首の定例会見が行われた。この日は、通常国会150日目であり、会期末・閉会日での定例会見となった。
冒頭、福島党首は、新型コロナウイルスも終息せず、開催日が近づいている東京五輪についても、話し合い、決めなければならないことが山積みである中、野党4党が要求した3ヶ月の国会会期延長に与党側が応じなかったことを批判し、「本日で閉会となることに本当に憤りを感じる」と述べた。
福島党首は、「閉会中審査も含めて、厚生労働委員会などで、しっかりと議論を、他党と一緒に求めていきたいと考えている」とも述べた。
また、福島党首は今国会を振り返り、大きなポイントを2つ挙げた。
まず1つ目は、「新型コロナ感染症対策における、政府の無能・無策」、つまり、「命をまったく考えない政治」であること。
そして、2つ目として、「デジタル庁関連法案、そして、残念ながら今朝早くに成立した重要土地規制法案をはじめ、菅政権の特徴である監視と排除、脅しと恫喝がますます進行した国会であった」と述べ、『内閣独裁という面が強いと思う』と指摘した。
福島党首からの冒頭の報告に続き、各社記者との質疑応答となった。
IWJ記者は、6月15日に参議院内閣委員会で採決が行われ、16日未明に参院本会議で成立した「重要土地利用規制法」について、以下のとおり、質問をした。
IWJ記者「6月8日に行われたこの法案に対する抗議集会が開かれたときに、その場で、沖縄の風の伊波洋一参議院議員が、『この法案は立法事実はないが、アメリカの戦略はある』と述べられており、また『台湾有事が前提となっている』とおっしゃっています。
昨日、岸防衛大臣の定例会見に参加し、この伊波議員の発言について確認する質問をしました。その際に、先ほどの伊波議員の発言に加えて、もうひとつ集会で『今、日本列島にミサイル基地を1000作れと(米国から)要求されている。法案でいう「重要土地」とは、「アメリカ軍が使う土地」であり、これは日本全体を戦争に巻き込む法案なのです』と強調されていました。
それらの発言を、岸大臣に質問したのですが、回答はあったが、まったく違う事象について話されていた。この伊波議員の発言について、福島議員のお考えをお聞かせ下さい」
福島党首「重要土地規制法案は、日本すべてに及ぶわけで、特別注視区域のリストにいろいろ名前があがっているが、まさに、『市ヶ谷、横田、横須賀、朝霞等』となっていたり、全国の様々なところもたくさん名前があがっている。
だから、この法案は、どこかのところだけでなく、全国に及ぶ。しかも『重要施設』とは何かということは、これから決めるわけなので、原発が入ることはわかっているが、原発のどこが、とか、いろんなこともこれから。これこそ、白紙委任的で問題なわけだが、この法案は全国に及び、あなたの町も対象になるという話だと思う。
第2点目は、私自身も社民党も、この法案が、沖縄本島や南西諸島を非常にターゲットにしているということは思っている。
というのは、ここ6~7年で、与那国、石垣、宮古島、奄美というふうに、南西諸島における自衛隊配備とミサイル防衛計画が急激に進んだ。与那国以外は、私も2016年~17年にかけて、ずっと、島々を回ったが、まさにミサイル防衛計画が、本当に、自衛隊基地の建設がここで非常に進んでいる。
ですから、宮古島市も特別注視区域リストの中に入っているが、まさに、住民、というより、島民に対する凄まじい監視や情報収集だと思う。
伊波洋一さんがおっしゃったことや、山城博治さんも、よく沖縄の方たちがおっしゃるのは、やはり、『ひりひりとした危機感』。何かあったときに、もう一回、たとえば、ガンガン、ミサイル防衛が動き出すとか、たとえば、そこから人が出ていくとか、いろんな軍事のターゲットになったり、出ていくとなったときに、島民はハッキリ言って邪魔、というか、『動くな!』ではないが、ものすごく押さえつけられる。基地に反対なんて、本当に言いにくくなるといった事が起きる。ということを、ご本人たちも言っているし、私もそうだというふうに思っている。
ですから、すべての地域に及ぶ法律ではあるが、やはり、沖縄本島、南西諸島において、しかも、抽象的なことではなく、まさに、住民を監視し、何かしらの有事、問題が起きたときに、住民を抑え込んで、行動を規制し、その、基地機能とは何か、というと、それは戦争機能だとおっしゃる方もいる。それに何かを言ったりするのは、もうすべて抑え込んでいって、中止命令などが起こりうるというふうにも考えている。
ですから、その意味では、具体的な基本的人権の侵害が起こりうる。というか、この法律はそういう法律だが、その地域から基本的人権を剥奪される、その危機感は、私も実は共有している。
ですから、その意味で、憲法違反のこういう法律が成立したことは、本当に無念というか、怒りを感じている。ですからこの法案を廃止に追い込むこと、そして、作動していかないようにするということを、しっかりと、たくさんの人と声を上げてやっていきたいと考えている」
福島党首からの冒頭報告、そしてIWJを含め、各社記者との質疑応答の一部始終は、全編動画にてご確認いただきたい。